ヘルメット装着努力義務化、電動キックボード、タンデム自転車解禁… 2023年「自転車10大ニュース」が決定

弁護士JP編集部

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ヘルメット装着努力義務化、電動キックボード、タンデム自転車解禁… 2023年「自転車10大ニュース」が決定
自転車の世界でもいろいろあった2023年(yosan / PIXTA)

2023年の「自転車10大ニュース」が12月26日、発表された。毎年年末に、「自転車活用推進研究会」が選定。同会の理事会が30の候補を選び、一般投票を含むオンライン投票で10本に絞り込まれ、決定する。

自転車活用推進研究会HPより:https://www.cyclists.jp/

1位はヘルメットの装着努力義務化

2位以下を大きく引き離して1位に選ばれたのは、ヘルメット着用の努力義務化だ。背景には、自転車による死亡事故の減少がある。ある事故データでは、自転車による死亡事故で、亡くなった25人のうち、ヘルメット非装着が全員となる25人だったというものがある。

自転車で事故に遭った場合、転倒時に頭部を損傷するケースが多く、その結果命を落とすことにもつながっている。そうした経緯もあり、警察庁も啓蒙を続けてきたが、2019年時の調査データでも着用率が11.2%(1~89歳、全国平均)に留まっており、努力義務による装着となった。

2位はタンデム自転車の解禁だ。タンデム自転車は、サドルとペダルが1台に二か所ある自転車で、基本2人で乗車する。公道での走行は当初は全国的に禁じられており、サイクルパークなどで限定的に楽しめる程度だったが、徐々に解禁され、東京だけが禁止となっていた。

公認2人乗りのタンデム自転車で楽しさがひろがる(anatoliy_gleb / PIXTA)

純粋にカップルや親子で楽しむのはもちろん、視聴覚障害者らも、健常者と相乗りで自転車を楽しむことができ、自転車利用のすそ野が大きく広がることが期待される。

無免許で乗れるキックボード。”違法”なら罰則対象に

3位は特定小型原動機付自転車の登場が選ばれた。いわゆる原付のうち、電動機の定格出力が0.6KW以下で、長さ1.9m、幅0.6m以下で最高時速20キロ以下の車両区分のものとされる。ズバリ、電動キックボードが、この保安基準に該当する。

16歳以上は免許なしで乗れるが注意点も( yosan / PIXTA)

16歳以上は免許なしで乗れるが、車道の通行がNGで、ヘルメットも努力義務ながら着用となっており、公道での乗車にはより注意深い運転マナーが求められると留意しておく必要がある。最高速度など、保安基準を逸脱していれば、当然、無免許運転で罰則対象となる。

4位はサイクルトレイン・バス導入の手引き公表のトピック。電車やバスで自転車を解体せずに乗れるサイクルトレイン・バスは、旅先での自転車走行を可能にしてくれる。なにより、駐輪感覚で電車移動できるため、公共交通との組み合わせで行動範囲が大きく広がるため、普及が期待されており、票が集まったようだ。

5位以下も自転車走行を満喫する上で、気持ちが盛り上がるようなトピックが並んだ。その中で、6位の「警察庁が自転車交通秩序のための有識者会議開く」は、これからの自転車ルール整備に大きな影響を与えるもので、重さでいえばトップ級のトピックといえる。

12月下旬に公表された同会議の中間報告では、自転車に青切符を導入することが盛り込まれ、歩道の暴走や傘差し、スマホなどを携帯しての”ながら運転などが罰則対象になることが明らかになった。

それら以外にも、公道における自転車走行の最適化に大胆な提言がされており、来年の通常国会への改正法案提出を経て、26年をめどに、自転車にとってより快適で走りやすいルールが整備が施行される見込みだ。

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