「別室で仕事をしろ」退院した感染者への偏見「コロナ・ハラスメント」を受けたら?

弁護士JP編集部

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「別室で仕事をしろ」退院した感染者への偏見「コロナ・ハラスメント」を受けたら?

日本労働組合総連合会は2021年6月、 「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」と題し、職場におけるいじめや嫌がらせについて調査を行い、調査結果を発表した。

この調査では、パワー・ハラスメント(パワハラ)、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)、ケア・ハラスメント(ケアハラ)、性的指向・性自認に関するハラスメント(SOGIハラ)、ジェンダー・ハラスメント、新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント(コロナ・ハラスメント)と、7種類のハラスメントを受けたことがあるかどうか、1000名を対象に調査をしたという。

調査結果によると、職場でハラスメントを受けたことがあると回答した人は32.4%と、3人に1人が何かしらのハラスメント被害に遭った経験があることがわかった。そのうちの3.1%は「コロナ・ハラスメント」の被害に遭ったことがあると回答したという。

コロナ・ハラスメントとは 、医療従事者やその関係者が新型コロナウイルスに感染し、病状が収まった後、陰性になったにもかかわらず、その人を避けたり近寄らないように言ったりするといった、新型コロナウイルスへの過剰な反応によるハラスメントのことをいう。

コロナ・ハラスメントにはさまざまなケースがある。たとえば、「ひとりだけ別室で仕事をするように言われた」「一緒に食事を取りたくないと言われる」などが挙げられる。

もし自分がコロナ・ハラスメントの被害に遭ったらどのような対応をとることができるのだろうか。

労働問題に詳しい松井剛弁護士によれば、「たとえば『ひとりだけ別室で仕事をしろ』などの発言が会社の業務命令なのか、それとも従業員個人の独断によるものなのかによって対応が変わる」という。

「その発言が会社の業務命令であって、感染後、コロナが治っていることがはっきりしているにもかかわらず先のような命令が出ているのだとしたら、それは無効な業務命令になり得ますので、労働者としてはとくに従う必要はありません。ただ、命令に従わないことを理由に会社から解雇されたり懲戒処分を受けたりすることがあるなら、それを争っていくことになります。

一方、その発言が会社の業務命令ではなく従業員個人としての発言だとしたら、その人に対して、言葉の内容によっては損害賠償を請求していく対応をとることも考えられますが、金額は低いものになるでしょう。よって、会社に対してそういう言動をさせないように言っていくことが現実的な対応になるかと思います」(松井剛弁護士)

新型コロナウイルス感染症に関する知識や情報は日々変化している。最新の正しい情報をキャッチすることが差別や偏見を生まないことにつながるとはいえ、SNSなどで大量の情報が溢れる中、正しい情報を把握し続けることは容易ではない。

もしもある日突然、コロナ・ハラスメントの被害を受けたとしても、気持ちを落ち着けて誰を相手にどのような対応をするか、慎重に検討していく必要がある。

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