5日に1度ペース「ゴルフ中の突然死」が発生する “なるほど”な理由… 2万体を「検死・解剖」法医学の第一人者が解説

弁護士JP編集部

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5日に1度ペース「ゴルフ中の突然死」が発生する “なるほど”な理由… 2万体を「検死・解剖」法医学の第一人者が解説
おいしい空気、鮮やかなグリーン、適度な負荷…健康イメージの強いスポーツ・ゴルフでなぜ突然死が多いのか(アラヤシキ/PIXTA)

親族や知人の訃報を聞くと、覚悟はできていても悲しいものだ。時には元気だった人が突然、亡くなってしまうこともある。誰しも「死」とは隣り合わせ。それなのに、知っていることは少なく、なんともミステリアスだ。

本連載では、そんな「死」の現実や不思議について、2万体を検死・解剖した法医学の第一人者が多様な角度から切り込み、解説する。

「ホントに?」「へぇ~」「まさか」…。知れば知るほど、「死」の奥深さを実感するーー。

第4回は、「ゴルフ中の突然死が多い理由」について。健康イメージの強いゴルフだが、なぜ、死に至ってしまうのか…。法医学者がその原因を解析する。(全5回)

※ この記事は上野正彦さんの書籍『人は、こんなことで死んでしまうのか!:監察医だけが知っている「死」のトリビア』(三笠書房《知的生きかた文庫》)より一部抜粋・構成しています。

スポーツ中の突然死の上位にランク

少し古いデータだが、東京都監察医務院が日本で起きた534件のスポーツ中の突然死について統計を発表している。それによると、一位がランニング、二位が水泳、三位に野球と続き、四位にはなんとゴルフが入っていた。

今日においても、“約5日に一回”のペースでゴルフ中での突然死が起こっているといわれている。

意外に思う人が多いかもしれない。一般的に、ゴルフは激しい動きをすることがなく、むしろいい空気を吸いながらゆっくりと芝生の上を歩くことが多いので、中高年向けの健康的なスポーツといわれている。

一位のランニング、二位の水泳はハードな有酸素運動であり、納得の結果だが、ゴルフにはハードなイメージがない。ちなみにその死因は、心筋梗塞をはじめとする心臓血管系の疾患という。一体なぜ、ゴルフ中の突然死が多いのか?

なぜゴルフ中に死に至ってしまうのか

まずいえることは、ゴルフのプレイヤーの年齢層が、野球やサッカーなどに比べて高く、なかにはかなりの高齢者もいるということだ。健康的ゆえの結果ともいえるだろう。

また会社役員などの重責にある人も多い。それらの人は、仕事がハードで運動時間の確保もままならず不足ぎみ、おまけに接待で毎日のように飲み食いをし、ストレスもかなり溜まっている。接待ゴルフの場合もあるだろう。

そんな状況で、ティーショットやパターなどでプレッシャーが加わり血圧も上がるだろう。文字通り「心臓に悪い」状況が続き、まさに心筋梗塞を起こしやすい。

そのような人が、ハードなスケジュールの合間を縫ってのんびりゴルフをやろうと思っても無理な話だ。ふだんからトレーニングも含め、継続的に行っているのならまだしも、何カ月かに一度で、しかも急に動くから心筋梗塞を起こしてもなんら不思議ではない。

ゴルフ場での死者が多い。それは、ゴルフそのものが悪いのではなく、プレイヤー自身が”問題”を抱えているということだ。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
書籍画像

人は、こんなことで死んでしまうのか!: 監察医だけが知っている「死」のトリビア (知的生きかた文庫)

上野 正彦
三笠書房

二万体の検死・解剖を行なった、元監察医が解き明かす「死のメカニズム」!65万部を超えたベストセラー『死体は語る』の著者、上野正彦が死にまつわる常識・迷信・疑問を一刀両断!

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