成年後見制度とは? 有効な活用のためのポイントと注意点
  • 2021年06月29日
  • 遺産相続

成年後見制度とは? 有効な活用のためのポイントと注意点

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

高齢化が進むことで、認知症になる高齢者の方も増えてきています。認知症になってしまうと、自分の財産を適切に管理することができなくなりますので、後見制度を利用して財産管理を行うということもひとつの選択肢となります。

今回は、成年後見制度とは何か、成年後見制度を利用するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

1. 成年後見制度とは?

成年後見制度とはどのような制度なのでしょうか。以下では、成年後見制度の基本的事項について説明します。

(1)成年後見制度の概要

成年後見制度とは、認知症などの影響で判断能力が不十分になった方に代わり、預貯金や不動産などの財産を管理したり、介護サービスや施設への入所に関する契約を結んだりすることを可能にする制度です。

成年後見制度は、「法定後見」と「任意後見」の二種類があります。

(2)法定後見制度

①法定後見制度とは

法定後見制度とは、家庭裁判所に後見人など(成年後見人、保佐人、補助人)を選任してもらい、認知症で判断能力のない本人に代わって法律行為や財産管理を行う制度のことをいいます。

法定後見制度は、本人の判断能力の程度によって、以下の三つの種類に分けられます。

  • 後見-判断能力が欠けているのが通常の方(例、重度の認知症)
  • 保佐-判断能力が著しく不十分な方(例、中程度の認知症)
  • 補助-判断能力が不十分な方(例、軽度の認知症)

②法定後見制度の利用方法

法定後見制度を利用する場合には、認知症の本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見人(保佐人、補助人)選任の申し立てを行います。

申し立てには、以下の書類が必要になりますが、裁判所によっては追加で必要になる書類もありますので、事前に確認をするようにしましょう。

  • 申し立てができる人

    本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人など、任意後見人、任意後見受任者、成年後見監督人など、検察官

  • 申し立てに必要な書類

    • 後見・保佐・補助開始申立書
    • 戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書
    • 財産目録
    • 収支予定書
    • 診断書
    • 申立事情説明書
    • 親族関係図
    • 後見人等候補者事情説明書
    • 本人情報シートなど
  • 申し立てに必要な費用

    申立手数料(収入印紙) 800円
    登記手数料(収入印紙) 2600円
    鑑定料 10万円から20万円程度
    連絡用の郵便切手 各裁判所により異なりますので、申し立てをする裁判所に確認

(3)任意後見制度

①任意後見制度とは

任意後見制度とは、本人の判断能力が十分にあるうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分自身で後見人を選ぶ制度のことをいいます。
そして、将来判断能力が低下した場合は、あらかじめ指定した人が後見人に就任することになります。

法定後見制度との違いは、本人が元気なうちに信頼できる人物を任意後見人として指定することできるという点です。
また、事前に財産管理の方法や将来の支援について決めておくことができることも任意後見制度だけに認められた内容です。

②任意後見制度の利用方法

任意後見制度を利用するためには、任意後見受任者と任意後見契約の内容を決め、本人と任意後見受任者が任意後見契約を締結します。なお、契約は、公正証書でしなければなりません。

その後、本人の判断能力が低下した場合、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、任意後見監督人選任の申し立てを行います。

2. 成年後見制度を利用するメリット・デメリット

成年後見制度を利用するにあたっては、以下のようなメリットとデメリットがあります。

(1)成年後見制度を利用するメリット

成年後見制度を利用することによって、本人に代わって財産管理や法律行為をすることができるというメリットがあります。

生前に財産を処分しようと考えたとしても、認知症の状態では、有効な契約を締結することができません。
後見人が適切に財産を管理・処分していくことによって、相続が発生した場合にも相続財産を把握することが容易になるとともに、相続財産の不当な流失を防止することができます。

(2)成年後見制度を利用するデメリット

成年後見制度のデメリットとしては、本人が亡くなるまで成年後見人としての業務が継続するということが挙げられます。
成年後見人などに選任された方は、年1回家庭裁判所に対して本人の財産管理状況などについての定期報告を行わなければなりません。

また、法定後見制度では、家庭裁判所への申し立てにあたって後見人の候補者をたてることができますが、裁判所は候補者以外の方を後見人にすることもあります。

必ずしも親族が後見人になることができるわけではないという点もデメリットといえるでしょう。

(3)成年後見制度と家族信託との違い

家族信託とは、本人の判断能力が十分なうちに、財産管理を第三者に委託する制度のことをいいます。

将来、判断能力が低下した場合にも家族信託を利用していれば、適切に財産管理を行うことができるという意味では、成年後見制度と同様の機能があるといえます。

もっとも、成年後見制度は、本人の判断能力が低下した時点で利用されるものであるのに対して、家族信託は、本人の判断能力が十分ある時点でも財産管理を開始することができるという違いがあります。

財産管理の内容を自由に決めることができるということも家族信託ならではの特徴です。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年06月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。