川崎老人ホーム転落死事件 2審も死刑判決。無罪主張の今井被告は身じろぎせず

弁護士JP編集部

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川崎老人ホーム転落死事件 2審も死刑判決。無罪主張の今井被告は身じろぎせず
東京高裁には41枚の傍聴券を求める人々の列ができた(3月9日/弁護士JP編集部)

入所者の男女3人が相次いで亡くなった「川崎老人ホーム転落死事件」により横浜地裁で死刑判決となった今井隼人被告(29)の控訴審が3月9日14時から東京高裁で開かれ、1審と同様に死刑判決が言い渡された。

無罪主張の被告が控訴

2014年11〜12月の深夜から未明にかけて、神奈川県川崎市の特別有料老人ホームで86~96歳(当時)の入所者3人が相次いでベランダから転落死したこの事件。いずれの事件発生時にもシフトに入っていたことなど複数の不審点があることから、今井被告が殺人容疑で逮捕され、2018年3月22日に横浜地裁が死刑を言い渡していた。

その後、無罪を主張する今井被告が控訴。2019年12月20日より東京高裁で控訴審が進んでいた。

主文は後回しに

9日の東京高裁には41枚の傍聴券を求めて多くの人が集まり、事件に対する世間の関心の高さが伺われた。

判決に被告人は出廷しなくてもよいとされているが、今井被告は2021年11月26日の結審と同様、薄いブルーのシャツに濃いグレーのスーツ姿で出廷。ネクタイはしておらず、第一ボタンまでしっかりと留められていた。

14時ちょうどに東京高裁102号法廷で開廷すると、細田啓介裁判長が「今井さん」と穏やかな口調で呼びかけ、被告へ証言台の前に座るよう指示。「まずは理由から述べます」と主文を後回しにし、自白の信用性や事実誤認に関する高裁判断などを、約1時間にわたって説明した。

判決の瞬間、被告は…

最後に量刑の理由として、被害者が3人にものぼること、わずか2カ月の間に犯行が繰り返されたこと、殺意が強固であること、介護施設の職員という立場を利用した悪質性などを理由に、1審が判断した極刑は揺らがず、重すぎる処分として不当とは言えないと指摘。細田裁判長は今井被告へ起立するよう指示した後、「主文、本件控訴を棄却する」と述べた。

開廷から約1時間、判決の瞬間も今井被告は身じろぎ一つせず真っすぐに裁判長を見つめていたが、最高裁への上告の説明に対しては「うんうん」とうなずく素振りを見せていた。

上告するのであれば、判決日を含めて15日以内に最高裁へ申し立てる必要があるという。今井被告側はどのような選択をするのだろうか。

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