伊藤詩織さん「合意なき性行為」二審も認める「大きな憤り」元TBS記者山口さんは最高裁上告へ

弁護士JP編集部

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2022年01月26日 12:50

伊藤詩織さん「合意なき性行為」二審も認める「大きな憤り」元TBS記者山口さんは最高裁上告へ 判決後、伊藤さんは日比谷ビジョンセンターで、山口さんは霞が関・司法記者クラブで記者会見(1月25日/弁護士JP編集部)

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めていた裁判で、25日、東京高裁は「合意のない性行為だった」とする伊藤さんの主張を認め、山口さんに約332万円の支払いを命じた。山口さんは判決を不服として上告を表明。上告が確定すれば、最高裁に最終判断がゆだねられることとなる。

一方、これまでの記者会見などで伊藤さんが「デートレイプドラッグを盛られた」と発言したことについて、名誉棄損で1億3000万円の賠償と謝罪広告を求めていた山口さんの訴えも一部認められ、伊藤さんにも55万円の支払いが命じられた。

「性行為に合意があったか」食い違う両者の主張

争いの発端は、2015年4月にさかのぼる。当時ジャーナリスト志望の伊藤さんとTBS記者職であった山口さんが、就職相談として都内で会食。その後、酩酊状態で「記憶をなくした」伊藤さんが、山口さんの宿泊していたホテルの部屋で、性行為の最中に意識を取り戻したというもの。

これに対し、伊藤さんは「デートレイプドラッグを盛られ性的暴行を受けた」と主張。山口さんは否定し「合意に基づく性行為だった」と反論していた。

両者による争いを時系列で振り返ると、以下の通りだ。

  • 2013年12月
    ニューヨークのバーで知り合う
  • 2015年4月
    東京都内で会食後、伊藤さんが意識を失う。ホテルで性行為
    伊藤さんが準強姦(ごうかん)容疑で警視庁に被害届を提出
  • 2016年7月
    東京地検が嫌疑不十分で不起訴
  • 2017年5月
    伊藤さんが不起訴不当を訴える
  • 2017年9月
    東京第6検察審査会が不起訴相当と議決
    伊藤さんが山口さんを相手に民事裁判を起こす。1100万円の損害賠償請求
  • 2019年12月
    (一審)東京地裁が伊藤さんの主張を認め山口さんに330万円の支払い命令
  • 2020年1月
    山口さんが判決を不服として東京高裁に控訴
  • 2022年1月
    (二審)東京高裁が一審に続き伊藤さんの主張を認め山口さんに約332万円の支払い命令。山口さんへの名誉棄損で伊藤さんにも55万円の支払い命令

山口さん「判決に不満。上告する」

判決後、両者は日比谷公園を挟んでわずか600メートルほどの会場でそれぞれ記者会見を実施。いずれの会場も記者らで満席となり、裁判の注目の高さをうかがわせた。

山口さんが会見を開いたのは、霞が関の司法記者クラブ。300ページに及ぶという判決文はすべて目を通せていないとしたうえで「デートレイプドラッグという主張を巡り、伊藤さんの不法行為と損害賠償が認められたことは高く評価する」としながらも、「全体としては今回の判決に不満がある。上告することとし、その準備に入っている」と述べた。

デートレイプドラッグについて「伊藤さんは繰り返し世界中にでたらめを発信した。非常に大きな憤りを感じていた」とも述べた山口さん

伊藤さん「同意がなかったと認められたことは大きい」

一方、伊藤さんの姿はビジョンセンター日比谷にあった。山口さんと同様、判決文はすべて目を通せていないとしながらも「この民事裁判で『同意がなかった』と認められたことはとても大きいのではないかと考える」と話した。

自身にも名誉棄損で損害賠償55万円の支払いが命じられたことについては「(デートレイプドラッグについて)個人的な意見を述べたことはそれまでだが、その後デートレイプドラッグによる性被害の存在が認識され、警視庁でも性犯罪における薬物使用の可能性について通達されたことは大きな前進だった」と述べた。

時折涙ぐみながらこれまでを振り返る伊藤さん。声を上げたことで誹謗中傷にもさらされたが「後悔はない」と語った
いずれの記者会見にも多くの記者が詰めかけた(左:伊藤さんの記者会見、右:山口さんの記者会見)
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