華原朋美「息子の服がカッターで…」SNS上で悲痛な告発…「いじめ問題」を“弁護士に相談”どこまで解決できる?

弁護士JP編集部

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華原朋美「息子の服がカッターで…」SNS上で悲痛な告発…「いじめ問題」を“弁護士に相談”どこまで解決できる?
「息子のために海外移住を考えている」と話す華原朋美さん。YouTube(https://www.youtube.com/live/leFNJfUr-IY?feature=share)より

歌手の華原朋美さんが、自身の息子が保育園で「いじめ」にあっていることをSNSに投稿し、話題になった(現在投稿は削除)。

息子の洋服がカッターで…1年間続く“いじめ”

4月25日の深夜、華原さんは自身のYouTubeチャンネルで生配信を行い、3歳長男との海外移住を検討していることをファンに伝えた。ファンからはチャットを通して「寂しい」「引退しちゃうの?」といった不安の声のほか、「どんな選択でも応援します!」というコメントが寄せられていた。翌日、海外移住を検討している真意について、冒頭の通り「保育園でのいじめ」が原因とする投稿がSNS上でなされたという経緯だ。

いじめの内容については「洋服が盗まれたり、息子が背の高い男の先生にゴミ箱に捨てられたり(息子の証言動画あり)昨日は靴下一足にプラスもう一足の方一本だけが盗まれた」などと投稿。さらに、これらの行為が1年以上続いているとして、顧問弁護士と「随分前から」相談、保育園からは示談書が来ていることも明かした。

その上で、「私が1番知りたいのは息子の服がカッターもしくはハサミでカットされてた事です。これを保育園で誰がやったのかそれが1番知りたい事です」として、現時点で示談に応じるつもりはないとつづった。

いじめ問題を弁護士に依頼すると?

一連の投稿の通り、華原さんはすでに顧問弁護士に相談しているというが、子どもの「いじめ」に対して弁護士は具体的にどのような対応ができるのか。いじめ等の学校問題に注力する米澤弘文弁護士に話を聞いた。

「いじめ問題」を弁護士に相談することで、どういった解決が見込まれるのでしょうか。

米澤弁護士:いじめ問題はお子さんが当事者ですので、お子さんがどうしたいのかというのがスタートラインでありゴールにもなります。今後もその学校に通いたいのか、他の学校への転校やフリースクールに通うことを望むのか、それに応じて弁護士の行うことも変わっていきます。

たとえば、学校に通い続けたいという場合には、安心して通えるための環境調整としてお子さんが「学校側にどのような対応をとってほしいのか」を聞き取り、対応策を求めていくことになります。

学校側には、具体的にどのような対応策を求めることができますか?

米澤弁護士:学校側がいじめ等の問題を認めていない場合には調査や第三者委員会の立ち上げを求めるなどして、いじめ等についての認識してもらうことからスタートすることもあります。一方で学校側もいじめ問題を認識していて、対策をとる必要性を認めている場合には、お子さんが安心して学校に通えるための段取りについての話し合いを進めていくことになります。口頭ベースで枠組みを決めるにとどまることもあれば、覚書などを作成してもらうこともあります。これらが基本ではありますが、より強い対応として、刑事告訴をしたり、あるいは損害賠償を求めることもあります。

華原さんの場合は、示談に至ることよりも「犯人を突き止めたい」と思っておられるようですが、弁護士に依頼することで犯人を突き止めることもできるものなのでしょうか。

米澤弁護士:学校側に求めて調査をしてもらうことが基本です。ただ、弁護士が他の生徒さんや親御さんに聞き取りを行い、調査するということもないわけではないですね。

弁護士に依頼するベストなタイミングとは?

弁護士への依頼は高額というイメージがあります。ケースによるとは思いますが、依頼者はどの程度の金額を想定して依頼すれば良いですか。

米澤弁護士:私が所属する事務所(ベリーベスト法律事務所)では、いじめ等に関する協議行うことについては、契約の最初に基本手数料11万と事務手数料1万1千円で、12万1千円をお支払いいただいています。契約後の相談や交渉が5時間を超える場合には、1時間ごとに2万2千円タイムチャージがかかるという料金体系になっています。5時間以内に終わることもありますが、やはり学校側のスタンスですとか、学校に何を求めるのか、刑事告訴や損害賠償請求を行うかどうか、そのあたりで総額は変わってきます。

依頼者と契約した後、弁護士は解決に向けてどのように動くのか、具体的に教えてください。

米澤弁護士:ケースや依頼者のご要望によりますが、大きく分けると二つのパターンがあります。ひとつは後方支援。学校との直接の交渉は保護者がするけれども、書面作成や、法律的な問題へのアドバイス、どうやって交渉を行うかという「作戦」の部分を弁護士が後ろから支えるパターンです。学校の問題に弁護士が介入することは、それなりにインパクトが大きいですから、後方支援をすることが有用なケースも多いです。もうひとつは、弁護士が前面に出るパターンです。お子さんの要望に添って弁護士が、学校側と書面や電話、直接の対話を通じて協議していくイメージです。

弁護士に依頼するべきベストなタイミングはありますか?

米澤弁護士:まずは一度親御さんが学校と話をした後が望ましいと思います。もしそれで解決するのであれば、費用をかけずに済みますから。「学校と話をしたけれど、らちが明かない」「学校側の対応に不満があるが、どうしていいかわからない」という場面で弁護士にご相談いただけると良いと思います。

弁護士に依頼する“メリット”

先生が感じる「いじめ問題」を弁護士に依頼するメリットを教えてください。

米澤弁護士:お子さんが被害者、あるいは加害者もそうですが、いじめの当事者になった時に「何ができるのかわからない」という場合が多いと思います。「いじめの被害を受けた」という事態に直面した場合、損害賠償請求や刑事告訴が真っ先に思い浮かぶ手段かもしれません。それらが有効なケースもありますが、そうではない解決が適切なこともあります。弁護士にご依頼いただければさまざまな選択肢を提案することができます。

また、親御さんはどうしても感情的になってしまうと思いますし、その気持ちはよくわかります。ただ、お子さんの今後を考えると、学校側と冷静に建設的な協議をしていくというのも大事です。弁護士であればお子さんが楽しく学校で過ごすために何が問題となっているのか、学校の対応についても問題はないのか、それらをどう伝えればいいのかなど、第三者的な視点からとして整理し、協議を進めていけるメリットがあると思います。

あとは、協議がまとまらず強硬な手段をとる場合には弁護士が必要になります。強硬な手段にはメリット・デメリットがありますが、前段階から関わらせていただくことで、強硬な手段を取るべきタイミングも見据えながら交渉ができるという点も、弁護士にご依頼いただくメリットだと思います。

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