「生理用ナプキンに薬品が…」ホテル備品に“悪質イタズラ”の戦慄... 加害者は「暴行罪」の可能性も

弁護士JP編集部

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「生理用ナプキンに薬品が…」ホテル備品に“悪質イタズラ”の戦慄...  加害者は「暴行罪」の可能性も
生理用ナプキンのアメニティは女性にとってありがたいサービスのはずが...(本ちゃん / PIXTA)

「ホテル備え付けの生理用ナプキンに薬品が染み込まされていた」

4月上旬、このような投稿がTwitterで話題になった。投稿主は痛みを感じ、患部が水ぶくれのようになっていたことから病院へ行ったところ、「薬品によるやけど」と診断されたという。

この投稿に対し、「怖くてアメニティ使えない」といった不安の声とともに多く見られたのが「シャンプーや電子レンジにも注意」といったリプライ。Twitterの検索欄に「ホテル 備品」と入力してみると、眉をひそめたくなるような投稿も散見される。

今回の「やけど」はラブホテルでの出来事だというが、一般的なビジネスホテルなどでも、環境への配慮から使い切りのアメニティではなく備え付けのシャンプーなどを設置するケースも増えており、不安を感じる人も少なくないのではないだろうか。

ホテルアメニティへの“イタズラ”で問われる罪は?

万が一、ホテルのアメニティに悪質な“イタズラ”がされ、宿泊者が身体的・精神的被害を受けた場合、どのような法的措置をとることができるのだろうか。刑事事件の対応も多いベリーベスト法律事務所 北千住オフィスの早矢仕麻友弁護士に聞いた。

ホテルアメニティを使った人が健康被害を起こしたり、不快になったりするような悪質な“イタズラ”をすることは、どのような罪に問われる可能性がありますか?

早矢仕弁護士:このような行為は、暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法204条)、器物損壊罪(刑法261条)、威力業務妨害罪(刑法234条)などに該当する可能性があります。

具体的には、「アメニティへ毒物を塗布する」などして、使用した人に対しその毒物を作用させた場合は「暴行罪」が成立する可能性があり、その結果アメニティを使用した人がケガするなど健康被害を被った場合には「傷害罪」に該当する可能性があります。

また、アメニティへの“イタズラ”により、当該アメニティが本来の使用用途で使えなくなってしまった場合は「器物損壊罪」も成立しえます。

そして、アメニティへの“イタズラ”によって、従業員等はアメニティの交換・点検等を余儀なくされることから「威力業務妨害罪」にも該当する可能性があります。

もし、今回Twitterで話題となった「薬品やけど」のように、何者かの悪質な“イタズラ”によって健康被害に遭った場合、被害者は誰にどのような法的措置をとれるのでしょうか?

早矢仕弁護士:イタズラをした人に対しては、当該イタズラが原因となって健康被害に遭ったという事実をもとに不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求をしていくことが考えられます。

また、仮にアメニティにイタズラがされていることを従業員が知っていたにもかかわらず放置し、結果としてアメニティを使用した人が健康被害に遭った場合は、施設の運営会社に対しても損害賠償請求することができる可能性があります。

つまり、イタズラされたアメニティをわざと放置してお客さんに健康被害をもたらした従業員には、民法709条に基づく不法行為責任が発生し、その従業員を雇っている会社は民法715条に基づく使用者責任を負うこととなるからです。

飲食店などでの「迷惑動画」が社会問題となっていますが、今後はホテルなど宿泊施設でも、同様の問題が多発する可能性がないとは言えません。ホテル側は悪質な“イタズラ”をした人に対して、どのような法的措置をとれるのでしょうか?

早矢仕弁護士:イタズラによってブランドイメージ等に傷がついて損害が発生した場合、企業はイタズラをした人に対して不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を行うことが考えられます。ただ、その場合の多くは、イタズラ行為と損害の発生との間の因果関係について問題になることが多いです。

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