中学時代の「胸もみ」セクハラ告白で人気YouTuber大炎上…“釈明”も弁護士は「スジ違い」指摘
チャンネル登録者数が465万人を超える2人組YouTuber「スカイピース」のテオ氏が、11月16日に公開された動画において、中学時代に同級生の女性に対し、胸をもむなどの行為をしていたと発言。他のYouTuberが問題視したことで、SNSを中心に「セクハラではないか」との声が上がり、“炎上”騒動となった。
その後、テオ氏は「ふざけあっていただけ」「もともと仲が良かったから」など釈明するも、視聴者らから「悪いと思っていないところがすごい」「仲良いから大丈夫っていう認識はやばすぎる」などとコメントが相次ぎ、“火に油を注ぐ”形となっている。
謝罪かと思いきや…「またおっぱい揉ましてください!」
まずは、騒動の経緯を詳しく振り返る。
テオ氏が問題の発言をしたのは、5人組YouTuber「コムドット」のチャンネルにアップされたコラボ動画「【総額100万円】先輩に後輩を本気で接待お泊まり会させたら次元違ったwwwwww」(11月16日公開)においてだ。
出演者が、中学時代に感じていた“面白さ”を語り合う場面で、テオ氏は幼なじみの女性に対して「ずっとおっぱいもんでた」と発言した。
テオ氏は「(女性の)後ろからガッてブラを持って『うぃいいい!』って俺やって、(女性は)『やめて』みたいな感じで言ってて」と、ジェスチャーも交え状況を具体的に説明。その後、担任教師に呼び出され、合計4人の教師から叱られるも、教室に戻って再度女性の胸をもんだことを明かした。
この場面は、暴露系YouTuberコレコレ氏が生配信で取り上げ、問題視したことで、SNSを中心に話題が広まった。
テオ氏は、11月22日に自身のInstagramのストーリーズ(24時間で自動的に消える投稿)上に、下記のように謝罪を投稿した。
幼馴染ということもありお互い
ふざけ合っていただけです(謝る男性の絵文字)
当人同士が良しとしていても
わざわざ動画で言う内容では
ありませんでした
ニュースになるなんて思いもせず
見てる人までも不快にさせてしまい
申し訳ございませんでした!
その翌日(11月23日)、YouTuberジュキヤ氏が、動画「テオくんが中学生の胸を揉んで炎上してる件について全て話します」を公開(※12月9日現在、動画は非公開)。動画にはテオ氏が登場し、改めて騒動について語った。
相手の女性が幼なじみであることを強調し、「今でも仲良い」「家族ぐるみで仲良いんですよ」「先生に怒られた後も(女性は)笑ってたんすよ」などと釈明。動画の最後には女性に向けてメッセージを語りかけたが、
と悪ふざけを止めなかった。動画の最後には、「すみませでした、世間をお騒がせして」と女性ではなく世間に向けて頭を下げた。
弁護士「(テオ氏は)根本的に問題を理解していない」
刑事事件やハラスメント問題も多く扱う杉山大介弁護士は、テオ氏の一連の釈明について手厳しい。
「『幼なじみだから』『家族ぐるみの付き合いだから』同意があったんだという主張には、一定の理があります。しかし、まさにそういう関係だからセクハラを笑って済まさざるを得ないということもあるわけで、被害を受けた側が『セクハラではない』と認めるならともかく、やった側が免罪符のように語るのは筋違いで、(テオ氏は)根本的にこの問題を理解していないなと思います」
SNSやYouTubeのコメント欄には、テオ氏を擁護する「中学生はそんなもん」「過去のことで、今やってないならいい」などのコメントもあるが、それらに対しても杉山弁護士は「同意なく相手の胸を 『もむ』まですれば、強制わいせつです。年齢は関係ないですね」とバッサリ。
行為が「強制わいせつ」に当たるのか「セクハラ」なのかに明確な線引きはないが、刑法上の強制わいせつに当たるかどうかが基準になるという。
刑法上で示される「わいせつな行為」に該当する可能性のある行為としては、キスをする、服を脱がせる、乳房をもむ、陰部を触る、服の中に手を入れるなどがある。さらに、これらを相手の同意なしに行うと「強制」と見なされる。
「ちなみに、強制わいせつではないけど“暴行”かつ“セクハラ”というようなケースもあるので、二者択一みたいなものではありません」(杉山弁護士)
学生時代の性被害…訴えることはできる?
今年10月27日に文部科学省が発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(令和3年版)によると、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」いじめは、中学校(全国の国公立・私立)で合計7,927件報告されている。その中に、性的なからかいなどがどの程度含まれているのかはわからない。
しかし、思春期に学校で性的なからかいを受けた、胸を触られた、下着のホックを外されたなどの経験をしたことのある女性は少なくないのではないだろうか。あるいは男性でも、からかいを受けたり、服を脱がされたりしたことがある人もいるだろう。
このような過去のセクハラについて、大人になってから訴えを起こすことはできるのか。杉山弁護士によれば、強制わいせつなどの罪を問う刑事訴訟でも、“精神的苦痛”などに対して損害賠償を求める民事訴訟でも「時効がネック」だという。
「今回のテオ氏の行為であれば、強制わいせつの時効は7年、不法行為に基づく損害賠償を求めたとすれば時効は3年です。民事で、時効の完成猶予(※)などを議論できる余地はあるのですが、刑事だと時間の経過が全てです。
時効の問題がクリアできる前提だとしても、立証の問題もあります。刑事であれ民事であれ、『違法に当たる行為があった』ことを被害者側が立証しなければいけないので、行為直後に誰かに相談していた記録があるなど、直後に何か痕跡を残しているか…ここから考えることになります。
つまり、時効の過ぎた、あるいは時効が近い過去のセクハラでは、(裁判を起こす)ハードルが高いといえるでしょう」(杉山弁護士)
(※)完成猶予…時効が迫っていて裁判などを起こすのに間に合わないという場合に、催告を行うことで、一時的に時効の完成を阻止すること 。
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