「自転車で高速道路に入っちゃった」整形男子アレン様に「ネタですか」批判も...高速「誤進入」実は“増加傾向”他人事ではない背景とは?

弁護士JP編集部

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「自転車で高速道路に入っちゃった」整形男子アレン様に「ネタですか」批判も...高速「誤進入」実は“増加傾向”他人事ではない背景とは?
誤進入してパニックになるアレンさん(動画をもとにイラスト作成、画:Minami)

“整形男子”として知られるタレントのアレンさんが8日深夜、Twitterで「自転車で高速道路に入っちゃった」とパニックになった様子の動画を公開。ネットニュースのコメントでは「ネタ動画ですか」「どう考えても故意に入っているよね?」といった批判の声がある一方、動画から推測される場所について「土地勘がなければ分かりにくいかも」との声も寄せられている。

誤進入「高齢者」より多い年齢層は?

アレンさんが自転車で進入してしまったのは「高速道路」ではなく、都内の自動車専用トンネルだったようだが、国交省によれば、高速道路への自転車・歩行者・原付などの誤進入は増加傾向にあるという。

国土交通省「高速道路への歩行者・自転車等の進入発生状況(https://www.mlit.go.jp/common/001193181.pdf)」より

高速道路への誤進入といえば「認知症の高齢者」のイメージを持つ人も多いかもしれないが、上図から分かるように、実際には高齢者よりも比較的若い世代の誤進入が多くなっている。

また、年間400件程度の誤進入が発生している首都高速道路(首都高)では「原付による『入口』からの誤進入が全体の約6割を占めており、その内訳は10代・20代といった若年層による誤進入が多い傾向にあります(※)」と担当者は語る。

(※)2021年度実績。自動車専用道路に立ち入ることができない歩行者、自転車、排気量125cc以下の自動二輪車(原付)が、首都高出入口等から立入・進入・逆走し、確保された事案を誤進入件数として集計。

「若者」の誤進入が多いワケ

原付や自転車が高速道路を走行できないのは“常識”とも思えるが、10代・20代の若者たちはなぜ誤進入してしまうのか。

首都高の担当者は「彼らに誤進入理由を聴取すると、ナビアプリ使用時に、自動車モードの高速道路を使用したルート設定にしたままで走行し、首都高速道路へ誤って進入してしまう事例が多く見受けられます」とその背景を明かす。

2号目黒線 目黒(上)入口で実際に発生した「ナビアプリ」による自転車立入(首都ドライバーズサイト「首都高速道路への歩行者や自転車等の進入禁止〈https://www.shutoko.jp/use/safety/keepout/〉」より)

これを受け、首都高では「利用者の方に向けて運転前にナビアプリの設定(高速道路を使用しないルート設定)を確認していただくことや、走行時には道路標識等の案内をよく確認していただくよう注意喚起を行っております」といった対策を講じているという。

2号目黒線 目黒(上)入口に設置された標識(首都ドライバーズサイト「首都高速道路への歩行者や自転車等の進入禁止〈https://www.shutoko.jp/use/safety/keepout/〉」より)

なお認知症の高齢者や泥酔者などについては、近年増加傾向にあるそうだ。

誤進入したとき「絶対やってはいけない」こと

誤進入が発生しやすい出入口の特徴として、首都高の担当者は「人流が多く、またお酒に酔った方なども多い『大型レジャー施設』や『繁華街』などの近傍の出入口からの誤進入が多い傾向です」と指摘する。

道案内をナビアプリに頼る人も多い昨今、高速道路への誤進入は決して“他人事”ではない。万が一誤進入してしまった場合はどうすればよいのだろうか。

「誤進入してしまった場合は、重大事故につながる恐れがあるため『そのまま走り続けること』や『引き返すこと』は絶対にせず、安全を確保した上で『110番』または『#9910(道路緊急ダイヤル)』等へ通報し、関係車両の到着までお待ちください。なお、これは車両についても同様です」(首都高担当者)

ナビアプリは便利なものだが、頼りきりになってしまっては、高速道路への誤進入のように自らの身を危険にさらす事態になりかねない。さらには他者に対しても凶器になり得る極めて危険な行為だ。何より高速道路への誤進入は決して他人事ではなく、データが示すように「誰にでも起こり得ること」だと認識しておくべきであろう。

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