ボクシング亀田3兄弟が「勝訴」二審JBCへ「1億円」の賠償命令

プロボクシング元3階級世界王者の亀田興毅さんら3兄弟が、日本ボクシングコミッション(JBC)から受けた不当な処分によって試合ができなくなり、損害を受けたとしてJBCなどに約6億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審の判決が24日東京高裁であった。
石井浩裁判長は処分の違法性とJBC側の賠償責任を認めた一審・東京地裁判決を支持。二審は一審の4550万円から倍以上となる、合計1億10万円の支払いをJBCに命じた。
亀田3兄弟は国内での試合ができない状況に
裁判の発端は2013年12月3日に行われたボクシングタイトルマッチ。世界スーパーフライ級王座統一戦(IBF・WBA)において、IBF王者(当時)・亀田大毅さんが判定(2-1)で敗れながら王座を保持するという結果が物議を醸す。
2014年2月JBCは一連の混乱を招いたことなどを理由として、亀田ジム吉井慎次会長と嶋聡マネジャー(いずれも当時)のライセンス更新を認めない処分を発表。事実上のはく奪処分に、亀田3兄弟は国内での試合ができない状況となった。
亀田興毅さんら3兄弟側は、「JBCの不当な処分で試合ができず、損害を受けた」として、2016年1月に約6億6000万円の損害賠償を求め提訴。2020年に東京地裁は「処分は裁量権を逸脱、乱用するもので違法」として、JBCと理事らに賠償金の支払いを命じた。これに対しJBC側は判決を不服として控訴、亀田さん側も賠償金額を不服として控訴していた。
「正直苦しい期間があった」(亀田興毅さん)
判決後に記者会見を開いた亀田興毅さん(3150ファイトクラブ会長)は、「勝訴すると思いやってきたが、結果が出るとホッとします」とコメント。次男の大毅さん(同副会長)も「お兄ちゃん同様うれしく思います」と話した。
JBCに対しては、「これから先、同じ思いをするボクサーが出ないように、しっかりとした組織として機能してやっていってもらいたい。いちボクシングジムの会長として強く望みます」(興毅さん)と改革を希望した。
当時、世間から受けた「亀田一家」バッシングについても、「あれ(騒動)から時が流れ変わったが、ついたイメージは簡単にもどるものではない。正直苦しい期間があった」(興毅さん)と振り返った。
会見の最後には、興毅さんから「世界初の3兄弟をつくった、我々にとって世界一のオヤジ」父・亀田史郎さんへの思いも語られた。
2010年、暴言により史郎さんはボクシング界から追放処分となったが、復帰に向けライセンスの申請を行っているという。自身が会長を務めるジムの名称『3150ファイトクラブ』の3150には再興(さいこう)の意味も込められている。「『再興』した際には『オヤジ、どんなもんじゃい!』といいたい」と締めくくった。

「コンプライアンスの確立は1ミリもなされていない」(北村晴男弁護士)
会見に同席した亀田3兄弟側の代理人・北村晴男弁護士は、判決を「裁判所によって正義が実現された。違法行為を認定していることに感謝している」と評価。賠償金が2倍以上に増えた理由について精査前としながら、「一審では違法な処分がなければ行えたはず試合が1試合と控えめだったが、二審では、2試合できたと認められれたのでは」と述べた。
また、JBCの姿勢に対しては、「一審でも違法行為が認定されても、評議会の方々の解任なども行われず、コンプライアンスの確立は1ミリもなされなかった」として厳しく批判、組織改革の必要性を訴えた。

JBC側は判決を受け、同日オンラインで会見。
一審から倍増した賠償金について、永田有平理事長は「金額については驚いている」と述べ、判決については「内容を精査し、今後の対応を考えていく」とした。多額の賠償金によって懸念されるJBCの財務状況については「すべてのことを考えてやっていきたい。まずは(ボクシングの)試合を継続することが大切なので、最善を尽くしたい」と話すにとどめた。

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