SNS上の著名人“なりすまし”広告で集客… 60代女性「1億7000万円」の詐欺被害

弁護士JP編集部

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SNS上の著名人“なりすまし”広告で集客… 60代女性「1億7000万円」の詐欺被害
特殊詐欺捜査の専門チームがある大阪府警(クロチャン / PIXTA)

4月10日。大阪府警特殊詐欺捜査課は交流サイト(SNS)画面に投資勧誘の広告を掲載し、現金計1億7000万円を騙し取ったとして被疑者不詳の詐欺容疑事件について発表した。

被害者の60代女性は、実在する著名な大手証券会社のアナリストAを謳う人物とそのアシスタントと称する人物に言葉巧みに投資を促され、徐々に投資額を増やしていったという……。

SNS上の投資広告から誘導され…

社会部記者が被疑者の手口について説明する。

「被害女性は今年2月、SNS上の投資広告を見てサイトをクリックしたところ、友達登録するようすすめられました。登録後、著名アナリストAを謳う人物から連絡を受け、投資情報についてのやり取りを開始。その後、Aのアシスタントを謳う人物から投資アプリをインストールすることを促され、インストール金として20万円を送金。(Aらがすすめる投資での)収益が確認できたため、投資額を増やしていきました」

投資開始当初、被害者女性はAらからゴールドの投資をすすめられ利益を確認していたというが、1億円を投資した時点でAらから〝もっと儲かるので石油はどうですか〟と促され、7000万円を追金してしまったという……。

儲けているように見せかけ計21回の入金させ、1億7000万円搾取

「ですが、Aらは実際には女性の資金を運用して利益を上げていたのではなく、なんらかの方法で被害女性に利益が出ていると錯誤させていたと見られています。被害女性は1億3000万円の利益が出たタイミングで投資をやめようとしましたが、Aらは3000万円の手数料を要求。手元にお金がなかったため、息子に(投資金を得るのに手数料が必要だと)相談し、詐欺被害に遭っている疑いが発覚。警察に相談しました」

 

被害女性が今年3月上旬から始めたAらへの投資の送金は、警察に相談するまでの今年4月にかけ、計21回にわたり、その合計金額は1億7000万円にも上っていたという……。

昨今では、こうした著名人を謳う広告で集客する投資詐欺が横行。多数の被害者が出ており、被害額は昨年だけで300憶円近いともいわれている。

事件発表はZOZO創業者の前澤氏がメタ社提訴を表明した日

おりしも、大阪府警が今回の事件を発表した同日の今月10日には、衣料品通販大手ZOZO創業者の前澤友作氏が自身を謳った投資詐欺広告がフェイスブックやインスタグラムに横行し、放置されているとして、運営会社の米メタ社を提訴する考えを表明。「プラットフォームへの規制は政府にしかできない。迅速にお願いしたい」と自民党本部で語っていた。

今回の事案でも当該証券会社がHP上で「当社はこのような行為には一切関与しておりません」と注意喚起していた。

「被害者が送金した16の口座の半分はすでに解約済です。残る半分の口座は凍結されていますが、口座の資金を確保できたかどうかは不明で、すでに仮想通貨等にマネーロンダリング(資金洗浄)されている可能性もあります」(前出の記者)

著名人の信用を悪用し、老後の資金を奪い去る卑劣極まりない犯行――。警察は他の著名人を謳う投資詐欺案件との関係性も含め、被疑者グループの捜査を慎重に進めていく方針だという……。

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