渋谷ハロウィンに若者が殺到も「思ったよりおとなしい…」“秩序”が保たれていた夜

10月29日ハロウィン前の夜に、韓国ソウルの繁華街・梨泰院で発生した事故は、日本人2名を含む155人もの犠牲者出す大惨事となった。ハロウィンイベントは、コロナ禍をきっかけに自粛されていたが、3年半ぶりにマスクなどの規制が解かれ、多くの人々が集まっていたという。
報道によれば、10万人以上が見込まれた来場者に対し、警備関係者は32人体制で、規制線などの設置もなかったとされる。事故の原因はいまだ明らかになっていないが、ソウル市は当初からこのイベントに対しては、「主催者のいない自発的な集まり」としており、必然的に手薄となった警備体制がそのひとつの要因となったのは間違いないだろう。
この事故を受け警視庁では、恒例となっている渋谷のハロウィンイベントを前に、事故対策の徹底を呼びかけていた。
「立ち止まり」禁止の警告
10月31日、ハロウィン当日の20時過ぎの東京・渋谷では、10代、20代の若者を中心に多くの人でにぎわっていた。駅前のランドマーク・ハチ公前周辺も満員電車のような密度で、人々がごったがえす。
「身動きがとれない」というほどの圧迫感がないのは、多くの警察官・警備員が交通整理にあたり、スマホ撮影などで立ち止まる行為に対しては、再三注意を与え、列の流れが滞らないよう促しているためだ。
スクランブル交差点でもしっかりと規制線が張られ、通常の相互横断を規制し、一方通行の流れを確保している。



「酒類販売自粛」要請も…
仮装をしている人は、例年と比べ若干少な目の印象。センター街に入り、周囲では、中国語や韓国語も多く飛び交うこともさることながら、インバウンド解禁で入国した人々だろうか、こちらは以前と比べ明確に欧米・中東系の外国人の姿が多くなっているように感じられた。
カオスであるが混乱はない、といったところか。歩きながらの喫煙や飲酒をしている人もいるが、屈強なセキュリティーや警察官にすぐに注意を受け、素直に応じる。
SNSなどで、渋谷区からの要請による、コンビニエンスストアなどでの酒類販売自粛などが話題となっていた。一部の店舗では飲料販売棚の酒類コーナーにビニールシートがかけられていたものの、コンビニ店舗以外では、通常通り販売しているお店もあった。



「思ったよりおとなしい」
じゅうぶんな盛り上がりを感じたが、練馬区から友人とふたりで来たという20代の女性は、「韓国の事故の影響なのかも、思ったよりおとなしい。(以前は)もう少し盛り上がっていたような」と今年のハロウィンの印象を話す。
歩道で道行く人からの写真撮影に応じていた4人組の10代女性は専門学校仲間。埼玉県から来たひとりは、「2、3時間ウロウロしてお家に帰ります。割とみんなそんな感じの行動パターンじゃないでしょうか」と話す隙にも、再び声をかけられていく。
別の場所でも路上で撮影に応じていた欧米系のコスプレ美女がいたが、通行の妨げになると警察官に注意を受ける一場面も。



トラブルも報じられていたが…
多い人出も秩序が保たれていたのは、やはり警察の徹底した警戒態勢によるものであることは確か。さらに、民間セキュリティーによる警戒も大きい。担当者は車上や路上から目を光らせ、程よい緊張感が保たれていた。
一部で深夜になってからのトラブルも報じられていたが、今年の渋谷ハロウィンはおおむね大きな混乱もなかったようだ。
千葉から来た大学生男子ふたり組(ともに10代)は、「この姿(某アニメコスプレ)によって、普段ではあり得ない数のLINEを交換することができた」と興奮気味に、来年の参加への意気込みも併せて語ってくれた。
言うまでもなく、イベントごとは関係者の努力と参加者のモラルによって秩序が保たれる。参加者が素直に楽しめる、平和な“祭り”が今後も開催されることを祈るばかりだ。

- この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。