
大阪府警が脅迫容疑他で男性を2回“誤認”逮捕の失態…「ずさん」な捜査はなぜ発生した?

今年4月12日――。大阪府警守口署は3月下旬に20歳代女性Aさんに対し面会等を要求するメッセージを送信し、4月上旬に身体等に危害を加える内容のメッセージを送信したとして知人男性B氏を強要未遂、脅迫容疑で逮捕した――。
B氏は5月2日にAさんの友人に対して、3月下旬から4月上旬にかけ、Aさんの性的画像をSNSのダイレクトメッセージで送信したとしてリベンジポルノ防止法違反容疑で再逮捕されたが、こともあろうにこの2つの事件は大阪府警による“誤認逮捕”だった……。
“緊急性を要する”と判断し、B氏を逮捕
府警担当記者が事件の経緯について説明する。
「Aさんから被害の相談を受けた警察は今年4月7日に警告のためにB氏に電話をかけますが、警察からの電話を不審に思ったB氏は翌日になって最寄りの交番から確認のために守口署へ架電。B氏は当初から一貫して否認していました。ですが警察はAさんが警察に相談したことを知ったB氏以外の第3者がAさんに脅迫メッセージを送ったことで“緊急性を要する”と判断し、B氏を逮捕しました」
逮捕後の捜査により、B氏はAさんの友人ら4人に対し性的画像をSNSのダイレクトメッセージで送ったとして再逮捕されてしまう。そしてB氏は42日もの間、守口署に勾留されることとなってしまった…。
「B氏がAさんにメッセージを送ったとされるアカウントは複数あり、その中にはB氏の名字を使用したアカウントもありましたが、犯行に使用されたアカウントもB氏が物理的な要因で作成できない場所から作られたことが逮捕後に判明しています。アカウントの特定がなされないままB氏を逮捕したことに疑問を感じます」(同前)
「キチンとした基礎捜査ができていれば…」
緊急性を要したとはいえ、それらの極めて“ずさん”な捜査手法から誤認逮捕されてしまったBさんは、検察の判断により逮捕から42日後の5月23日に処分保留で釈放。刑事部幹部はBさんに対して謝罪を行ったという…。
前出の府警担当記者があきれる。
「事件はB氏を装ったなりすましで行われたものと見られていますが、真犯人がB氏のIDやパスワードを盗みアカウントを作成していた訳ではないので“なりすまし行為”で何らかの容疑に問うのは難しいと思われます。警察は真犯人を逮捕すべく捜査を進めていますが、そもそもキチンとした基礎捜査ができていれば今回のような誤認逮捕は起こらなかったはずです」
B氏は逮捕後から現在に至るまで「会社には出勤できていない」(同前)という。警察には誤認逮捕に至った経緯の徹底解明が求められる。
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