「全裸でごめんなさい」 1日250件“ヤバい不審者”出没の恐怖から身を守るには

弁護士JP編集部

弁護士JP編集部

2022年09月13日 09:48

「全裸でごめんなさい」 1日250件“ヤバい不審者”出没の恐怖から身を守るには “天気が良いと不審者が増える”とも(Ichinose / PIXTA)

「全裸でごめんなさい、お金あげるから今から遊ばん?」
「おじさんをひいて殺してくれ、殺して転がして川に落としてくれ」

時に突拍子もないセリフを、見ず知らずの人に投げかける“不審者”。その出没情報が、全国の自治体や警察から1日に200〜250件ほど公表されていることを知っているだろうか。

これらを集約し、配信しているのが「日本不審者情報センター」。情報をどのように活用すれば不審者から身を守ることができるのか。また、日々多くの不審者情報に触れるスタッフも驚いた“理解不能”なセリフや行動とは…? 創設者・代表の佐藤裕一さんに話を聞いた。

「ペンギンを一緒に探して」

まずは、佐藤さんをはじめとする日本不審者情報センターのスタッフを驚かせた不審者のセリフや行動を、その特徴別に紹介する。

【露出】

  • 猫耳型カチューシャと、紐または下着のような物を身につけ、体のほとんどを露出し、菜の花畑で自撮りしているのが目撃された(三重、2019年2月)
  • 薔薇をくわえ、自分のスカートをめくり、児童らにパンツを見せた(新潟、2020年4月)
  • 自分の服をめくり、洗濯バサミを付けた体を、女児らに見せた(鹿児島、2021年10月)
  • 全裸で、包丁のような物を持ち、走っているのが目撃された(兵庫、2020年4月)

【ペンギン】

  • 通行中の女子学生を追い抜き、振り返り、声をかけた 「ペンギンと散歩していてペンギンがいなくなったのを知りませんか」「一緒に探してください」(兵庫、2022年8月)
  • 女子学生に声をかけた 「ペンギンがいなくなった、一緒に探して」(愛知、2022年5月)
  • 通行中の女性に声をかけ、個人情報を尋ねた 「飼っていたペンギンがいなくなったので一緒に探してほしい」(静岡、2021年11月)

【投げた】

  • パトカーに向かっておにぎりを投げた(広島、2021年2月)
  • 下校途中の児童に、後ろからキュウリを投げた(大阪、2020月8月)

【声かけ】

  • 男児に声をかけ、1万円札を渡した 「名前なんていうの?」「こっち来て」「これあげる」(埼玉、2022年7月)
  • 遊んでいた女児に声をかけた 「しいたけ、しいたけ」(東京、2022年7月)

【その他】

  • 上履きと液体が一緒に入ったプラスチック容器を持ち、この容器の液体を飲みながら歩いているのを、下校途中の女子生徒らが目撃した(静岡、2022年2月)
  • 昆虫のような姿で、うろついているのが目撃された(愛知、2020年9月)

これらはすべて、全国の自治体や警察から公表された情報だ。はたから見れば冗談のようなセリフや行動ばかりだが、実際に遭遇したらと想像すると恐ろしい。

日本不審者情報センターのスタッフも、「特徴的な情報はたくさんありますけど、個人的にはこの仕事をするようになって『想像以上に下半身露出が多い』ことに一番驚いています」「『お母さんが倒れたから病院に行こう! 車に乗って!』みたいな、明らかに騙して連れて行こうとする人が日常的に出てくるのでゾッとしています」と語る。

天気が良いと不審者が増える?

日本不審者情報センター代表の佐藤さんは、ブラック企業問題と鉄道人身事故を中心に取材してきた記者。特にブラック企業問題では、過労死で亡くなった若者の遺族へのインタビューを通じて「子どもと家族の安全問題」に関心を持つようになった。そして、この分野の情報を網羅的に収集・検証したところ、各地の自治体や警察が毎日、不審者に関する情報を大量に公表していることを知り、2016年6月に「日本不審者情報センター」を設立するに至ったという。

「実際に不審者情報の配信を始めて気が付いたのは、不審者が出没する要因として『被害に遭う方の行動』よりも『不審者自身が外に出ようと思うか』が大きいのではないかということです。

一般的には、『学校が始まると子どもを狙った不審者が増える』『夏になると薄着を狙った痴漢が増える』といった注意喚起がなされています。これはこれで正しいと思いますが、それよりも、『暑い、寒い』『大雨が降る』『台風が来る』といった天候や気象条件によって増えたり減ったりしています。コロナ禍においても、行動制限の時期や、最近では第7波の始まりの頃には情報がグッと減りました」(佐藤さん)

“不審者情報が少ない=安全”ではない

日本不審者情報センターが発信する不審者情報は、公式サイトやTwitterのほか、Yahoo! MAPの「防犯マップ」機能や、LINEの「スマートチャンネル」(トークルームの上部に表示される情報)などでも確認することができる。

Yahoo! MAP「防犯マップ」機能のサンプル(Yahoo!地図ブログより)

ただし、自分の生活圏内に“不審者情報”が少ないからといって、必ずしもその地域に“不審者”が少ないとは限らないため、注意が必要だ。

「例えば情報発信の頻度ひとつとっても、情報が入り次第、その都度公表している自治体や警察もあれば、月に1回しか公表していないところもあるなど、積極性に差があるのは、日々情報を集めている中で感じます。

また、子どもに関する事件で大きく報道されるようなものが発生すると、それまでの不審者情報の数が、場合によっては倍近くまで増えていきます。しかし、事件後に不審者の数が倍になったかといえば恐らくそうではなく、寄せられる情報が多くなったり、自治体や警察が情報発信に注力するようになった、というだけのはずです。

こういったことからも、世の中に公表されていない不審者の情報はもっと多いはずで、なかでも、人口が多いのに不審者情報が少ない自治体のことは常に気になっています」(佐藤さん)

不審者情報の“価値ある使い方”とは

不審者から身を守るには、情報をどのように活用すれば良いのだろうか。

「ご自身の生活圏内で、不審者情報が連続して出ているかに注目してほしいと思います。

治安の良し悪しに限らず、基本的に不審者は人間のいるところであればどこにでも出没する可能性があります。また、実際に情報をチェックしていただくと分かるのですが、数もかなり多いため、単発で出没したものまで神経質に気にし始めると、精神的にも大変です。

もちろん、気を付けるに越したことはありませんが、傾向としては『昨日出没して今日も出没した』『1週間前にも出没した』など、同じ地域や近隣で2回目の情報が出てくると、そこからさらに続く可能性が高くなっています。そのあたりを注意しながら情報を活用していただくのが、価値のある使い方なのではないかと考えています」(佐藤さん)

自分の生活圏内をチェックしてみると、「身近でこんなにも不審者情報が寄せられているのか」と驚くかもしれない。怖がるばかりではなく、情報を上手く活用することで身を守ってほしい。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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