投資詐欺の紹介者を訴えることはできる? 被害に遭わないためには?

投資詐欺の紹介者を訴えることはできる? 被害に遭わないためには?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

投資詐欺に遭うと、時に莫大な金銭を失いかねません。

本記事では、投資詐欺の紹介者(勧誘者)を訴えることができるのか、被害に遭わないために注意すべきポイントや対処法などについて詳しく解説します。

1. 投資詐欺の紹介者(勧誘者)を訴えることはできる?

投資詐欺の紹介者を訴えること、すなわち損害賠償請求をしたり(民事裁判)、告訴したり(刑事裁判)することは可能です。以下では、どのような場合に訴えられるのかを解説します。

(1)そもそも投資詐欺とは?

投資詐欺とは、魅力的な投資の話を持ちかけて、相手からお金をだまし取る詐欺の手口です。投資詐欺の手口は多岐にわたります。代表的なのは未公開株や外国通貨に関するもの、ストーリー仕立てでだまそうとする劇場型、太陽光発電といった話題になっている技術や権利への投資をもちかける手口などがあります。

たとえば、未公開株に関する手口では、「ある企業がもうすぐ上場するので、今のうちに株を買っておけば大もうけできる」といった話をもちかけます。劇場型は、振り込め詐欺でも採用されることの多い手法で、証券会社や投資コンサルタントなど、複数の人間が口裏を合わせながらターゲットを信用させ、お金をだまし取ろうとする手口です。

(2)紹介者も損害賠償責任を負うケースがある

投資詐欺では、友人や知人などから紹介されて被害に遭うケースも少なくありません。紹介者を民事裁判で訴えて、だまし取られたお金を取り戻そうとする場合、紹介者には不法行為による損害賠償責任が認められる必要があります。

詐欺的な投資への紹介行為が不法行為として認定されるためには、紹介者の故意または過失に加えて、紹介行為と損害との間に因果関係がなければなりません。

具体的には、紹介者がターゲットのお金をだまし取るための重要な役割を担ったと判断された場合に、損害賠償請求をすることが可能です。なお、紹介者が詐欺だと知らなかった場合でも、容易に詐欺だと知ることができたなどのケースでは過失があるとされ、損害賠償責任が認められる可能性があります。

平成26年には、投資詐欺の紹介者に損害賠償責任を認める判決が出ています。この事例では、紹介者が取引に関する内容を説明したり、詐欺商法の大元である役員との話し合いの席をセッティングしたりしていました。このように、ターゲットからお金をだまし取るための重要な役割を担ったため、損害賠償責任を紹介者に認めたと考えられます。

(3)投資詐欺の紹介者が問われる罪と罰せられた事例

投資詐欺の紹介者は、刑事上の罪に問われる可能性もあります。具体的には、金融商品取引法違反や詐欺罪です。詐欺であることを知った上でだまそうとしたのなら、詐欺罪の共犯に該当する可能性があります。一方、詐欺とは知らずとも、無登録で不特定多数に投資商品を紹介すると、金融商品取引法違反になります。

令和4年6月には、無登録で投資詐欺の勧誘をした人物が金融商品取引法違反で略式起訴され、70万円の罰金刑を科されています。この事件では、被害者の大学の同級生を通じて知り合った紹介者が、LINEなどで暗号資産への投資を迫り、金策に関する指示まで行っていました。

2. 投資詐欺の被害に遭わないために

投資詐欺の被害に遭わないためには、「おいしい」話にのらないことです。簡単に稼げる、絶対にもうかる、といった話は魅力的に聞こえますが、世の中にそれほどおいしい話は転がっていません。そもそも本当に絶対もうかるのなら、わざわざ他人に教えるとは考えにくいため、高い確率で怪しい話であると判断できます。

未公開株や私募債への取引に勧誘された場合にも注意が必要です。未公開株や私募債の取引に、一般の投資家を勧誘するケースはまず考えられません。このような取引に誘われたのなら、詐欺を疑いましょう。

金融庁に登録していない業者が、ファンドへの出資に一般の投資家を誘うことはできません。少しでも怪しいと感じたときは、金融庁の公式サイトから、金融商品取引業者の登録があるかどうか確認してみてください。

3. 万が一投資詐欺の被害に遭ったら

投資詐欺の被害に遭うリスクは誰にでもあります。万が一、そのような事態に遭遇した場合には、慌てずに落ち着いて対処を進めましょう。

(1)これ以上の被害に遭わないための対策をとる

投資詐欺と気づいた時点で、それ以上お金を使うのはやめましょう。余計に傷口を広げないよう、金融機関に連絡して引き落とし中止の手続きをとるなど対処してください。また、詐欺を働いている張本人との連絡も断ちます。詐欺師はおしなべて口がうまいため、連絡をとり続けているとさらに被害が拡大するかもしれません。

また、詐欺の証拠も確保しておきましょう。警察に被害を訴えるときや裁判のときに、証拠を求められるためです。メールやLINEの内容をスクリーンショットで保存したもの、電話での会話の録音などが証拠となります。

(2)然るべきところへ相談する

詐欺被害に遭ったときの主な相談先は、警察と国民生活センター、法律事務所などです。詐欺はれっきとした犯罪であるため、被害に遭ったらまずは警察へ相談してみましょう。もしかすると詐欺かもしれない、といったケースでも、警察への相談で被害を最小限に抑えられる可能性があります。

国民生活センターでは、専門の相談員に相談ができ、適切なアドバイスをもらえます。いきなり警察の窓口へ足を運ぶのは抵抗があるといった方は、国民生活センターに相談してみましょう。

さらには弁護士に相談するのもおすすめです。法的な観点から適切なアドバイスを受けられます。初回の相談は無料の法律事務所もあるので、まずは気軽に相談してみましょう。投資詐欺の規模によっては、すでに集団訴訟が行われている場合もあるため、被害弁護団への相談窓口がないか調べてみるのも手です。

投資詐欺に遭わないよう注意するのが一番ですが、もし被害に遭ったときは弁護士へ相談してみましょう。その際には、投資詐欺をはじめとした詐欺事件への対応経験が豊富な弁護士を選ぶと安心です。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年09月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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