
「1セット3000円が84万円に」名古屋“ぼったくり”飲食店経営者ら逮捕…被害急増に“あるグループ”の影

「1セット3000円です」――。
そんな客引きの甘言で店に誘導し、飲食後に84万円もの高額を請求していた店の経営者・屋代健太郎容疑者(24)ら5人が今月24日までに風営法違反(無許可営業)容疑で愛知・三重両県警に逮捕された。
屋代らの逮捕容疑となったのは今年3月29日に名古屋屈指の歓楽街・錦3丁目の「lounge響」で風俗営業の許可を得ずに女性らに客の接待をさせていた疑いだが、両県警は以前から屋代率いるグループが日常的にぼったくりを行っていたとして数か月にわたり捜査を進めていたという。
3か月間で約1500万円の“売り上げ”
県警担当記者が屋代が逮捕に至った経緯について説明する。
「今年1月~6月にかけ、県警には74件のぼったくりの相談が寄せられていました。特にコロナ禍明けの4、5月ごろからは名古屋への出張者の増加と比例して被害が急増していた。その中で警察が目をつけたのが今年5月にぼったくり防止条例違反容疑で店員を逮捕した『lounge響』の経営者である屋代容疑者でした」
屋代が経営していた響は今年2月から3か月間にかけ、約1500万円を売り上げていたというが、
「屋代が率いていた通称『ケンタロウグループ』はぼったくり被害が増加した今年4,5月ごろから急激に勢力を伸ばし、錦3丁目に同様の店舗を10店以上構え、今年1月~6月までに県警に寄せられていたぼったくり被害の約半数がケンタロウグループの店舗に関するものでした」(同前)
「背後には暴力団の存在も…」
事態を看過しかねた愛知・三重の両県警は5月に逮捕した響の従業員や客引きらから突き上げ捜査を進めていた。そして、元締めである屋代を逮捕するに至ったという。
「今回逮捕された5人の中には三重を拠店とした一大風俗グループである『K2グループ』の元メンバーも含まれていました。K2グループは今年1月、四日市の繁華街で違法な客引きを行ったとして風営法違反容疑で今回と同じく愛知・三重の両県警によりグループのトップを始めとした15人を逮捕しています。
錦3丁目のぼったくりはこのK2グループとケンタロウグループが中心でしたが、1月のK2トップの逮捕、今回の屋代の逮捕により、同エリア内に存在していた30数店舗のぼったくり店舗は数店舗を残すのみでほぼ一掃されました」(前出の県警担当記者)
愛知・三重の両県警は、屋代が急速に店舗を拡大したことや、大っぴらにぼったくりを行っていたことなどから、
「背後には暴力団の存在が見え隠れする。今後は資金の流れも含めて捜査を続ける」(捜査関係者)という……。
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