川﨑麻世・カイヤ離婚成立で考える離婚と「タイパ」の損得勘定… 「協議か裁判か」の “損益分岐点”は?

弁護士JP編集部

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川﨑麻世・カイヤ離婚成立で考える離婚と「タイパ」の損得勘定… 「協議か裁判か」の “損益分岐点”は?
日本では裁判離婚は1割前後と少数派だが(takeuchi masato / PIXTA)

俳優で歌手の川﨑麻世さんが、自身のブログでタレントのカイヤさんと離婚したことを報告した。2人の関係をめぐってはさまざまなトラブル等でメディアを騒がせるなど、”離婚ビジネス”と揶揄されるなどしたが、裁判の末、ついに婚姻生活にピリオドが打たれた。

互いにいがみ合い、離婚を視野に入れながらも、なかなか踏み切れない夫婦もいれば、紙切れ一枚をサクッと提出し、離婚してしまうカップルもいる。もっとも、子どもがいれば、親権や養育費のこと等もあり、顔を合わせたくなくても話し合い、詰めるべきことはいろいろある。

日本では裁判での離婚は1割前後

裁判で離婚した川﨑さんは、2017年に提訴し、成立までに約5年を要した。日本ではほとんどが協議離婚で、裁判で離婚する夫婦は1割前後だが、勝訴すれば必ず離婚できるため、それだけの思いがあっての選択だったのだろう。

川﨑さんは自身の公式公式ブログ(https://ameblo.jp/kawasakimayo/)で「先日、判決に基づき離婚届を提出し、ようやく新しい一歩を踏み出すスタートラインに立つことが出来ました。長きに渡り、私事で皆様をお騒がせしてしまい誠に申し訳ございません。還暦を迎え、これから新たに始まる人生をより丁寧に正直に感謝の気持ちを忘れず、生きていきたいと思っております」と離婚を報告。人生の節目のタイミングに再スタートを切ることを前向きに語っている。

統計上も経験上も2年以内に終わるケースがほとんど

離婚の形は夫婦の数だけある。どれが正解というのはない。そうした中で、全体としてはレアケースとなる裁判による離婚にはどんなメリット・デメリットがあるのか。 また、どんな場合に離婚裁判を選択するのが得策といえるのか。離婚問題で多くの実績のある安達里美弁護士に聞いた。

テレビ画面上ではトラブルの絶えない夫婦でしたが、ようやく裁判で離婚が成立しました。5年ほどの時間がかかっていますが、裁判だと平均的なのでしょうか。

安達弁護士:離婚訴訟の提起から5年というのは相当に長いケースですね。統計上も私の経験上も2年以内に終わるケースがほとんどです。一部長期化するケースはありますが、それでも5年というのはだいぶ長いですね。

離婚裁判が長引くケースで多いのはどのような事情が考えられるのでしょうか。

安達弁護士:お互い譲れない条件があるというときには長引きますね。 離婚自体したくないというケースもありますが、離婚自体は合意していていても条件面で合意できずに長引いているケースの方が多いと思います。特にお子さんの親権、財産分与に関しては当事者が「絶対に譲れない!!」というスタンスの場合は長引く傾向にあります。

やはり”権利”で衝突するとこじれる傾向なのですね。

安達弁護士:なかでも財産分与が争点になっているケースについては、「相手が財産を隠している。調査してほしい」「この財産の価値はいくらなのか」「この財産は親からもらったもので分ける財産ではない」など、争いの種が満載で、おまけに「判例はこうです!」みたいな基準もあいまいなため、個別の判断となる部分が多く、さらに時間がかかる印象です。あとは離婚を先延ばししたくて財産分与で無理筋な主張を乱発してくるケースもあります。川﨑さんとカイヤさんもなかなか折り合いがつかない要素があったのでしょう。

「上手に痛み分け」がベター

結果的に別れることを前提にすると、早いほうがいい気もします。裁判以外の離婚の種類もある中で、どのように解決法を決めるのが得策なのでしょうか

安達弁護士:何を優先するかは大事です。時間(早く離婚したい)を優先するのであれば、金銭面は法定レベルかそれ以下でもよいと割り切る。逆にお金を優先させるのであれば、時間の消費については気にしないと腹をくくることも必要です。 また、自分だけではなく、相手のあることなので、正直、相手の意向にも諸々左右されますね。自分の希望と相手のスタンスを良く見極めることが大事です。

多くの離婚を成立させてきた先生から、より良い離婚を成立させるためにアドバイスするとしたらどんなことでしょうか?

『離婚する=清算する』と決めた以上、企業分割くらいに思って(笑)ある程度ビジネスライクに割り切れれば、その後も特に子どもがいるという場合、ほどほどの関係でいられるケースは多いです。まあ、なかなか感情的には難しいでしょうが、そういう方が結果的に良いのだということは意識しておいて損はないと思います。

「双方ともがきっちり納得する解決策はない」ということを前提に、上手に痛み分けできればいいのですが。「時間の流れと人の考えは変えられない」くらいに考え、「自分が選んだ人はこういう人だからこういう割り切りで損切りしよう。この経験は人生の宝」くらいに思えれば勝ち組だと個人的には思っています。

カイヤさんは自身の公式ブログで(https://ameblo.jp/caiya-blog/)で「離婚届を受理されたことはマスコミを通して知りました」とはじめ、「裁判は本当に大変でした、言葉の壁や、日米の価値観の違い、思っている事や伝えたいことが残念ながら届きませんでした」とつづり、「色々と気にかけてくれている皆さん、長い間心配させてしまいごめんなさい、でもありがとうと伝えたいです何度でも。 ありがとう、本当にありがとう」と感謝を述べた。

その上で、P.Sとして、「出会ってから一週間の間まで、あなたは本当に素敵でした。さよなら、麻世」と締めくくった。

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