千葉県議の「ビジネスクラス海外視察」に待った! 県民8割「反対」も法律上は“問題なし”?

弁護士JP編集部

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千葉県議の「ビジネスクラス海外視察」に待った! 県民8割「反対」も法律上は“問題なし”? 記者会見を終えた西尾憲一千葉県議(1月17日 霞が関/弁護士JP編集部)

千葉県議が海外視察の移動にビジネスクラスを使ったのは「違法」だとして、エコノミークラスとの差額分を返還するよう求めた住民訴訟の控訴審について、東京高裁は17日、1審の千葉地裁と同様に請求を棄却した。

海外視察に「1人98万円」の交通費

本訴訟を提訴したのは、千葉県議で「平和の党」代表の西尾憲一氏(72)。農業、会社員、代議士秘書などを経て、1995年に船橋市議に初当選、1999年に千葉県議に初当選した。

信条は「政治は弱者のためにある」。もともと県民の8割が反対(※1)していたという県議らの海外視察について「税金の無駄遣いではないか」と感じていたところ、2020年1月20日~26日に県議15人がアメリカへ視察に行った際、随行した県職員が搭乗したエコノミークラスの往復航空費が1人あたり20万6000円だったのに対し、議員が搭乗したビジネスクラスの往復航空費が1人あたり98万6450円(15人分で1170万6750円)だったことを問題視し、提訴に至ったという。

(※1)西尾議員が自身の政務活動費で調査会社に依頼し、アンケート調査を行った結果

県議の海外視察「目的が不明瞭」

地方自治法100条13項は「議会による議員派遣」について、

  • ①議案の審査
  • ②当該普通地方公共団体の事務に関する調査
  • ③その他議会において必要があると認めるとき

に議員を海外派遣できると定めており、千葉県ではこの法律に基づき、2013年度から毎年希望者を募り、県議による海外視察を実施している(2020年度、2021年度はコロナ禍のため中止)。

しかし西尾氏は、千葉県議による海外視察は上記①〜③のいずれを目的としているのかが不明瞭であり、県に質問しても一向に解答がないと指摘。実態は「自主研修旅行」であり、海外視察そのものが議員の既得権益になっていると問題視したが、1審、2審ともに「同法が定める議員派遣に該当しないとは言えない」として、請求を棄却した。

2000万円の成果「わずか112ページの報告書」

判決後、記者会見を開いた西尾氏は「海外視察の総事業費は2356万1855円で、そのうち議員のビジネスクラスの航空費は1479万6750円。その成果として残されたものは、わずか112ページの報告書に過ぎず、今も議会の資料室に眠っています。果たしてこれが、2000万円超の事業に値すると言えるのでしょうか。

生活困窮者も増えている今、税金は議員のぜいたくのためではなく、県民のために使うべきです。どうしても海外視察に行きたいのであれば、年間1人あたり480万円も出ている政治活動費を活用すればよいのです」と訴えた。

なお、最高裁への上告については検討中とのこと。

代理人、支援者(市民オンブズマン)とともに会見に臨んだ(1月17日 霞が関/弁護士JP編集部)
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