【10月から】出生後8週間以内に使える「産後パパ育休」 最大4週間休業で給付金も

弁護士JP編集部

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【10月から】出生後8週間以内に使える「産後パパ育休」 最大4週間休業で給付金も
「産後パパ育休」とは?(jessie / PIXTA)

10月1日より、「育児・介護休業法」の改正による育休の新しい運用が開始される。政府は2020年度に12.65%だった男性の育休取得率を、2025年までに30%に上げることを目標に掲げており、今回の施行によって可能となる「出生時育児休業(産後パパ育休)」や「育休の分割取得」にも期待が寄せられている。

具体的には、子どもの出生以降、どの段階でどのような制度・給付金が使えるようになるのだろうか。①出生〜8週 ②8週〜1歳 ③1歳〜2歳 の段階における、それぞれの変更点をまとめた。

10月1日以降の変更点(弁護士JP編集部作成)

①出生~8週:「出生時育児休業(産後パパ育休)」が新設

・どんな制度?

父親は、子どもが生まれてから8週間以内に4週間まで「出生時育児休業(産後パパ育休)」を取得できるようになる。原則、休業する2週間前までの申し出が必要で、初めにまとめて申し出れば、2回に分割して取得することも可能だ。

なお、「出生時育児休業(産後パパ育休)」を取得している期間中は、就業しないことが原則とされている。ただし、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で就業が可能となる(日数や時間に上限あり)。

・給付金が受けられる

「出生時育児休業(産後パパ育休)」を取得した場合は、「出生時育児休業給付金」が受けられる。支給要件や支給額については、以下の図を参照。

②8週~1歳:育休の分割取得が可能に

・これまでと何が変わる?

「育児休業」は、原則子どもが1歳になるまで取得可能だが、これまでは1回にまとめて取得する必要があった。今回の改正では、2回に分けて取得することが可能となり、例えば夫婦が短期間で育休を交代したり、妻の復職のタイミングで夫がもう一度育休を取得したりするなど、柔軟な働き方、休み方ができるようになる。

・育休を分割取得しても給付金は受けられる?

育休を2回に分けて取得した場合も、それぞれの期間について給付金を受けることができる。

なお3回目以降の育休を取得する場合は原則、給付金を受けることができない。しかし以下の例外事由に当てはまる場合は、回数制限から除外され、給付金を受けられるようになる。

③1歳~2歳:育休延長開始日が柔軟化

・これまでと何が変わる?

子どもが1歳以降、保育所に入所できないなどの事情がある場合は育休の延長が可能だが、これまでは開始日が「1歳または1歳半になった日」に限定されており、夫婦で育休を途中交代することができなかった。今回の改正では開始日の限定がなくなり、より柔軟に取得できるようになる。

また特別な事情(※1)がある場合は、これまで認められていなかった「育休再取得」が可能となる。

(※1)1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児休業を取得できる

・給付金は受けられる?

育休の延長事由があり、さらに夫婦交代で育休を取得するという条件を満たせば、1歳~1歳半、1歳半~2歳の各期間で、夫婦それぞれ1回に限り給付金が受けられる。

育休給付金申請の流れ

「出生時育児休業(産後パパ育休)給付金」および「育児休業給付金」を受けたい場合は、以下の流れで申請することになる。

①事業主に申し出る
 ↓
②事業主がハローワークに書類申請
 ↓
③届いた書類に被保険者(労働者)が必要事項を記入して事業主に提出
 ↓
④事業主が③の書類をハローワークに提出

なお、事業主は今年4月1日より、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、育休制度や給付金について周知することが義務化された。もちろん、取得を控えさせるような内容を伝えることは認められていない。

もし育休取得や給付金で悩むことがあれば、以下の各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)へ問い合わせてほしい。

受付時間8時30分~17時15分 ※土日・祝日・年末年始を除く(厚労省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」より)
  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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