「学校行きたくない」子ども“気象病”も要因に? 親が「言ってはいけない」“NGワード”とは

弁護士JP編集部

弁護士JP編集部

「学校行きたくない」子ども“気象病”も要因に? 親が「言ってはいけない」“NGワード”とは
元気がないのは「低気圧のせい」かも…?(beauty-box / PIXTA)

不登校児童生徒数は、2021年までに9年連続で増加の一途をたどっている(文部科学省の調査より)。不登校の要因といえば「いじめ」「家庭内の不和」などを想像する人も少なくないかもしれないが、同調査によれば、小中学生ともに「無気力、不安」が占める割合が約50%ともっとも多いという。

梅雨シーズンの到来で気候が不安定になり、気持ちが落ち込んだり、体に不調を感じたりする人も増えてきそうだが、もし子どもが「学校に行きたくない」と言い出したら、保護者はどう対処すればよいのだろうか。

低気圧は「血管収縮」「自律神経」にも影響を与える

低気圧が心身に不調をきたす現象は「気象病」と呼ばれ、近年悩まされる人が増えている。

臨床心理士の大塚紀廣さんは、「低気圧は血管の収縮や自律神経にも影響を与えるため、頭痛、めまい、だるさ、胃腸の不調といった症状が出ると言われています。また心と体は相互に影響し合うため、体調が悪ければ気分は落ち込みますし、気分の落ち込みが体調不良を引き起こすこともあるのです」とその症状について説明する。

気象病は大人だけでなく、子どもが発症することも珍しくないという。子どもは大人に比べて自分の不調をうまく言語化することができないが、その分、表情や態度には比較的ストレートに表れるため、よく観察して“サイン”を見逃さないことが重要だ。

【気象病の主な“サイン”】

  • 気分
    無気力、憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める
  • 行動
    反応が遅い、頭が働かない、表情が暗い、涙もろい、落ち着かない
  • 身体
    体がだるい、疲れやすい、食欲がない、頭痛、肩こり、めまい、動悸、胃の不快感、便秘がち

親が「言ってはいけない」“NGワード”

気象病を発症しやすいこの時期、突然「学校に行きたくない」と言い出す子どももいるかもしれない。そのような状況に直面したとき、保護者が特に言いがちな「NGワード」として、大塚さんは以下3つを挙げる。

  • 「やる気が足りない」
  • 「気のせいだよ」
  • 「しっかりしなさい」

大塚さんは、これらの「NGワード」を子どもに投げかけることは「お門違い」だと言う。

「もし低気圧によって体調の変化や気分の低下が起こっているのだとしたら、きちんとした『原因』があって、学校に行きたくないという『結果』が出ているということです。

それなのに『やる気が足りないからだ』などお門違いなことを言われてしまうと、お子さんは『自分が悪いんだ』と思い込んで自己肯定感が下がってしまいますし、『体調が悪い=ダメなこと』という固定観念が植え付けられることで具合が悪いことを隠すようになり、重大な病気に気付けないリスクもあります。

心身の不調は本人の意志にかかわらず誰にでも起こるので、大人は、子どもが素直に言い出せるような姿勢を普段からとっておくことが大切です」(臨床心理士・大塚さん)

なお「もうちょっと頑張ってみたら」は、必ずしもNGではないそうだ。

「体調不良が天候によるものなのか、すぐに判断することは難しいと思います。もしかすると風邪をひいたのかもしれませんし、学校で嫌なことがあったのかもしれません。

まずは『学校に行きたくない』という気持ちを受け止めて、2〜3日休ませて経過観察してもいいと思うんです。その過程で『もう少し頑張ってみたら』と声をかけるのは自然な会話ではないでしょうか。

ただし2~3日たっても様子が変わらないようであれば、内科、耳鼻科、心療内科など、症状に合わせて病院を受診することをおすすめします」(臨床心理士・大塚さん)

子どもの経過観察をする難しさを日々実感している保護者も多いかもしれないが、大塚さんは「まずは『困った』『うれしい』などその時々の感情にしっかり共感して、お子さんの気持ちを受け止めてあげてください」とアドバイスする。

たとえ自分の子どもであっても、何もかも「以心伝心」は不可能だ。まずは子どもに「この人には言ってもいいんだ」と思ってもらえるような大人になることが大事なのではないだろうか。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

編集部からのお願い

情報提供をお待ちしております

この記事をシェア