初詣・観光客狙い「ぼったくり」価格!? 高額“臨時”駐車場は法律的にOKなのか

弁護士JP編集部

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初詣・観光客狙い「ぼったくり」価格!? 高額“臨時”駐車場は法律的にOKなのか
初詣客で賑わう神社仏閣の近くにも“私設”駐車場は現れる(shirosuna_m/PIXTA)

年末年始などの旅行客で賑わうハイシーズンには、観光地・商業施設の駐車場は混みあい、「満車」御礼となることも少なくない。運よく公営の駐車場に止められても、特別料金が徴収されるケースも多い。

また、満車の駐車場から“こぼれた”旅行客の需要を見込み、一般家庭が自宅の空きスペースを活用し、“私設”の「有料駐車場」として時間貸ししている光景も“観光地あるある”のひとつ。実際に利用した経験を持つドライバーもいるのではないだろうか。

ただ、これら自宅・事業所の敷地などを届け出なしに“私設”の駐車場として活用する場合、法律的に何らかの問題はないのか、利用の際、疑問に思った人もいるだろう。

駐車場は勝手に作ってもいい?

一般民事事件や交通事故の対応も多い野村茂雄弁護士は、「自分の土地を解放するのであれば、法律上制限はなく、駐車料金も土地の所有者が決めて良い」と説明する。

観光地などの近くに車を止められる土地を持っていれば、期間限定で駐車場を開設し“お年玉”代わりの収入を得ることは、法律的に問題はないということだ。

ただし、例外もある。

「500平方メートルを超える土地を駐車場として開放する場合は、『駐車場法』が適用されます。申請などが必要になりますのでご注意ください」(野村弁護士)

また、収入が20万円を超えた場合などには、「確定申告」が必要になることも忘れてはならない。

私設の駐車場に止めるときのトラブル回避法

一方、“私設”駐車場の利用者側にも、注意しなければならないことがあるという。

「どの駐車場に止める際も言えることですが、『時間貸し』の私設駐車場に止める場合は特に、“金額”と“時間”の確認は念入りにしてください。

事前に金額を確認していなかったのであれば、法外な金額を請求されてもどうしようもない。争っても、“言った・言わない”の話になってしまうのです」(野村弁護士)。

また、コインパーキングや公営の駐車場では、入庫時間が打刻された券が配布されたり、機械が入庫時間を管理していたりすることが多いが、“私設”の駐車場では「何時から止めたか」などの「客観的な証拠」が残りにくい。極端ではあるが、10分しか止めてないのに、1時間分の駐車料金を請求された場合でも、「証拠」がなければ争うのは難しいのだという。

「携帯やスマホなどで、何時何分にここ(駐車場)に止めたとメモを取る、写真を撮影しておくなど、なんらかの記録を取っておくのはトラブルの予防としてアリだと思います」(野村弁護士)

高額駐車場への誘導は「詐欺」ではない?

駐車場トラブルといえば、観光地などの場所によっては、無料・安価な駐車場に「空き」があるにもかかわらず、“有料駐車場”に止めるよう誘導するといった行為もあるようだ。

駐車後、料金が安い他の駐車場などを見つければ、誘導され駐車した人は「詐欺的」に感じるケースもあるかもしれない。これらは法律的観点からは、どのように判断されるのだろうか。

「誘導だけで直ちに犯罪にはならないと思います。ただし、“ウソをついていた”となると別ですね。たとえば実際はA駐車場に空きがあるのに、『もうA駐車場には空きがないですよ』と言って、B駐車場に誘導して、お金も払わせた場合には“詐欺”に当たる可能性があります。

しかし、たとえその場合でも、録音などの記録や、『実際にA駐車場に空きがあったのか』という記録が残っていなければ立証は難しいです。

あとは誘導が強引で脅迫めいていた場合も、契約取り消し(※)が考えられますが、やはり証拠がなければできません。

(※)強迫を受けて結んだ契約は、民法第96条第1項によって取り消すことができる。

さらに、お金の話であれば警察は民事として介入してきませんし、弁護士をいれて争うようなメリットがあるかと言うと、費用倒れになってしまう可能性も高いです」(野村弁護士)

駐車場トラブルを避けるために必要な“最低限の行動”とは

旅気分が台無しになる、観光地でのトラブルは誰でも避けたいもの。とくに駐車場の料金トラブルなどは、“実害”は比較的小さいとはいえ、気分の良いものではない。できる限りそれらを避ける最低限の対策などはあるのだろうか。

「トラブルを避けるために、他の駐車場の空き状況や金額の比較は、必ず自分の目で行うべきでしょう。そして駐車する前に、金額は1回いくらなのか、時間貸しであれば何時間止めたらいくらになるのか、しっかり確認することが大切です。

また、観光地などは、現地についてから駐車場を探すのではなく、事前に調べておくことも重要だと思います」(野村弁護士)

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