厚労省×『薬屋のひとりごと』タイアップの“裏側”とは? 「広報誌が売り切れ」異例の反響に手ごたえ

弁護士JP編集部

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厚労省×『薬屋のひとりごと』タイアップの“裏側”とは? 「広報誌が売り切れ」異例の反響に手ごたえ
厚生労働省のXより(https://x.com/MHLWitter/status/1752860124748910975?s=20)

厚生労働省(以下厚労省)は1日、アニメ『薬屋のひとりごと』とのタイアップを発表した。

同作は元薬屋で、後宮の「毒見役」として働く少女・猫猫(マオマオ)が「毒」と「薬」の知識でさまざまな事件を解決していく「後宮謎解きエンタテインメント」で、小説などのシリーズ累計は3100万部を突破し、現在TVアニメの第2クールが放送中の人気作品だ。

タイアップ企画では、猫猫の有名なセリフである「これ、毒です」が目を引く、「電子処方箋」普及啓発ポスターが医療機関や薬局、公共交通機関に掲示されている。

人気作品に白羽の矢「医療関係者ではない人にも関心を持ってほしい」

タイアップの発表から半月がたった中、企画を実施した背景や反響について、厚労省の担当者に聞いた。

「厚労省では医療DX政策として、電子処方箋の普及促進を図っており、全国の医療機関、薬局のみなさまに、来年度中に制度に対応していただくという目標を掲げています。

その中で、医療機関の方々には、電子処方箋の細かい仕組みなどをお話しさせていただく機会が多い一方、普及のためには医療関係者ではない方にも関心を持ってもらい、『制度が広まると便利になる』ことを知ってもらう必要がある、という問題意識を持っていました

そこで、薬の知識を活用して課題を解決していくというストーリーで人気を博している『薬屋のひとりごと』に注目し、タイアップさせていただこうという話になりました」(厚労省・担当者)

「極めてまれ」厚労省の広報誌が売り切れの事態に…!

AmazonのHPより(2024年2月16日)

タイアップ発表後の反響について前出の担当者は、厚労省のX(旧Twitter)での告知ポストは30万人程度が閲覧し、アニメの公式Xでも20万人程度のビューがついたといい、「多くの方々の目に触れることができたのではないか」と語った。

厚労省に寄せられた個別の意見はさまざまだというが、医療機関からは「患者さんにも関心を持っていただいている」といった声もあがっているといい、「タイアップを見ていただき一定の反応を得ることができた」(同前)と手ごたえを明かした。

厚労省では、ポスターの他にも、広報誌『厚生労働』2月号の表紙に猫猫が登場。

キャラクターが表紙を飾るのは同誌初で、猫猫役の声優・悠木碧が『薬屋のひとりごと』の魅力を語るインタビューも掲載されており、同作のファン必見の内容となっている。

『厚生労働』は紙と電子の2媒体で販売。紙媒体は一部の書店でも取り扱われているが数日間で完売。「紙の媒体が売り切れるのは極めてまれで、史上2度目です」(同前)。

同誌は定価660円で、電子版なら現在も購入可能だが、Amazonでは紙の同誌が1960円で販売されている(2月19日に確認)ことからもその人気ぶりがうかがえる。

「電子処方箋」とは?

「電子処方箋」は先月26日に運用開始から1年を迎えた比較的新しい制度で、患者が医療機関などで電子処方箋を選択し、情報の取り扱いに同意すると、複数の医療機関・薬局にまたがる薬の情報を医師・歯科医師・薬剤師に共有することができるようになるというものだ。

厚生労働省「電子処方せん(国民向け)」より(出典:広報誌『厚生労働』2023年9月号(発行:日本医療企画))

薬の服用には重複投薬(同じ成分の薬を複数の医療機関・薬局から処方され服用すること)や、併用禁忌(飲み合わせの悪い薬の組み合わせ)といった危険が伴うが、「電子処方箋」を患者が利用することで、医療機関・薬局がこれらを防ぎやすくなるという。

そのほか、「子どもの通院付き添い時、いつも付き添っていない家族が急に行くことになっても安心」「普段通っている医療機関・薬局でなくても、服用している薬をわかってもらえる」といったメリットもある。

「電子処方箋」に対応している医療機関・薬局については、厚労省のHPで確認することができるので、この機会に活用を検討してみても良いかもしれない。

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