“迷惑駐輪”自転車にタイヤ「空気抜き」で反撃 違法行為への“報復”は犯罪になる?

弁護士JP編集部

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“迷惑駐輪”自転車にタイヤ「空気抜き」で反撃 違法行為への“報復”は犯罪になる?
Twitter動画より

駅前や繁華街に無断で置かれた自転車。歩行者の通行の妨げになり、迷惑した経験がある人も多いのではないだろうか。

先日、路上に“違法駐輪”された自転車のタイヤの空気を抜いている男性の動画がSNS上で拡散され話題となった。

空気を抜かれても「自業自得」?

マスクをしていることもあり、顔は鮮明に映し出されないが、空気を抜いているのは60~70代とおぼしき男性だ。男性は動画に撮られていることは気づいていない様子で、自転車のタイヤのバルブゴム部分を、1台また1台とゆるめている。その後ゴム部分を持ち帰ったのか、残していったのかなどの詳細は映像からは確認することができない。

SNSの反応では、ほとんどの人が男性の犯罪行為の可能性を指摘しているものの、「両方違法だから問題なし」「違法 VS 犯罪」など、無断で自転車を駐輪している側にも非があるため“自業自得”だとする声も少なからず見受けられた。

たしかに自転車は先に違法駐輪をしているが、一般的な感覚として違法行為の“報復”は良いとは思えない。一般民事の対応を多く行う中野雄高弁護士に聞いた。

報復・制裁行為は犯罪となる可能性も


無断で駐車されている“違法駐輪”の自転車を勝手に移動する行為などは、何らか罪に問われる可能性はありますか? さらに「空気抜き」や「サドルを取る」といった行為に及んだ場合には、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

中野弁護士:移動するだけでしたら、犯罪になることはないでしょう。しかし、「空気抜き」は器物損壊罪にあたる可能性があり、「サドルを取る」は器物損壊罪や、取ったサドルの処理の仕方によっては窃盗罪になる可能性もありますから、やってはいけません。

“違法駐輪”に対して「空気抜き」を行うというように、不法行為に対して“報復・制裁”をした場合、罪が「相殺」されるようなことはありますか。

中野弁護士:罪が「相殺」されることはありません。原則として、自力救済(※)は認められていませんから、その報復・制裁行為がそれ自体として犯罪になってしまう場合があります。

※自力救済 …権利を侵害された者が、司法手続きによらず実力をもって権利回復を果たすこと。現在日本をはじめ多くの国で原則として禁止されている。この禁止に反した行為は、犯罪または不法行為となる。


違法駐輪への正しい対応は?


違法駐輪があった場合は、どのような対応が適切なのでしょうか。駅前やマンション前などの公共空間と、所有地・自宅敷地内などで対応が異なる場合はそれぞれ教えてください。

中野弁護士:公共空間であれば、その公共空間の管理者に通報するしかないでしょう。駅前なら駅に、マンションの前の道なら市役所などです。所有地であれば、自転車の所有者は私有地へ無断立ち入り行為をしたということになりますから、警察へ通報するのが良いでしょう。

いずれの場合も、自転車を損壊するような行為をしてはいけません。

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