女性へ“素肌にブラジャー姿”を見せた男が逮捕 「迷惑防止条例」“卑わいな言動”にあたり得るNG行為とは?

中原 慶一

中原 慶一

女性へ“素肌にブラジャー姿”を見せた男が逮捕  「迷惑防止条例」“卑わいな言動”にあたり得るNG行為とは?
その姿を少しでも周りの人が不快・不審に思えば“アウト”だ(haku / PIXTA)

路上で通行人に下着姿を見せたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで同県尼崎市の会社員の男性(52)が9月25日、兵庫県警尼崎南署に逮捕された。

報道によれば、男性は、9月10日午前2時半ごろ、尼崎市の路上で、通りがかった女性に向かって、素肌にブラジャーを着けた上半身を露出したという。下半身であれば「公然わいせつ」の容疑となるが、上半身を露出した“だけ”で逮捕されてしまったことになる。

全国一律の法律とは異なる「迷惑防止条例」

男性は容疑を認めているというが、逮捕の根拠となった「迷惑防止条例」とはどんな法律なのか。ベリーベスト法律事務所 姫路オフィスの中井和也弁護士に聞いた。

「迷惑防止条例は、各都道府県が独自に定めている条例のひとつで、全国一律の法律とは異なるため、自治体によって名称に若干の違いがあります。東京都のものは『公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例』が正式名称です。

規制される内容や科せられる刑罰にも地域によって違いがありますが、共通のものも多くあります。たとえば、『痴漢』にあたる行為は、全国的に同じように規制される可能性が高いと考えておくべきです」

迷惑行為にあたる「卑わいな言動」

確かに、「迷惑防止条例」は、痴漢や盗撮事件でよく耳にするが、具体的には、迷惑防止条例違反となる行為には、以下のものがある(カッコ内は東京都の場合の過料)。

1.痴漢
公共の場所や公共の乗り物において、衣服などの上から、または直接人の身体に触れる行為(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)

2.盗撮
人が通常は衣服で隠している下着・身体をカメラやスマホなどで撮影する行為(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)

3.卑わいな言動
公共の場所や公共の乗り物において「卑わいな言動」をする行為(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)

4.つきまとい行為
恨み・ねたみなど、悪意の感情を充足する目的で、待ち伏せや監視などをする行為

5.不当客引き行為
繁華街などで飲食店や風俗店などに不当に客引きをする行為

しかし、繰り返しになるが、全国一律の法律とは異なり、自治体によって名称や過料に違いがある。

「そもそも犯罪の成立の要件が異なるケースもありますので、兵庫県の条例だけを見て判断することはできません。今回の男性の行為の詳細はわかりませんが、人が不安を覚えるような卑わいな行動をした、つまり〝卑わいな言動〟に該当した可能性があると思われます」(中井弁護士)

「卑わい」な言葉、文書や写真を相手に見せつけたら…

さらに中井弁護士によれば、お店や路上で酔って裸になったり、下着姿で家の近所をうろついたり、男性(女性)が際どいコスプレ姿で繁華街を歩くなどの行為も、「卑わいな言動」にあたる可能性があると言う。

「卑わいな言葉をささやくことや、卑わいな文書や写真を相手に見せつける行為なども『卑わいな言動』になり得る可能性があるので、注意が必要です」 (中井弁護士)

今回の事件について、中井弁護士はこのように付け加える。

「迷惑防止条例違反の案件は、成立するかどうか際どいケースも多いです。何が卑わいかということは人それぞれ異なるためです。しかし、少なくとも周りの人が不快になったりする行動は、迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。そういった行動は避けて行動していただいた方が安全かと思います」

やはり、法律の名称通り、『他人の迷惑になる行為はしない』ことが自分の身のためのようだ。

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