プロコン“正規品”通販で購入、届いたら「偽物」の失望… “悪質”EC業者から「お金を取り戻す」方法

弁護士JP編集部

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プロコン“正規品”通販で購入、届いたら「偽物」の失望… “悪質”EC業者から「お金を取り戻す」方法
品薄状態が続いている「Nintendo Switch Proコントローラー(通称:プロコン)」(弁護士JP編集部)

9月に発売された「スプラトゥーン3」のヒットや半導体不足などの影響で、「Nintendo Switch Proコントローラー(通称:プロコン)」の品薄状態が続いている。公式サイトや家電量販店で軒並み品切れになっていることから、Yahoo!ショッピング、楽天市場、AmazonなどのECモール(※1)で購入する人もいるが、「『正規品』と書かれていたのに偽物が届いた」という声も少なくないようだ。

(※1)オンライン上のショッピングモール。ひとつのサイトに複数のショップが「出店」し、商品を販売している

プロコンに限らず、同様の被害は「AirPods Pro」「Adobe製品」「アニメキャラのフィギュア」など、さまざまな商品で報告されている。もし「正規品」「並行輸入品」などと書かれていたのにもかかわらず、届いた商品が偽物だった場合、返金を求めることはできるのだろうか。

Yahoo!ショッピング「50万円を上限として保証」

「正規品」「並行輸入品」と書かれた偽物が出品されていることについて、ECモール側はどのように対応しているのだろうか。国内最大級の商品数を誇る「Yahoo!ショッピング」に聞くと、「当社指定の審査が必要なブランド品を取り扱う場合、事前の審査が必要です。審査を受けずにブランド品の取り扱いを開始された場合には、利用約款の規定に従い、本契約を解除することがあります」(同社広報)とのことだった。

偽物が出品されていないかのチェックについては、「365日24時間体制でのパトロールの実施と違反申告機能を提供し、不正商品の早期発見を目指し、違反があった場合、商品削除や場合においては休店や退店措置も踏まえて対応しています。ブランド側からであれば、権利侵害があった場合『Yahoo! JAPAN知的財産保護プログラム』で申請いただけます」(同前)と回答が得られた。

また「『正規品』『並行輸入』と書かれていたのにもかかわらず偽物だった」という声があることについては「一部そういった問い合わせもいただいておりますが、偽物であった場合、50万円を上限として、支払金額を保証させていただく「到着後トラブルお見舞い制度」をご案内しています。また、正規品・並行輸入品を装う事例も含め、偽物の発見・措置については、インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会(CIPP)のような権利者・事業者の枠組みなどを通じて、権利者と協力して侵害品対策を推進しています」(同前)との具体的な対応策を講じているという。

ECモールの保証が使えない場合は?

Yahoo!ショッピングの「到着後トラブルお見舞い制度」のように、楽天市場では「楽天あんしんショッピングサービス」、Amazonでは「Amazonマーケットプレイス保証」という制度を設けて、偽物に対する保証を行っている。

もし自分が被害に遭った場合、まずはこれらの制度を利用することを検討すべきだろう。しかし、いずれも申請可能な期間など利用条件が設けられているので、注意が必要だ。

もし申請期間が過ぎてしまうなど、利用条件に当てはまらなかった場合、法的には何らかの対応ができるのか。自身もゲーマーであり、普段からNintendo製品に慣れ親しんでいるという本庄卓磨弁護士に聞いた。

「“正規品”をうたって偽物を販売していたのであれば、法的には詐欺行為です。民事上は売買契約を取り消しまたは解除して返金を求める、損害賠償を請求することが考えられます」(本庄弁護士)

ただし、返金や損害賠償を求めたとしても「偽物を“正規品”として販売しているような悪質業者が応じるとは考えづらい」と本庄弁護士は続ける。

「もし業者が雲隠れした場合、ECモール側に店舗情報の開示を求めるという対応はあり得ると思います。しかし開示されたとしても、消費者個人が悪質業者に対して返金や損害賠償の請求をするのには限界がありますし、弁護士に依頼するにしても、金額によっては費用倒れになってしまう可能性が高いです」(本庄弁護士)

費用倒れにならない被害額の目安については、「一概には言えませんが…目安としては、少なくとも10万円以上でなければ割に合わないのではないでしょうか」と本庄弁護士は言う。

プロコンのように品薄状態が続いているケースや、割引にひかれて公式サイトや正規取扱店以外で購入してしまう気持ちも分からなくはない。ただし、結局は泣き寝入りや、改めて正規品を購入となれば、手間も気力もお金も、余計にかかってしまうだろう。

本庄弁護士も「結局は、公式サイトや正規取扱店で買うのに越したことはありません」と断言する。

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