エルサが傷害罪? ハンスが結婚詐欺? 金曜ロードショー『アナ雪』を法律視点で2倍楽しむ方法

弁護士JP編集部

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エルサが傷害罪? ハンスが結婚詐欺? 金曜ロードショー『アナ雪』を法律視点で2倍楽しむ方法 画像:いらすとや

日本テレビ系「金曜ロードショー」では、11月12日(金)21時より2週連続で『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』が放送される。

「触れるものを凍らせてしまう」という魔法を持って生まれたアレンデール王国の王女・エルサと、その妹・アナを通して“真実の愛”を描いたこの作品。主題歌「Let It Go」とともに社会現象になった人気作とあって、SNSでは放送前から「アナ雪楽しみだから1週間頑張れる」「DVD持ってるけど絶対見る」「楽しみ~」など、放送を心待ちにする声が溢れている。

11月5日に放送された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』もTwitterの世界トレンド1位となっていたが、配信サービス全盛期の今も、地上波の放送を“リアタイ”してTwitterでシェアすることが、金曜ロードショーの楽しみ方の一つとなっている。

そこで放送直前の今、弁護士JPニュースではアナ雪にまつわる法律知識をお届け。自身もディズニーファンである北島菜月弁護士に話を聞いた。

これを読めば、金曜ロードショーが2倍楽しめる…?

※以下ネタバレあり

作中では、エルサが魔法の力を制御しきれず、作り出した氷によってアナやまわりの人々を傷つけてしまうシーンが何度か登場します。エルサが傷害罪に問われる可能性はあるのでしょうか。

「傷害」とは、人の生理的機能を害する行為をいいます。そのため、エルサが氷で人を傷つけることは人の生理的機能を害する行為なので、傷害行為にあたるといえます。

しかし「傷害罪」という罪が成立するためには、故意(わざとその行為をすること)が必要です。エルサの場合は「アナたちを傷つけてやろう」という意思はなく、魔法を制御しきれなかった結果のことなので、故意があるとはいえません。

ただし、魔法を制御しきれないことに過失があるのであれば、「過失傷害罪」に問われる可能性はあります。その場合、30万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円未満)を求められます。

両親の死後、エルサは女王に即位しますが、両親と一緒に住んでいたお城の所有権は妹のアナと共同で持つことになるのでしょうか?

両親が亡くなった場合、相続人は子どもであるエルサとアナの2人です。長女であろうと次女であろうと、亡くなった方の子どもたちは財産を等分することになるため、お城についてもエルサとアナは1/2ずつ持分を持っていると考えられます。そのため、お城はエルサとアナの共有になります。

アナは隣国の王子ハンスと恋に落ち、出会ってすぐに結婚の約束をします。しかしハンスには、アナとの結婚により王国を乗っ取ろうというたくらみがありました。これは結婚詐欺ではないでしょうか?

結論からいうと、ハンス王子の行為は結婚詐欺にはあたりません。

結婚詐欺は「詐欺罪」という犯罪行為ですが、それが認められるには、欺罔行為(人を欺いてだますこと)があったかどうかが重要なポイントになります。結婚詐欺の場合、結婚する気はないのに「結婚する意思がある」と嘘をつくことが欺罔行為とみなされます。ハンス王子のケースでは、王国を乗っ取るたくらみがあるとはいえ、アナとの結婚によってそれを達成しようとしているため、結婚する意思自体はあると考えられます。よって、欺罔行為があるとはいえず、詐欺罪に問うことは難しいのです。

一方、ハンス王子の行為は、民法上の詐欺にあたる可能性があります。ハンス王子には、婚姻意思はありますが、実質的に夫婦生活を行う意思がないからです。相手に騙されて結婚した場合、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができます。

エルサが魔法の力で建てた氷の城は、彼女が去った後に空き家となります。誰かが勝手に住みついたらどうなりますか。

「不法占拠」は不法行為にあたるので、エルサから賃料相当額を損害賠償請求される可能性があります。また、エルサが建物明渡請求訴訟を起こし、判決を取得すれば、強制退去を迫られる可能性もあります。

ちなみに、エルサが法的手続きを踏まずに自力で氷の城を取り戻すことはできません。民法では、自力救済(権利を侵害された人が、法的手段に頼らず自力で権利を取り戻すこと)が原則禁止されているため、逆にエルサが罪に問われてしまう可能性があるのです。

とはいえ、心優しいエルサなら、誰かが氷の城に住みついてしまったとしても笑って許してくれるのではないかと思います。後々のトラブルを避けるのであれば、しっかり使用貸借契約を締結しておくことをおすすめしますが…(笑)

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