2023年は値上げ7000品目以上…家計圧迫でも「老後2000万円問題」解決する“3つの方法”

弁護士JP編集部

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2023年は値上げ7000品目以上…家計圧迫でも「老後2000万円問題」解決する“3つの方法”
10月から雇用保険料が値上がりしている(CORA / PIXTA)

2022年は記録的な物価高の中、雇用保険料の引き上げ、国民健康保険料の上限額引き上げ、年金支給額の引き下げなども追い打ちをかけ、家計の圧迫を実感した人も多いのではないだろうか。

しかし、「値上げラッシュ」は2023年も続く見通しだ。帝国データバンクが12月21日に発表した「『食品主要105社』価格改定動向調査―2022年動向・23年見通し」によると、来年1〜4月に値上げが決定している品目数は7152品目。値上げ率の平均は18%に達するとしている。

帝国データバンク「『食品主要105社』価格改定動向調査―2022年動向・23年見通し」(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221211.pdf)より

いわゆる「老後資金2000万円問題」が騒がれ久しいが、目の前の生活費が膨らむ一方、手取りも減る中、「2000万円も貯蓄できない」という人はどうすれば良いのだろうか。

「国に助けてもらおう」なんていう甘い考えは捨てる

「老後2000万円問題」は、金融庁が2019年にまとめた報告書(※1)をきっかけに広まったものだ。ところが、当時金融相だった麻生太郎氏は「年金設計自体が危ないとは思っていない」「(公的年金で)老後の生活をある程度賄うことができる」と発言し、報告書の撤回を求めていた。

(※1)報告書には「夫婦2人が定年後30年生きるには約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」と記載されていた

しかし、麻生氏の言うように「老後の生活を公的年金である程度賄っていく」ことについて、税理士の岸健一氏は「無理でしょうね」とキッパリ言い切る。

「高齢化がますます進むこれからの時代、『現役世代が老後世代を支える』という現状の年金制度が成り立つかは、疑問を持たざるを得ません。約40年後には、国民の2.6人に1人が高齢者になるとも言われています(※2)。

(※2)内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2021年の高齢化率(65歳以上人口割合)は28.9%、2065年は38.4%(推計)となっている

『国に助けてもらおう』なんていう甘い考えは捨てて、自分の力で老後を生きていくための備えをしなければいけません」(岸税理士)

自分でなんとかする「3つの方法」

自助努力でできることとして、岸税理士は ①iDeCoを使った投資信託 ②保険の見直し ③日本からの脱出 を提案する。

①iDeCoを使った投資信託

「まずは『iDeCo』を使った投資信託を少しでも早く始めることをおすすめします。

よく『投資で損するのが怖い』と言う人がいますが、貨幣価値は時代とともに上がっていくものです。極端な例ですが、明治時代の初任給が8〜9円だったのに対し、今は20万円ほどになっているように、歴史がそれを証明しています。

また世界的に見れば、ドルの価値が上がれば円の価値は下落し、反対にドルの価値が下がれば円の価値は上がります。資産をひとつの通貨でのみ保有するのではなく、複数の通貨に分散しておくことで、世界経済の躍動を利用して保全・増加させていくことが大切です。

2025年から『NISA』の新制度が始まることで、NISAかiDeCoか悩んでいる方はまず、税制優遇が受けられるiDeCoから始めるといいと思います。毎月最大2万3000円まで掛けられるので、それでも余裕がある方はNISAを併用してもいいかもしれません。

ひとつ注意していただきたいのは、iDeCoは『一度掛けたら65歳まで換金ができない』ということです。経済的に無理をしてまで投資してしまった結果、『iDeCoには1000万円の資産があるけど自己破産しました』という事態になれば本末転倒です。1000円でも1万円でも構わないので、ぜひ無理のない範囲でやっていただけたらと思います」(岸税理士)

②保険の見直し

「投資信託をやって、さらに余裕があれば、一定の年齢以上になると年金が支払われる『生存保険(年金保険)』への加入をおすすめします。その中でも、将来的に受け取ることができる保険金額が固定されていない『変動型』のものがいいでしょう。

変動型でなかった場合、たとえば現在30歳の方が年金を受け取れるようになる35年後に、現在の『100万円』が同等の価値を持つかは疑問です。インフレリスクを考慮すると、受け取れる金額が加入時から固定されている保険では、将来的に対応できない可能性は十分あると思います。

投資信託と同様に、保険の見直しも、早ければ早いほど効果が期待できます。ぜひ時間を味方につけてください」(岸税理士)

③日本からの脱出

「グローバル化が加速する今、物価上昇の一方で賃金が上がらない日本に見切りをつけ、より良い環境を求めて海外に出て行ってしまう若年層は増えていくのではないでしょうか。そうなれば、ただでさえ人口減少が問題になっているのに、日本経済はますます低迷するでしょう。

これから大人になる小中学生には『英語ができるから有利』ではなく『英語ができなくてはダメ』と伝えたいですね」(岸税理士)

不安が多い世の中だが、悲観するばかりではなく、地道に備えておくことが安心感にもつながるだろう。

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