工事の下請けをする際に、作っておくべき契約書について解説
  • 2022年04月20日
  • 不動産・建築・住まい

工事の下請けをする際に、作っておくべき契約書について解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

工事の下請けを請け負う場合、必ず契約書を結ばなければなりません。標準的な工期や金額のほかに、不利益やリスクを被らないためにも気を付けるべきことは多くあります。

本コラムでは、工事下請け契約で気を付けるべきポイントを解説します。

1. 建設業法上守らなければならないこと

(1)書面による契約締結

建設業法では、下請け工事をする場合には、書面で契約の締結をすることが義務付けられています。

建設業法において、建設工事の請負契約の当事者に、工事に際して契約内容を書面に記載してお互いに交付することを求めているのは、請負契約の明確性および正確性を担保し、紛争の発生を防止するためです。

国土交通省が出している建設業法遵守ガイドラインにおいて、契約書面の交付は、災害時などでやむをえない場合を除いて、原則として下請け工事の着工前に行わなければならない、とされています。

(2)契約書に記載しなければならない事項

下請け工事の契約書には、

  • 工事の内容
  • 代金
  • 支払いの時期や方法
  • 工期を変更するとき、金額を変更するとき、損害があったときどう負担するのかの定め

など10以上の項目について記載しなければなりません(詳しくは、建設業法19条1項をご確認ください)。

上記のなかでも、特に工事内容については、下請負人の責任施行範囲、施行条件等が具体的に書かれている必要があるので、~工事一式といったあいまいな記載は避けるべきです。

2. 契約書を作成後やるべきこと

契約書に書くべきことが決まった後は、すり替えなどを防ぐため、契約書の外形を整えていきましょう。注意するべきポイントは以下の通りです。

(1)契約書で交わされた金額に伴う収入印紙を用意する

印紙を貼っておらず税務署から指摘を受けた場合には、追徴課税をされる可能性があります。

(2)契約書は製本をする

全てのページをまとめ左側2カ所をステープラーで綴じたのち、製本テープで覆うことで、契約書の改ざんを防ぎます。

(3)契約書は2通作成し、双方が押印する

印鑑は実印でなくても構いませんが、一般に流通している印鑑での押印だと、だれでも入手が可能なため、改ざんされるリスクがあることには注意が必要です。

(4)設計図や見積もり、約款など、契約の内容に合わせ添付書類を用意する

基本的には契約書のみで法的には有効な契約となるのですが、設計図など契約の中身が分かるものを一緒に取り交わしておくとよいでしょう。

また、契約書を取り交わす前には、弁護士に依頼し法的なリスクがないかどうか、法的に正しい記述となっているか確認をすることもおすすめします。

3. 自社の利益を守るために記載しておくべきこと

上記の契約書記載事項のほかに、下請負人側の利益を守るポイントになる契約条項について、国が定めた建設工事標準下請契約約款(以下、単に「標準約款」といいます)と、比較しながらご紹介します。

(1)工事の延長に関する規定

標準約款において、下請負人の請求による工期の延長については、

「天候の不良等その責めに帰することができない理由その他の正当な理由により工期内に工事を完成することができないときは、元請負人に対して、遅滞なくその理由を明らかにした書面をもって、工期の延長を求めることができる。」(第19条1項)

と定められており、延長日数については当事者の協議で決定するとされています。

このような規定の場合、下請負人が正当な理由をもって延長を求めているのに発注者が延長の求めに応じてくれないときにトラブルが生じてしまいます。

そのため、たとえば正当な理由があるときは下請負人からの通知をもって、発注者の同意なく工期を延長できるなどの定めに変更することが考えられます。

(2)代金変更に関する規定

標準約款においては、工事内容や期間の変更や追加など当初の想定と変わってきて、工事代金を変更する必要がある場合には、両当事者で協議して決定することになっています。

下請業者側としては、当初の想定よりも手間がかかった場合、その分の追加代金を請求する必要があるかと思います。

しかし、あとで協議することにしてしまうと、追加代金についての協議がまとまらなかった場合には、追加代金を請求できないというリスクを負ってしまいます。

そこで、たとえば、下請負人が追加代金についての見積もりを発注者に示し、それに対して一定期間とくに異議がでないときには、当然にその代金を請求できる内容に変更する、といった変更を加えておくとリスクの低減につながるでしょう。

(3)近隣住民などからのクレーム対応に関する規定

標準約款には、「工事の施工について第三者との間に紛争を生じた場合においては、元請負人及び下請負人が協力してその処理解決に当たる。」(第25条2項)と定められています。

下請負人にとって、近隣住民からのクレームに対応することはなるべく避けたい事項です。また、近隣住民とのトラブルによって工期の遅れなどが生じてしまう場合もあります。

そこで、近隣トラブルについては工期延長の正当な理由となることや、クレーム対応を発注者の責任とすることなどが考えられます。

このように、下請け工事を請け負う際は細かな契約条項まで注意する必要があります。取引上の立場から、契約内容の変更といった交渉は難しいこともあるかもしれませんが、そもそもどういう内容の契約になっているかという点を確認しておき、本当はもっと望ましい契約があり得るといった点を理解しておくだけでも、今後の受注時に検討できることは増えるかと思います。

もし契約締結について不安な点があるのでしたら、弁護士に相談されることもお勧めします。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年04月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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