中国版 “闇バイト”に応募? 個人データ1万人分を利用「在留カード」を偽造し逮捕された夫婦の背景

弁護士JP編集部

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中国版 “闇バイト”に応募? 個人データ1万人分を利用「在留カード」を偽造し逮捕された夫婦の背景
“偽造”在留カードを製造する犯罪が近年では相次いでいる( ’90 Bantam / PIXTA )

「押収されたのは在留カード、保険証、運転免許証、マイナンバーカードなどでした。一風変わったところでは学位証明証なども見つかっています。容疑者らは偽造したそれらの証明証を1枚7000円~1万円で販売していたようです」(警視庁担当記者)

在留カード偽造の手口

東京都・北区の自宅で在留カードを19枚偽造したとして、警視庁国際対策犯罪課は中国籍の田倍宁(でん・ばいねい)容疑者(26)と妻の竹内朱実容疑者(23)を入管難民法違反(在留カード偽造)容疑で再逮捕した。田らは10月4日、第三者に在留カードを送付しようとしたとして同法違反(在留カードの行使目的提供未遂)容疑で逮捕されていたが、その後の捜査で今回の在留カード偽造の一端が浮かび上がったという。

前出の記者が田らの在留カード偽造の手口について解説する。

「田らは中国のサイト上にあった“中国版闇バイト”の『簡単な仕事』などと書かれた募集に応募。応募後は中国版LINEとも言える『WeChat』で指示役とのやり取りを行い、指示役から送られてきたプリンターを使用して在留カード等の偽造を行っていました」

カード偽造の際に使用する住所、氏名、写真などの個人データも指示役から送られており、田のパソコンに残っていたそれらのデータは1万人にも上っていたという。

「顧客はSNSなど指示役が何らかの形で募った不法滞在者と見られ、国籍は中国、インドネシア、スリランカ、インドネシア、ベトナムなど多岐にわたっていました」(同前)

容疑者は妻に『辞めたい』と話していたが…

今回のケースと同様、日本国内で偽造在留カードを製造する犯罪が近年では相次いでおり、2021年には警視庁、群馬、愛知県警などの合同捜査本部がマンション一室で在留カードを偽造したとして中国人派遣社員の男(当時41)が逮捕。

また、22年には千葉県旭市で在留カードを偽造したとして6人を逮捕しているが、指示役とのやり取りなど犯行の一端が明らかとなるのはまれだという。

前出の記者が続ける。

「逮捕された田は2016年に留学目的で来日。日本在住でハーフの竹内と知り合い結婚。今回、犯行の一端が明らかとなったのは偽造カードで得た“あがり”等の金銭管理を妻の竹内が細かく記録していたことからでした。田はいつかバレるのではないかというリスクを考え、竹内に『辞めたい』などと話していたようですが、月に40万程度の売り上げがあったため、竹内が首をタテにふらなかったようです」

取り調べに対し、田容疑者は容疑を認め妻の竹内は容疑を否認。警察当局もこれの犯罪がいずれ組織化していくことで日本の治安を脅かす可能性があるとみて警戒感を持っているという……。

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