高速道路で突然「破裂」トラブル発生の悲劇も… 「危険なタイヤ」“兆候”の見極め方

弁護士JP編集部

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高速道路で突然「破裂」トラブル発生の悲劇も…  「危険なタイヤ」“兆候”の見極め方
不意に起こるタイヤの“バースト”を防ぐ日常点検とは?(toa55/PIXTA)

長期休暇になりやすい日並びで、最大9連休となる今年のゴールデンウィーク(GW)。

旅行代理店「株式会社JTB」の調査によれば、旅行中、新型コロナウイルスの感染予防意識などもあり公共交通機関ではなく「自家用車・レンタカーを利用する」と答えた人が65.8%となり、昨年より3.8%増加した。

昨年以上の混雑が予想される高速道路だが、予期せぬトラブルはつきものとなる。日本自動車連盟(JAF)によれば、昨年のGW中に実施した高速道路上でのロードサービスは全国で2500件にのぼったという。中でもトラブルの原因のうち1位となる約35%は「タイヤ関連のトラブル」だった。

せっかくの休暇中に高速道路上で思わぬトラブルに見舞われるのは誰であっても避けたいものだ。ある意味盲点とも言える「タイヤのトラブル」を未然に防ぐ方法はあるのだろうか。

2022年度シーズン別 JAFロードサービス救援データ(https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/road-service-report/fy2022-season)より

“週末ドライバー”こそお出かけ前に点検を!

JAF広報課の担当者は、タイヤトラブルを引き起こさないために大切なのは「日常点検」だと話す。

中でも、長く車をうごかしていなかったドライバーに向け「走行していなくともタイヤの空気は抜け、ゴムは劣化します。お出かけ前には必ず点検を行うようにしてください」と呼びかける。

タイヤのチェックポイントは、主に①タイヤの摩耗具合、②溝の深さ、③空気圧の3点だ。

①タイヤの摩耗具合では、亀裂や損傷がないか、石やくぎなどの異物がささったり、かみ込んだりしていないかを確認する。これらを放置したまま運転を続けると、パンクやバーストが起きる原因になるため、交換する必要がある。

裂け目が入ったタイヤ(撮るねっと/PIXTA)

②溝の深さが適正より減っているものも、亀裂や損傷と同様にパンクやバーストの原因になる。また雨天時などでブレーキがききにくくなり、スリップ事故の発生も誘発してしまう。タイヤの「スリップサイン」を確認し、擦り減っている場合は交換する。

株式会社ブリヂストン「タイヤの溝深さについて」(https://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/groove-depth/)より

③タイヤと接地部のたわみを目視で確認するほか、タイヤゲージ(エアゲージ)とよばれる専用の機械を用いれば実際の空気圧まで自身で点検することができる。空気圧が不足すると燃費が悪くなるだけでなく、ハンドル操作が重くなり、走行安定性が悪化する。長距離ドライブの前には、スペアタイヤの空気圧も点検しておく。

タイヤゲージは1000円台から購入できる(aki.n/PIXTA)

高速上でパンク、バースト…「自身で対処しないで」

徐々にタイヤの空気が抜けていくパンク、突然タイヤが破裂する「バースト」、走行が不安定になる空気圧の不足など、タイヤのトラブルはいずれも一歩間違えれば大きな事故になりかねない。特に高速道路上では、トラブル後の対処を誤れば、追突事故などさらなる事故に発展してしまう可能性がある。

警察庁の三浦和久警部は追突事故に遭う人の共通点について、政府インターネットテレビの中で「故障で止まった車の周りや、その車内にとどまったままでいて事故に遭われるケースが非常に多い」と説明。その原因として「(道路上で)止まっている側の意識と走行している側の意識に大きなズレがある」と指摘している。

JAFが公開している「もしもの状況を疑似体験する360度VR動画」 シリーズには、高速道路上でトラブルが起きた際の疑似体験ができる動画があり、止まっている車や車両付近で作業する人の“見え方”を走行車両から確認できる。

「ご自身で(トラブルに)対処されることがいかに危険か、(動画を見ることで)お分かりいただけると思います」(前出・JAF担当者)

JAF Channel「360度動画でVR体験!高速道路を走行中の車両から救援待ちの見え方を疑似体験」(https://www.youtube.com/watch?v=olqtpdksNy4)より

安全確保が第一。避難は車より“後方”に

自身でのトラブルへの対処が危険とすれば、どのように救援を要請すれば良いのだろうか。

JAFの担当者は「ガードレールの外側など安全な場所に避難してから救援要請をしてください」と、まず最優先すべきは自身と同乗者の安全確保と話す。その上で、トラブル後に取るべき対応を以下のように説明する。

1. ハザードランプを点灯して、路肩に寄せる

橋やトンネルなど、路肩が狭かったり、路肩がない場合、可能な限り広い所まで自走する。トランクも開けておくことで後続車の視認性が高まる。また、取りにもどらなくて済むよう、車を降りる際には携帯電話やスマートフォン、貴重品を持つ。
※車から降りる際は後続車が来ないことを確認してから降りる。

2.発炎筒、停止表示器材を車両後方に置く

同乗者をガードレールの外側などに避難させてから、発炎筒、停止表示器材を車から50m以上後方の本線寄りに置く。
※燃料漏れの際は、引火の危険があるので発炎筒は使わない。
※高速道路で車を停止させる場合、停止表示器材は表示義務がある。

停止表示器材がなければ奥に停車車両があることは気づきにくい(JAFプレスリリースより)

3.ガードレールの外側などに避難

追突された際に巻き添えにならないように、車より後方に避難する。橋や高架など外側に避難できない場合は、車から離れてガードレールに身を寄せる。

4.非常電話か携帯電話で救援依頼をする

1kmおきに設置してある非常電話か携帯電話で救援依頼する。携帯の場合、場所が特定できるように、路肩にあるキロポストの数字を伝える。

危険と隣り合わせとなる高速道路上でのトラブル対応。事故などのさらなるトラブルにまきこまれないために、まずはタイヤを点検し、必要があれば交換しておくなど“予防”が大切だ。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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