高齢者「パック型液体洗剤」“誤飲”で最悪のケースも…国民生活センターが注意喚起

弁護士JP編集部

弁護士JP編集部

高齢者「パック型液体洗剤」“誤飲”で最悪のケースも…国民生活センターが注意喚起
嘔吐や下痢、最悪の場合死に至ることも…(oumaru / PIXTA)

高い洗浄力などが魅力の洗濯用パック型液体洗剤。フィルムの中に濃縮液体洗剤が入っており、洗濯する際に計量する手間がないというメリットがあることから、使用している人も少なくないのではないだろうか。

そんなパック型液体洗剤を巡って国民生活センターが13日、X(旧Twitter)とHPを更新。高齢者が誤って口に入れる事故が発生しているとして注意を呼びかけた。

事故後に死亡したケースも…

パック型液体洗剤を誤って口に入れた場合、のどの痛みや嘔吐(おうと)といった消化器症状を引き起こす可能性があり、さらに嘔吐したことによって、胃に入った洗剤が気道に入り、科学性肺炎など重症化する恐れもある。

国民生活センターでは2015年にも、子どもがパック型液体洗剤を握ったりかんだりするなどしてフィルムが破れてしまい被害に遭うケースが多いとして注意喚起をしていた。

しかし医療機関ネットワークやPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、子どもだけではなく高齢者による事故情報も寄せられていることから再度、注意喚起を行ったという。

医療機関ネットワークに寄せられた、パック型液体洗剤の事故情報では、子どもでは3歳以下に多い傾向がみられた一方、成人ではすべてが70歳以上の高齢者だったという。

また、国民生活センターの発表によると、PIO-NETに寄せられた、高齢者による事故のうち、4件は治療1か月未満だったものの、誤って口に入れた後に死亡したケースが2件あったとしている。

2021年2月に寄せられた80歳代・男性の事例では以下の被害があった。

「高齢者施設に入所していた高齢者が、洗濯用パック型液体洗剤を食べてしまい、救急搬送された。下痢と嘔吐があり、「のどが焼けて痛い」と訴えがあり、水が飲めない様子だったので点滴をしてもらった。

高齢者施設に戻ったが、一晩中下痢で眠れなかった様子であった。翌日、最初に搬送された病院とは別の病院に運ばれたが、化学性肺炎で治療薬もないと言われた。最後まで意識はしっかりしていたが、3日後に死亡した」

同発表では他にも、「高齢者が柔軟剤入りの洗濯用パック型液体洗剤を1個、食べ物と思い誤って食べてしまい、救急搬送された」「洗剤による界面活性剤中毒から誤嚥(ごえん)性肺炎となり、入院し、その後人工呼吸管理が必要となった」といった事例があげられている。

事故を防ぐためには…

では、これらの事故を避けるためには、どのような対応が適切なのだろうか。国民生活センターは消費者に対して、次のようなアドバイスを行っている。

・パック型液体洗剤は、子どもだけでなく、不用意に触ってしまうおそれのある方の手の届くところには置かないようにする
・パック型液体洗剤を使用したあとは、必ずふたなどをしっかり閉めて、子どもなどの手の届かない置き場所にすぐ戻すことを習慣にする
・パック型液体洗剤をぬらさないよう気を付ける
・子どもや高齢者などが誤って口に入れてしまい、洗剤などを飲み込んだ可能性がある場合や、目に入り、よく洗い流しても異常を感じる場合には、商品の成分が分かるパッケージなどを持って医療機関を受診する

また、事業者に対しては「事故の再発防止のため、手の届かないところで使用・保管するなどの啓発等を含めた、より一層の安全対策を推進するよう要望します」と呼びかけた。

抗菌や消臭といった優れた性能がうたわれている便利なパック型液体洗剤だが、保管方法など、取り扱いには注意が必要だ。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

編集部からのお願い

情報提供をお待ちしております

この記事をシェア