訪問販売は法律で規制されていないの? だまされないために知るべきこと
訪問販売には悪質な事例が多く、だまされて高額な商品を買わされてしまうといった消費者被害が多数報告されています。
訪問販売にだまされないようにするため、よくある悪徳商法の代表例や、訪問販売業者に対応する際の注意点を知っておきましょう。
1. 法的に問題がある訪問販売の代表例
悪徳な訪問販売の被害に遭わないためには、どのような手口がよく行われているのかを知っておくことが大切です。
まずは、法的に問題がある訪問販売手法の代表例を紹介します。
(1)かたり商法
「かたり商法」は、郵便局や官公庁などの関係者であると偽り、訪問販売を行う悪徳商法です。特定商取引法で禁止されている「不実告知」(特定商取引法第6条第1項)に該当し、違法です。
(2)点検商法
「点検商法」は、高齢者などの自宅へ「点検」の名目で強引に乗り込み、自宅の補強工事の契約をさせたり、羽毛布団を買わせたりする悪徳商法です。特定商取引法で禁止されている「威迫困惑」(特定商取引法第6条第3項)に該当し、違法です。
2. 訪問販売に対する法規制に違反した業者はどうなる?
訪問販売は「特定商取引法」によって規制されており、違反した業者は契約取消に加えて、刑事・行政上の制裁の対象にもなります。
(1)違法な訪問販売契約は取消しの対象となる
特定商取引法に違反する勧誘行為がなされ、それによって訪問販売に関する契約が締結された場合には、消費者は訪問販売契約を取り消すことができます(特定商取引法第9条の3第1項)。
消費者が取消権を行使できる期間は、違法行為の事実を知った時(追認をすることができる時)から1年または契約締結時から5年のうち早い方が経過する時点までなので、もし違法な訪問販売に遭ってしまった場合には、早めの対応を心がけましょう。
(2)特定商取引法違反による制裁の対象となる
さらに、特定商取引法に違反した業者に対しては、以下の刑事・行政上の制裁が科されます。
①刑事罰
訪問販売に関する禁止行為をした業者は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます(特定商取引法第70条第1号)。
②主務大臣による指示・公表
特定商取引法違反の行為により、購入者等の利益が害されることを防ぐために、主務大臣から業者に対して、必要な措置を講ずるよう指示が行われます(同法第7条第1項)。
その際、指示の内容が公表されるため(同条第2項)、違反業者の社会的評判が損なわれる可能性があります。
③業務停止・禁止
特定商取引法違反の行為により、購入者等の利益が著しく害されるおそれがある場合や、業者が主務大臣の指示に従わない場合には、2年以内の業務停止(既存業務)および業務禁止(新規業務)が命じられることがあります(同法第8条第1項、第8条の2第1項)。
また、業務停止・禁止命令が行われた場合、同時にその旨が公表されます(同法第8条第2項、第8条の2第2項)。
3. 訪問販売にだまされないために消費者がすべきこと
訪問販売業者にだまされないようにするには、以下の各点に留意して対応してください。
(1)興味がないので退去するよう明確に伝える
訪問販売業者が自宅にやってきたら、「興味がないので退去するように」と明確に伝えましょう。
「もしかしたらほしいもの、必要なものかもしれない」などと考えていると、訪問販売業者の術中にはまってしまいます。必要なものであれば、後からご自身で調べて購入すればよいのであって、訪問販売業者から購入する必要はありません。
退去すべき旨を明確に伝えた後も、なお訪問販売業者が居座ろうとするようであれば、警察に連絡しましょう。
(2)商品を購入してしまった場合はクーリングオフ・取消しを検討する
万が一訪問販売業者にだまされて商品を購入してしまった場合でも、購入日を含めて8日以内であれば、書面によって契約を撤回できます(クーリングオフ。特定商取引法第9条第1項)。
また、不実告知によって契約をした場合には、前述のとおり、違法行為の事実を知った時から1年で契約締結から5年以内であれば、契約の取消しが可能です。
特にクーリングオフについては、期間制限がかなり短いので、すぐに対応しましょう。
(3)困ったら弁護士に相談を
クーリングオフや契約取消の方法がわからない場合には、速やかに弁護士に相談しましょう。
弁護士は、訪問販売に関する事業者の違法性を的確に追及することで、消費者の味方になってくれます。
もし訪問販売の被害に遭ってしまった場合には、すぐに弁護士に相談して、適切な対応についてアドバイスを求めてください。
- こちらに掲載されている情報は、2022年03月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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