えきねっと“改悪”? 発券時「クレカ必須」に戸惑いも...JR東日本が“苦渋の決断”に踏み切ったワケ

弁護士JP編集部

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えきねっと“改悪”? 発券時「クレカ必須」に戸惑いも...JR東日本が“苦渋の決断”に踏み切ったワケ
予約行程に東海道新幹線などが含まれる場合に「クレカ必須」となった(白熊 / PIXTA)

JR東日本のウェブサイト「えきねっと」で購入したきっぷの受け取り方法が、5月11日から変更になっている。

紙のきっぷを受け取る際、これまではマイページの申込完了画面や、「えきねっと」が配信する申込完了メールなどに表示された「QRコード・受取コード」を提示すればよかったが、予約行程に東海道・山陽新幹線(のぞみ、ひかり、こだま)、山陽・九州新幹線(みずほ、さくら、つばめ)、西九州新幹線(かもめ)が含まれている場合は、決済に使用したクレジットカードの持参が必須となり、乗車日当日にクレジットカードを忘れてしまった場合などは、原則として駅できっぷを買い直す必要がある。

なお、予約行程に上記の列車が含まれていない場合や、えきねっとで購入した「新幹線eチケット(※1)」を交通系ICカードやモバイルSuicaにひもづけて乗車する場合は、今回の変更による影響は受けない。

(※1)東海道・山陽・九州・西九州の各新幹線は従来「新幹線eチケットサービス」の対象外

「退化してる…」「利便性後退しとらん?」

そもそも、えきねっとで購入したきっぷを「QRコード・受取コード」で受け取ることができるようになったのは、2021年6月27日に行われた「えきねっと大規模リニューアル」以降のこと。従来は決済に使用したクレジットカードを提示する必要があったが、そのわずらわしさが解消され、利便性が向上したと感じた人も多いのではないだろうか。

約2年の時を経て再びクレジットカードの提示が必須となったことについて、SNSなどでは「退化してる…」「利便性後退しとらん?」など、“改悪”と感じている人も少なくないようだ。

JR東日本はなぜ、便利な仕組みをわずか2年で終了するに至ったのだろうか。一部で戸惑いの声があることも含めて質問すると、以下の回答が得られた。

「現在、他人のクレジットカード情報を悪用し、乗車券類を不正に購入の上、発券・転売する不正利用が一部の路線を中心に確認されております。このため、不正多発路線を中心にお取り扱いを一部変更させていただきました。なお、不正利用拡大防止の観点から、不正手口については回答を控えさせていただきます」(JR東日本・広報担当者)

えきねっとの不正利用については、5月1日にも、他人名義のクレジットカードで新幹線の特急券・乗車券計96枚を不正購入したとして、中国籍の男が逮捕されている。

「バーチャルカード」はどうなる?

予約行程に対象の列車が含まれていたとして、今後えきねっとでクレジットカード支払い以外(コンビニ、金融機関、駅支払い)を選択した場合や、近年普及しつつある「バーチャルカード(※2)」で決済した場合、どのようにきっぷを発券すればよいのだろうか。

(※2)物理的なカードが発行されず、オンライン上の決済のみが可能なカード

「予約行程にJR東海・JR四国・JR九州の区間が含まれているお申込みはクレジットカード支払いのみの選択可能であり、コンビニ、金融機関、駅支払い(以下『代行決済』と記載)は取り扱っておりません。

なお、JR東日本・JR西日本・JR北海道区間完結となるお申込みは代行決済が可能ですが、この場合はこれまでと同様にマイページの申込完了画面や、『えきねっと』から配信される申込完了メール等に『QRコード・受取コード』を表示いたしますので、『QRコード・受取コード』でのお受け取りが可能です。

また、バーチャルカードについては、きっぷのお受取りやお受取り後の払戻ができない等、サービスの一部が利用できない場合があるため、えきねっとでは通常のクレジットカードのご利用をお願いしております」(JR東日本・広報担当者)

また、システム障害などでクレジットカードでの発券ができなくなった場合については「障害の内容により対応が異なりますので、状況に応じてお客さまにご案内させていただきます」とのことだった。

およそ2年で運用を変更せざるを得なくなったことは、JR東日本の“苦渋の決断”のように思えてならない。まだ始まったばかりだが、この変更が不正利用の撲滅につながることを願う。

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