ヤングケアラー「中学生17人に1人」の深刻。武井壮さんら経験者が伝えるリアルとは?

弁護士JP編集部

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ヤングケアラー「中学生17人に1人」の深刻。武井壮さんら経験者が伝えるリアルとは?
登壇者一覧(厚生労働省ホームページより)

1月30日16~18時、厚生労働省のYouTubeチャンネルで「ヤングケアラーについて理解を深めるシンポジウム」がライブ配信される。

ヤングケアラーとは?

ニュースなどで取り上げられることも多くなった「ヤングケアラー」。その言葉に法令上の定義はないものの、厚生労働省のホームページでは「本来大人が担うと想定されているような家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされている。

例えば親やきょうだいに病気や障害がある家庭では、買い物、料理、掃除、洗濯などの家事や、トイレ、入浴、食事の介助といった介護を子どもがしなければ日常生活が成り立たないケースもある。

その負担は重く、学業や友人関係、将来の選択などに影響が出てしまうことも珍しくない。ところが当事者は、世話をする側もされる側も「当たり前のこと」として抱え込み、誰にも相談できず、問題として表面化しづらい傾向がある。

支援団体などの働きかけにより、「ヤングケアラー」が社会問題として認識され始めたのはごく最近のこと。2020年12月から2021年1月には厚生労働省と文部科学省により初の実態調査が行われた。

全国の公立中学校1000校を抽出し、2年生を対象にインターネットでアンケートを行った結果、回答のあった5558人のうち5.7%が「世話をしている家族がいる」と回答。約17人に1人がヤングケアラーの状態にあることがわかった。

幼少期は兄と二人で生活。タレント・武井壮さんが問題の本質に迫る

今回、厚生労働省が開催するシンポジウムは、ヤングケアラーについて広く知ってもらう機会を作るもの。ヤングケアラーに関する数多くの著述がある成蹊大学教授・澁谷智子さんや、複数の学校でスクールソーシャルワーカーとして勤務する黒光さおりさんら有識者、ヤングケアラーだった経験をもとに支援活動を続ける方たちによるトークセッション、パネルディスカッションなどを実施する。

また、タレントの武井壮さんと、元ヤングケアラー、スクールソーシャルワーカーとの特別対談も配信。自身も幼いころに兄と二人で生活をしなければならない環境で育った武井さんならではの視点で、ヤングケアラーを取り巻く問題の本質に迫る。

当日のプログラム(厚生労働省ホームページより

動き出した厚労省「知識が支援につながる」

ヤングケアラーをテーマにした企画は、厚生労働省として初の試み。今回は広く普及啓発ができるよう、YouTubeライブ配信という形式を取った。

「『ヤングケアラー』については、最近よくメディア等で取り立てていただいていることもあり、知られてきてはいますが、まだまだ一般的とは言いがたいです。加えて、『ヤングケアラー』を早期に発見し適切な支援につなげるためには、私たち一人ひとりが当事者の置かれている状況を理解し、その気持ちを尊重できる知識を身につけることが重要です」(厚労省担当者)

ようやく社会の目が向けられ始めたヤングケアラー。シンポジウムは、支援など問題解決に向けた取り組みの第一歩として期待も大きい。

「まずはヤングケアラーを知っていただくという意味で子どもたちからその周囲の方々(福祉・介護・医療・教育の現場に携わっておられる方)にご覧いただきたいと思います。その先に当事者の気持ちに寄り添った支援にどのようにつなげていくのかということまで議論が深まればいいと思っています」(同担当者)

シンポジウムには誰でも無料で参加できる(厚生労働省ホームページより

【開催概要】
ヤングケアラーについて理解を深めるシンポジウム
日時:2022年1月30日(日) 16:00~18:00
料金:参加無料 ※事前予約不要
配信URL(厚生労働省YouTubeチャンネル):https://youtu.be/QX61hixLhzw

【登壇者】
澁谷智子(成蹊大学 文学部現代社会学科教授)
武井壮(タレント、公益社団法人 日本フェンシング協会会長)
宮﨑成悟(一般社団法人ヤングケアラー協会代表理事、元ヤングケアラー)
沖村有希子(日本ケアラー連盟 ヤングケアラープロジェクト登録スピーカー、元ヤングケアラー)
黒光さおり(スクールソーシャルワーカー、元ヤングケアラー)
羽野嘉朗(厚生労働省 子ども家庭局家庭福祉課 虐待防止対策推進室長)

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