「人間のキャパ」と検索し命を絶った夫…佐川急便パワハラ自殺を遺族が公表

佐川急便の品川区内営業所で6月、男性従業員(当時39歳)が上司からのパワハラを理由に自殺していたことが明らかになった。
同営業所ではA課長、B課長による従業員らへの激しい叱責が日常的に行われており、なかには「嘘つき野郎はあぶりだすからな!」「なめ切っているな!!」といった、業務指導というには極めて攻撃的な表現も含まれていたという。
亡くなった男性は大学卒業後、佐川急便に入社。もともと明るい性格で、従業員としてテレビ取材も受けるなど意欲的に仕事に取り組んでいた。
しかし2020年6月頃からA課長、B課長のもとで営業所の顧客獲得目標を達成するための管理業務を担当するようになってから異変が起きた。人員不足のなか、業務遂行状況について他の従業員の面前でたびたび叱責されたり、休日にも責め立てるようなメッセージを送信されたりするなど、徐々に追い詰められていったのだ。

そして6月23日朝、男性は出社後に営業所の建物から駐車場に飛び降りて亡くなった。妻によると、男性が使用していた業務用の携帯電話には「人間のキャパ」という検索履歴が残されていたという。
実は、男性が亡くなる2~3か月ほど前、事件が起きた営業所の従業員を名乗る匿名社員から本社法務部宛てに「A課長、B課長が社員を追いつめている」といった趣旨の内部通報が寄せられていた。しかし十分な対応がなされず、現場の状況が改善されることはなかった。遺族の代理人弁護士は11月4日に行った記者会見で「ハラスメントの相談窓口が設置されても、それが機能しない典型例となってしまった。法整備含め改善が必要」と語った。

なお、男性を死に追いやったとされるA課長、B課長の処分について佐川急便に問い合わせたところ「代理人を立て調整中だが、なるべくご遺族の意向を踏まえた対応をしたい」と回答があった。
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