川崎老人ホーム転落死事件 東京高裁で結審。無罪主張の被告へ来年3月判決

弁護士JP編集部

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川崎老人ホーム転落死事件 東京高裁で結審。無罪主張の被告へ来年3月判決

いわゆる「川崎老人ホーム転落死事件」により横浜地裁で死刑判決となった今井隼人被告の控訴審が、11月26日に東京高裁で結審した(細田啓介裁判長)。判決は2022年3月9日14時。

事件は2014年、川崎市の老人ホームで起こった。11~12月の深夜から未明にかけて入所者3人が相次いで転落死。職員として働いていた今井被告が逮捕され、殺人罪に問われた。

2018年3月22日、横浜地裁は死刑を言い渡し、無罪を主張する今井被告が控訴。2019年12月20日より東京高裁で控訴審が進んでいた。

清潔感のあるスーツ姿で現れた今井被告

26日の最終弁論(結審)には44席の傍聴券を求め、多くの傍聴希望者が集まった。入廷前には厳重な手荷物検査が行われ、定刻の14時少し前に開廷。今井被告は濃グレーのスーツに薄いブルーのシャツという清潔感のあるいでたちで、クリーム色とブルーのストライプのネクタイを締めていた。感染対策のマスクは、コロナ禍でメジャーとなったダイヤモンド形状のものを着用。支援者からの差し入れだろうか。

弁論は被告の弁護人から開始。一審と同じく「自白の信用性」について、裁判官に静かに語りかけるように主張した。その間、今井被告は落ち着いた様子で弁護人を見つめ、時折、裁判官にもゆっくりと視線を動かす。被告が特に主張している精神鑑定の正当性について話が及ぶと、「うんうん」と小さくうなずくような素振りを見せた。

14時30分ごろ、弁護人が「この判断を見誤れば、失われなくていい命が失われることになる」という言葉で弁論を締めくくると、検察側が弁論を開始。事前に提出された資料から要点を抜粋し、淡々と被告側の主張に反論した。精神鑑定の正当性に対する反論が読み上げられた際には、今井被告は少し不安げに裁判官のほうへ目を向けたように見えた。

被告側、検察側の双方が弁論を終えると、14時50分ごろに閉廷。今井被告本人が発言することはなかったが、「判決期日に出廷するかは被告人本人が決められる」との細田裁判長の呼びかけには、しっかりと首を縦に振ってうなずいていた。

2022年3月9日、今井被告にどんな判決が下されるのだろうか。

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