「あなたは合格です!」から暗転… 20歳前後の女性でトラブル増加“オーディション商法”の狡猾さ

弁護士JP編集部

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「あなたは合格です!」から暗転… 20歳前後の女性でトラブル増加“オーディション商法”の狡猾さ
オーディションは「合格」が基準の夢をもてあそぶ狡猾さ(Fast&Slow / PIXTA)

【憧れの芸能界!#オーディション に行ったら合格しちゃった!😸 「事務所に所属するにはレッスン料や登録料が必要」って言われて、高いけど仕事がもらえるならって支払ってワクワクして待ってたのに、全然仕事が来ないじゃん! どうすればいいの😫】(国民生活センターHPより)

12月12日。国民生活センターは20代からのタレント・モデル契約のトラブルの相談が寄せられているとして注意喚起するとともに、同センターに寄せられた相談事例を公表した。

映画キャストに「審査通過」も金銭トラブル

同センターが公表した事例には〝タレントの面接審査に合格した〟〝映画のキャストに審査通過した〟などの甘言に惑わされ、金銭トラブルにあってしまったケースが挙げられている。

以下に同センターに寄せられた実際の相談事例と留意点について紹介する。

【急かされて高額なマネジメント契約をしたが、解約したい】
インターネットでタレントオーディションの広告を見つけ、興味があったので面接審査を受けた。その後、「合格した」と電話で連絡があり、事務所に行ったところ、その場でマネジメント業務委託契約の勧誘を受けた。契約を迷っていたところ「今契約しなければチャンスはない」と言われ、初期費用約10万円と所属費毎月約3万円のほか、月数回の演技やモデルのレッスン料がかかると説明を受けた。

1年以内の解約時には違約金がかかると説明されたが、具体的な違約金の額の説明はなく、契約書にも詳細の記載はない。高額な契約をしたことを後悔し、1カ月後に契約解除の連絡をしたが、レッスンを受ける前にもかかわらず違約金として初期費用約10万円と半年分の所属費を請求すると言われた。契約時に違約金の額について説明がなかったので、支払いたくない。

20代女子大生は所属費など計約28万円を請求された

今年7月に同センターに寄せられた上記の20歳代の女子大生からの相談には、芸能事務所から契約時に違約金の説明がなかったにもかかわらず、初期費用約10万円と半年分の所属費毎月約3万円、計28万円もの事務所所属費の請求を受けたことが見て取れる。

このケースでは芸能事務所側から請求があったものの実際にはまだ金銭を支払っていないようだが、面接時に事務所側から言葉巧みに誘導され、金銭を支払ってしまったケースも存在するようだ。

【仕事をもらうために業務提携契約をし、解約を申し出たら高額な解約料を請求された】
役者募集サイトで映画のキャストの募集を見つけ、応募した。審査通過のメールがあり、面接に出向くと、「映画のオーディションを受けるには出演した実績が必要なので当社に登録しないか」と勧誘された。アルバイトのような形で案件がもらえるとの説明で、このタレント事務所に登録することにし、その場で年会費約5万円をコード決済で支払った。

次回の面接日が決まり、出向いたところ、「確実に仕事ができる業務提携をしないか」と勧誘された。担当者に私のスマートフォンを操作され、約60万円を分割で支払う契約をした。その後事業者を信用できなくなり、解約を申し出たところ、40%の違約金が発生すると言われた。解約したい。 (2023年8月受付 20歳代 女性 大学生)

こうした、オーディションを餌に応募者から「レッスン料」や「登録費」などの名目で高額な金銭を要求する手口は“オーディション商法”といわれ、若い女性、特に20歳前後を中心に被害が増加している。

「合格」という言葉で夢見心地にさせられ、これらのようなトラブルにあわないためにも同センターは「レッスン等を受講しても必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなど『冷静』『慎重』な判断を心がけましょう」と注意喚起。その場で契約せず、具体的な活動内容や芸能事務所のサポート体制、それらに伴う費用負担がある場合はその内訳など、契約内容をよく確認することを留意している。

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