はあちゅうさん“事実婚”を解消 「財産分与が不利に…」内縁関係“離婚”時に後悔しないための一手とは?

弁護士JP編集部

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2022年11月23日 09:06

はあちゅうさん“事実婚”を解消 「財産分与が不利に…」内縁関係“離婚”時に後悔しないための一手とは? はあちゅうさんのインスタグラム(@ha_chu)より、しみけんさんと息子との3ショット

2018年にAV男優のしみけんさんと“事実婚”した作家のはあちゅうさんが、2022年9月に事実婚の解消を報告した。

はあちゅうさんは「離婚のご報告」(https://ameblo.jp/mofu-everyday/entry-12766175051.html)と題したブログで、現在しみけんさんとは別居していること、息子と共に暮らしていることを報告。記事内では「離婚」「夫婦」など婚姻関係と変わらない呼称で夫婦の様子をつづっていた。

この報告をきっかけに、SNSなどを中心にインターネット上では「“事実婚”の夫婦が関係を解消したらどうなるのか」と疑問を持つ声で溢(あふ)れた。

事実婚と法律婚の違い

そもそも事実婚とは、婚姻届を提出せずに夫婦同然の生活を送っている人同士のことを指す。

「法律婚」では婚姻届を提出して夫婦の戸籍を作るが、事実婚にはこうしたプロセスはなく、姓の変更もない。また、法律婚により生まれた子どもは夫婦の戸籍に入るが、事実婚の場合は母親の戸籍に入ることになる。子どもと父親が親子として認められるためには、父親が認知の手続きをしなければならない。

LGBTQ +フレンドリーで離婚問題を多く扱う山野麟太朗弁護士は、同性同士であっても事実婚と認められることはあるとした上で、「その場合、異性間の内縁関係などとも同様に財産分与が認められる可能性もあります。しかし異性、同性どちらにしても、そもそも‟事実婚状態にある”ことが認められるのかというところにハードルがあります」と語る。

山野弁護士は、同性間カップルが事実婚状態であることを証明するために、LGBTQ+カップルがサービスや社会的配慮を受けやすくなる『パートナーシップ制度』を活用することを推奨する。

「これによって事実婚関係を推認させる有力な証拠を作れます」(山野弁護士)。一方で、「パートナーシップ制度により地方公共団体からパートナーであることを認定されたからといって、法律婚と同様の効果を直接得られるわけではないので注意が必要」とも語ってくれた。

事実婚のメリットとデメリット

事実婚には、「結婚しても姓が変わらない」、「関係を解消しても戸籍に記録が残らない」というメリットがある一方で、「子どもと父親の親子関係に手続きが必要」、「配偶者に相続権がない」、「配偶者控除や配偶者特別控除などの税制面での優遇が受けられない」などのデメリットも存在する。

前述の通り、手続きがなくても事実婚として公表することは可能だが、はあちゅうさんはしみけんさんと区役所に行って住民票の続柄を妻(未届け)にしている。(https://ameblo.jp/mofu-everyday/entry-12425096373.html)

はあちゅうさんのケースについて山野弁護士は「手続きをしたからといって、直接的に何らかの法的地位や権利が生じるものではありませんが、内縁関係を推認させる有力な証拠にはなり得ます。ただし、住民票の続柄さえ『妻(未届)』等にすれば必ず内縁関係を証明できるというわけではないですし、逆に記載がないからといって内縁関係が必ず否定されてしまうわけでもありません」と解説する。

事実婚を選ぶ人たちの理由はさまざまだ。具体的には、「姓を変えたくない」、「家族間に事情がある」、「結婚への考え方のひとつ」、などが挙げられる。はあちゅうさんも、自身の仕事の都合や家族との事情により事実婚を選択したことを過去のインタビューで話している。(https://telling.asahi.com/article/11801474)

では、こうした理由で事実婚を選び、はあちゅうさんたちのように後から関係解消をした場合に財産分与はできるのだろうか。“離婚時”にどのような手続きが必要になるのかも併せて見ていこう。

事実婚の関係解消での財産分与はできる?

事実婚であっても、関係を解消した際の財産分与は「可能」である。事実婚の開始時から解消するまでの期間に夫婦で築いた財産であれば、どちらの名義であっても原則「2分の1ずつ」分配される。

財産分与の対象となるのは、現金、預貯金、有価証券や不動産、車など。生命保険の解約返戻金や子どもの学資保険なども含まれる。ただし、事実婚が開始した時期からのもののみが対象になるので、事実婚開始前にそれぞれが築いた資産は対象外となる。

これについて山野弁護士は「事実婚は法律婚と異なり、必ずしも始期や終期が明確に判断できるわけではありません。そもそも事実婚の存在が認められるのかどうかが問題となります」とリスク面について指摘。「戸籍を出せば証明できる法律婚とは異なり、事実婚状態にあることの立証が必要になるため、財産分与が不利になる可能性もあります」と続けた。

事実婚の解消の手続き

事実婚に解消の手続きはなく、「本人同士の合意のみ」で成立する。ただし、はあちゅうさんらのように住民票を変更している場合は再度変更する必要がある。だが、はあちゅうさんのような手続きを踏まえない事実婚であっても、上記のように財産分与などの権利は主張できる。

日本ではまだまだ法律婚だけを家族のかたちと見る風潮が続いているが、少しずつ状況は変化し事実婚を選ぶカップルも増えている。また、法律婚を解消して新たな家族のかたちを作ることを模索するぺこさんやりゅうちぇるさんのような関係や、パートナーシップ制度を利用する異性間カップルもいる。

婚姻に関する価値観は、これからますます多様化されることが予想される。同性婚や選択的夫婦別氏制度など、実態に即した法律の整備を望む声も、さらに大きくなっていくのではないだろうか。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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