新卒初任給「40万円」就活生の反応“上々” 採用サイトで圧倒的人気も…気を付けたい「固定残業代」

弁護士JP編集部

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新卒初任給「40万円」就活生の反応“上々” 採用サイトで圧倒的人気も…気を付けたい「固定残業代」
初任給引き上げの発表後、ネットでは「間違いなく激務」との声もあがっていたが…(IYO / PIXTA)

ファッションブランド「UNITED TOKYO」「PUBLIC TOKYO」などを運営するTOKYO BASEは先月12日、新卒採用初任給を40万円に引き上げると発表した。

これを受け、ネット上では称賛の声が見受けられた一方、月給40万円の内訳に月80時間分の固定残業代が含まれていることから、「間違いなく激務」といった声もあがり、一時話題となっていた。

「月80時間」の実態は不透明なまま

実際に新卒向けの採用サイト「リクナビ2025」を見てみると、初任給について、基本給20万3000円、固定残業代/月:17万2000円/80時間(※固定残業代は残業がない場合も支給し、超過する場合は別途支給)との内訳が記載されていた。

しかし、労働基準法では時間外労働の上限について、臨時的な特別の事情がある場合でも、原則である月45時間を超えることができるのは年6か月までとしており、月80時間分の固定残業代が内訳に入っていることには疑問の声があがっていた。

では、TOKYO BASEの社員は月に何時間程度残業しているのだろうか。また今回の発表に対する反響は、どう受け止めているのか。同社へ取材を申し込んだが、「お答えすることは控えさせていただきたい」とのことだった。

なお先月26日に公開された同社の決算説明会資料でも、月給を40万円に引き上げるという意気込みや生産性を向上させたいという熱意については記載があったものの、実際の労働時間について知ることはできなかった。

アパレル業界では高い月収、就活生は注目か

肝心の就活生はこの引き上げをどう捉えているのだろうか。

前述の「リクナビ2025」に掲載されている情報では、TOKYO BASE側は51~100人の採用を予定している一方、どのくらいの就活生がTOKYO BASEに興味を抱いているかの指標となる「プレエントリー候補リスト登録人数」は4959人(4月3日時点)となっている。

アパレル業界の他社と比較してみると、スーツで知られる「AOKI」の場合、初年度の月収例は月24万円程度で、同様にearth music&ecologyなどを展開する「ストライプインターナショナル」も初年度の月収例は月23万円程度としている。

AOKIの場合、46~50人の採用予定に対し「プレエントリー候補リスト登録人数」は498人(4月3日時点)にとどまっており、ストライプインターナショナルの場合も大学卒・総合職の採用予定が51人〜100人、大学卒・エリア職の採用予定が101〜200人に対し「プレエントリー候補リスト登録人数」は1192人(4月3日時点)。今後、実際に応募する人数とは異なるものの、現時点での“倍率”はTOKYO BASEが圧倒的に高くなっており、初任給は就活生にとって大きなモチベーションとなっているのは間違いなさそうだ。

給与は社会人にとって全てではないが、大きな要素だ。その一方で、1日から働きだした新社会人の中には、すでに“想像していた会社像”とのギャップやライフワークバランスに悩んでいる人も居るかもしれない。

どのような企業であっても、希望を持って入社した彼らが、長時間の残業や「やりがい搾取」に悩まされないことを願う。

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