グローバルダイニング訴訟「都の時短命令は違法」判決が確定へ

弁護士JP編集部

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グローバルダイニング訴訟「都の時短命令は違法」判決が確定へ
判決後、記者会見に臨むグローバルダイニング・長谷川耕造社長と弁護団・倉持麟太郎弁護士(8月16日 霞が関/弁護士JP編集部)

新型コロナ対策の時短命令を巡り、飲食チェーンのグローバルダイニングと東京都が争っている裁判(※1)の控訴審第1回目期日が、16日14時より東京高裁で開かれた。

グローバルダイニングは控訴するにあたって、1審で証人申請の叶わなかった

  • ⼩池百合⼦氏(東京都知事)
  • 尾⾝茂氏(公益財団法⼈結核予防会 代表理事、政府新型コロナウイルス感染症対策分科会 会⻑)
  • ⻄村康稔氏(衆議院議員、前コロナ対策担当⼤⾂、⾃⺠党コロナ対策本部⻑)
  • 猪⼝正孝氏(公益社団法⼈ 東京都医師会 副会⻑、東京都新型コロナウィルス感染症対策審議会 会⻑)

の証人尋問を求めていたが、この日、東京高裁は認めないことを決定した。

(※1)首都圏1都3県が二度目の緊急事態宣言下にあった2021年3月18日、東京都は時短営業の「要請」に従っていなかったグローバルダイニング運営の飲食店に対し、「新型インフルエンザ等特別措置法(以下、特措法)」第45条第3項に基づき時短営業するよう「命令」を発出。グローバルダイニングは命令に従ったものの、憲法で保障された「営業の自由」が侵害されたなどとして東京都を相手に国家賠償請求訴訟を提起した

「都知事の証人尋問」をする意義

5月16日に言い渡された1審判決では「都の時短命令は違法」と認められた一方、グローバルダイニングが追及していた「都知事の職務上の注意義務違反」については、

  • 都知事が裁量の範囲を著しく逸脱したとまでは言い難い
  • 学識経験者からの意見聴取の結果は、こぞって命令の発出の必要性を認めるものであった
  • 当該妥当性判断の当否等のを検討のために参照すべき先例がなかった

などを理由に認められなかった。

これを不服とし、グローバルダイニング側は即日控訴。命令が違法であると認められた一方で「被控訴人代表者である小池百合子都知事の認識を証人尋問を通じて一切問うことなく都知事の『注意義務違反が無かった』との判断は不服である」とし、証人尋問を求めていた。

「都の時短命令は違法」1審判決確定へ

1審判決は行政による新型コロナ対策の時短命令に関する「唯一かつ初めての司法判断」として大きなインパクトを与えた。

東京地裁は「都の時短命令が違法」と認めた理由について、

  • 命令の発出にあたっては「要請に応じないことに加え、当該施設管理者に不利益処分を課してもやむを得ないといえる程度の個別の事情があることを要する」と解するのが相当だが、本命令にはそれが認められなかった
  • 4日間(命令発出の3日後に緊急事態宣言が解除)しか効力が生じない命令をあえて発出したことの必要性について合理的な説明がされておらず、命令を行う判断の考え方や基準について、公平性の観点からも合理的な説明がなされていない

などとしている。

なお今回、証人尋問が認められなかったことを踏まえ、グローバルダイニング側は即日控訴を取り下げた。よって、1審判決が確定されることとなる。

グローバルダイニング代理人の倉持弁護士は「1審判決にも一定程度の社会的意義があった」と評価し、同社社長の長谷川耕造氏は「証人尋問が認められないのなら、今1審判決を確定させないと意義が薄れると思った」と述べた。

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