紅麴サプリメント問題受け、制度改善へ初会合…機能性表示食品に「重みづけを」の意見も

弁護士JP編集部

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紅麴サプリメント問題受け、制度改善へ初会合…機能性表示食品に「重みづけを」の意見も
錠剤・カプセルタイプは過剰摂取リスクがあり、食品といえどより慎重な扱いが求められる(セーラム / PIXTA)

機能性表示食品を巡る検討会の第一回会合が19日、オンラインで開催された。健康被害が拡大する小林製薬の紅麹サプリメント問題を受け、所管省庁の消費者庁が見直しも含めた改善へ向けた議論の場を設けた。専門家らが意見交換(6回を予定)し、5月末をめどに論点をとりまとめる。

死者5人、入院者数は延べ233人(15日時点)になるなど、小林製薬の紅麴サプリメントとの関連が疑われる被害者数が増え続けている。そうした中、各分野の専門家が集い、それぞれの立場から意見を出し合い、制度の在り方を議論した。

<構成員>
(座長)中川 丈久 神戸大学大学院法学研究科教授
阿部 絹子 公益社団法人日本栄養士会 常務理事
岡田 由美子 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長
神村 裕子 公益社団法人日本医師会 常任理事
合田 幸広 国立医薬品食品衛生研究所 名誉所長 客員研究員
宗林 さおり 岐阜医療科学大学薬学部教授
富永 孝治 公益社団法人日本薬剤師会 常務理事
西﨑 泰弘 東海大学医学部総合診療学系健康管理学領域 主任教授(欠席)
三浦 公嗣 藤田医科大学特命教授

口火を切ったのは合田氏。機能性表示制度の設立時にも関わっており、「基本的に性善説に基づく制度。その分、生産者側に自由をというたてつけです」としたうえで、「今回の問題は2つ。一つはまず情報提供の問題。トラブルが起きたときの届け出をどうするか。もうひとつは品質管理の問題です。製品設計、品質管理、規格設定、この3つをどうするのか。今回の(紅麹の)問題ではこの3つともが崩れてしまった」と合田氏は2つの論点を提示した。

制度のもろさ示す残念過ぎる結果も

「性善説」で運用される機能性表示食品制度。そこにメスを入れた論文がある。東京農大らがまとめた。(Kamioka H et al. A Cross-Sectional Study Based on Forty Systematic Reviews of Foods with Function Claims (FFC) in Japan: Quality Assessment Using AMSTAR 2, Nutrients 2023, 15(9), 2047; https://doi.org/10.3390/nu15092047)

消費者庁に登録された機能性表示食品から、エビデンスとしてレビューされた論文を無作為に40件を抽出し、その質について評価した。結果は、なんと「高い」「中程度」ともに0%で、「低い」でやっと5%。そして、「致命的に低い」が95%だった。

事業者の自由度を高めた制度の下、機能性食品の”質”がいかに低いかが分かる数字だろう。結果をまとめたこの論文は国際誌「Nutrients」にも掲載されている。

なお、「致命的に低い」の評価については、「レビューに複数の重大な欠陥があることを意味し、利用可能な研究の正確かつ包括的な要約を提供するためには信頼すべきではありません」との説明が付されている。

論点をサプリメント形状に絞る意見も

品質管理については、関東の健康食品原料工場のある工場長は、「不純物が製品に混入する可能性はあるとしても、消費者に届く前に気づくプロセスが必ずあるはず。流通するまでは考えられない」と証言する。そうしたことからも”善意”を踏み越える事業者がいる可能性も踏まえ、その抜け穴をふさぐことも、制度の継続や改善のうえで重要との声が構成員から出された。

さらに、三浦氏からは、紅麹サプリメント問題でその摂取量も課題とされたことから、「再発防止の観点では(錠剤やカプセルなど)多量に摂取できるサプリメント形状の機能性表示食品に少し、重み付けするような議論も必要」と、機能性をうたえることに対する責任の重みについても検討の余地があると投げかけた。

一方で、「機能性表示食品を厳しくし過ぎると、規制の緩いほうに流れてしまう。それでは本末転倒だ」という意見も出され、全体のバランスを考えながら議論を進めていくことが重要と確認された。

5月末めどに6回の会合経て取りまとめへ

最後に自見はな子消費者及び食品安全担当大臣が、「本事案は社会的関心が高く、多くの方が不安に感じています。この検討会は、さまざまな分野の専門家の方による視点から補強いただき、また検討を加速化させていただくべく、立ち上げた場。次回以降で消費者団体、事業者団体など多様な関係者からヒアリングの実施も予定しております」と展望を明かし、短期でのとりまとめに意欲を示した。

検討会は次回2回目が24日に開催され、その後、5月末をめどに全6回行われ、論点が取りまとめられる。

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