吸うエナジードリンクとは? 「20歳未満の使用」法律的にはOKも自主規制のワケ

弁護士JP編集部

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吸うエナジードリンクとは? 「20歳未満の使用」法律的にはOKも自主規制のワケ
イーグルエナジーの使用イメージ

カフェイン摂取の新しい形を提案する嗜好品「EAGLE ENERGY(イーグルエナジー)」が注目を集めている。

成分の含まれたリキッドを気化させ、水蒸気として吸引するため、コーヒーやエナジードリンクのように胃腸への負担がなく、糖分もゼロだというこの製品。一見するとたばこのようにも見えるが、日本の法律上、たばこには分類されていない。よって20歳未満の使用も可能ではあるものの、公式サイトでは「対象年齢は20歳以上を推奨」とされている。

イーグルエナジーとはどのような製品なのだろうか。20歳未満の喫煙にまつわる法律とともに紹介する。

より健康的にカフェインを

イーグルエナジーは2015年にカナダで誕生し、2019年に日本へ上陸した。開発したのは、カナダの2人の大学生。日常的にエナジードリンクを愛飲していた彼らは、糖分の過剰摂取や胃腸への負担を感じたことをきっかけに、「エナジードリンクに代わるより健康的なカフェイン」としてイーグルエナジーを開発したのだという。

主な成分は、一般的なエナジードリンクにも含まれているガラナエキス(カフェイン)。イーグルエナジーの場合は、成分の入ったリキッドを加熱・気化させ水蒸気として体内に取り入れるため、糖分を気にせずエナジードリンクと同じような効果を得ることができるのだ。

ガラナはアマゾン川流域を原産地とする植物。古来より原住民が薬の原材料などとしていた(画像:Glucose / PIXTA)

イーグルエナジー1本あたりの吸引回数はおよそ400回。リキッドがなくなるまで繰り返し使用できる。フレーバーは「エナジードリンク」「エナジードリンクミント」「ライチアイスミント」の3種類だ。

20歳未満の「喫煙禁止法」適用基準は?

現在、イーグルエナジーはオンラインストアのほか、一部のコンビニやたばこ取り扱い店でも購入可能。冒頭でも触れたように、法律上は20歳未満であっても購入・使用できるが、イーグルエナジーの公式サイトで「対象年齢は20歳以上を推奨」と周知しているほか、取り扱い店舗でも20歳未満への販売を規制している場合があるという。

改めて確認すると、20歳未満の喫煙は「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」で禁止されている。

  • 第1条 二十歳未満ノ者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス

ここでいう「煙草」については、過去の国会答弁で「たばこ事業法」第2条第3号で規定された「製造たばこ」と同義であるとされている。

  • 第2条第3号 製造たばこ 葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。

よって、葉たばこを使用していないイーグルエナジーは、「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」の適用外となるのだ。

ちなみに、その他のたばこ類への「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」の適用は以下。

  • 加熱式たばこ
    葉たばこを原料とするため適用
  • 水たばこ
    葉たばこを原料とするため適用
  • 電子たばこ
    葉たばこを原料としないため適用外
    ※ニコチンを含む場合は適用

イーグルエナジーが「20歳未満の使用」を推奨しない理由

20歳未満であっても、エナジードリンクやコーヒー、紅茶など、イーグルエナジーと同じようにカフェインを多く含む嗜好品を、日常的に愛飲している方は少なくないだろう。イーグルエナジーは法律的に年齢制限を設ける必要がないにもかかわらず、公式サイトで「対象年齢は20歳以上を推奨」としているのはなぜなのか。販売元である株式会社ポッド・エナジーに聞いた。

「例えば代表的なカフェイン製品であるエナジードリンクの場合、海外ではなんらかの年齢制限を設けているケースが多くあります。そのような国際基準を踏まえた上で本商品も同様にカフェイン製品であることから年齢基準を設ける一つの理由としております」(担当者)

また、イーグルエナジーを取り扱うコンビニなどで20歳未満への販売を規制しているケースについては、「店頭販売の場合、外見が類似している加熱式たばこやたばこ代用品ベイパーが販売されているケースが多く、同じ売り場で販売される場合もあるため、それらの商品にならって20歳以上の年齢制限シールを貼付しております」とのことだった。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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