飲酒運転“認める”も「アルコール呼気検査」拒否の不可解… 逮捕された中国人旅行客の意図は?

弁護士JP編集部

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飲酒運転“認める”も「アルコール呼気検査」拒否の不可解… 逮捕された中国人旅行客の意図は?
飲酒検問でも呼気検査が行われる(ぱんだ / PIXTA)

北海道倶知安町で1月下旬、かたくなにアルコール呼気検査を拒否したとして、旅行中の中国人の男(38)が「道路交通法違反(飲酒検知拒否)」の疑いで逮捕された。

報道によると、1月26日午前1時40分頃、速度超過と見られるレンタカーが中央線にはみ出す様子をパトロール中の警察官が発見。運転していた男に職務質問しようとレンタカーを停車させたところ、酒の臭いがしたため、アルコール呼気検査を求めた。ところが男は一向に応じなかったため、その場で逮捕。酒を飲んだことは認めたものの、26日朝になっても呼気検査を拒否し続けたという。

アルコール呼気検査「任意」ではない

インターネットなど一部では、アルコール呼気検査は職務質問と同様に「任意」だとする声がある。これについて、道路交通法に詳しい伊藤雄亮弁護士は「間違った認識です」と否定する。

「道路交通法第67条第3項は、酒気帯び運転等の疑いがある人に対して警察官が呼気検査をできると定めていますし、拒んだ者に対しては、3か月以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則が設定されています(第118条の2)。拒否すれば当然、現行犯逮捕される可能性があります」(伊藤弁護士)

「飲酒運転を“認めた”のに呼気検査拒否」その意図は?

報道によると、北海道の事件で中国人旅行客は逮捕され、かつ酒を飲んだことを認めているのにもかかわらず、翌朝になっても呼気検査を拒否し続けていたという。一体、どのような意図があったのだろうか。

「推測にはなりますが、おそらくはより軽い罪になることを狙っていたのではないでしょうか。

呼気検査の結果、飲酒運転したと分かった場合は、アルコール量の程度によって罪の軽い順に『酒気帯び運転』『酒酔い運転』のいずれか、また人身事故を起こした場合は『危険運転致死傷罪』に問われる可能性があります。今回のケースにおいて、検出されるアルコール量をなるべく少なくするために“時間稼ぎ”をしていたことも十分に考えられます」(伊藤弁護士)

呼気検査を拒否した場合の罪および飲酒運転によって問われる各罪の罰則は以下。

  • 道路交通法違反(飲酒検知拒否)「3か月以下の懲役または50万円以下の罰金」
  • 酒気帯び運転「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」
  • 酒酔い運転「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」
  • 危険運転致死傷罪「1年以上15年以下の懲役」

これを知っている人が、アルコールが抜けるまで呼気検査を拒否し続けることで、もっとも罪の軽い「道路交通法違反(飲酒検知拒否)」にのみ問われ、飲酒運転の罪から逃れようとすることも考えられなくはないが…。

「呼気検査を拒否したとしても、警察官は裁判所の令状を得ることで、飲酒運転の疑いがある人の血液を強制採取することもできます。令状の取得によほど手間取れば話は別でしょうが、呼気検査の拒否によって時間稼ぎをすることで飲酒運転の罪から逃れられると期待するべきではありません」(伊藤弁護士)

北海道で逮捕されたのは中国人旅行客であり、この人物が日本の法律をどこまで理解していたのかは、疑問が残る。

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