「携帯電話が犯人の連絡に使用されている」不安あおり80代女性から2810万円…中国拠点の特殊詐欺Gが暗躍か

弁護士JP編集部

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「携帯電話が犯人の連絡に使用されている」不安あおり80代女性から2810万円…中国拠点の特殊詐欺Gが暗躍か
自動音声ガイダンスから警察役につなぐ狡猾さで80代女性だます(白熊 / PIXTA)

<お客さまの携帯番号が本日利用停止になります>

「犯行グループは用意周到に準備した自動音声アナウンスで大手通信会社からの電話を装って電話をかけ、その後も警視庁や東京地検をかたり、言葉巧みに被害者の銀行口座や暗証番号を聞き出していたようです。グループは中国の大連に拠点を置き、同様の詐欺行為を繰り返していたとみられています」(社会部記者)

大阪府警は4月16日、被疑者不詳らと共謀の上、警察官等になりすまして千葉県の80代女性から2810万円をだまし取ったとして電子計算機使用詐欺容疑で住所不定の無職男性A(57)を逮捕したと発表した。

中国領事館に保護求め、逮捕へ

Aの逮捕は今回で5回目。逮捕のきっかけとなったのは、Aが中国の領事館に保護を求めたことという……。グループの内輪もめがあったとみられている。

前出の社会部記者がA逮捕の経緯について説明する。

「Aは今年2月1日に〝大連のホテルに身を隠している〟と領事館にスマホを持って保護を求め警察にも電話。同日に帰国し逮捕されました。Aはネット掲示板の〝かけ子募集〟を見て応募。大連の犯行グループに加わり、今年1月から詐欺を行っていたと供述しています。Aが加担していた犯行グループは詐欺を行うためのマニュアルも作成していました」

マニュアルには不安あおる文言など

犯行グループが作成していたマニュアルには、『携帯電話が覚醒剤売買、犯罪資金洗浄、公文書偽造などで犯人の連絡に使われている恐れがある』『押収した口座の中にあなたの口座もあるのですべての口座を調べる必要がある』などと被害者の不安をあおるような文言が書かれていた。これらにのっとり、Aらは警察官を装い、被害者の不安をあおった上で、銀行口座や暗証番号を聞き出していたという。

「Aはこれまでに5回逮捕されていますが、そのほとんどが未遂に終わり、実際に被害者の口座からお金をだまし取ったのは今回が初めてでした。Aは暗証番号や口座を聞き出した後、ネットバンキングを開設し、3回に分けて被害者女性の2810万円を移動。〝残高を教えてください〟などと被害者の口座情報を聞き出していたようです」(同前)

大阪府下では“アポ電”が今年以降350件

被害に遭った女性は高齢のためか、Aらとのやり取りを「あまり覚えていない」(捜査関係者)というが、今回、Aを逮捕した大阪府下では今年以降、同様の自動アナウンスによる被害者の口座情報などを聞き出す〝アポ電〟が350件確認されている。警察は犯行グループの拠点についても慎重に捜査を進めているという……。

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