最悪「逮捕」の可能性も…夏の車内に“絶対”放置してはいけないモノ

弁護士JP編集部

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最悪「逮捕」の可能性も…夏の車内に“絶対”放置してはいけないモノ
車内に置いていたものが原因で”警察沙汰”になることも…(xiaosan/PIXTA)

暑さも本番を迎えた夏。感染者の増加傾向が続く新型コロナ感染症の影響もあり、お盆シーズンには公共交通機関ではなく「車」を利用し、帰省や旅行をする人も多いのではないだろうか。

車の利用、特に夏の車内には以外な”危険”が潜んでいることも知っておく必要がある。

置いておくと爆発を引き起こすものや、放置しておくと逮捕される可能性があるものもあるという。お盆休暇に”危ない”目に合わないために充分に注意すべきこととは?

高温により「破裂」や「発火」の恐れがあるモノ

JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)が行った調査(2015年)によれば、外気温35℃の中、エンジンを停止させ、窓を閉め切った車内の温度は3時間後には55℃を超えるという実験結果となったという(※)。

(※)調査実施は昼12時から16時の4時間、調査には黒色のボディ車両を使用。

以下は、高温の車内において、爆発や発火を引き起こす可能性があるというもの。

  • ライター、ガスボンベ、スプレー缶(エアゾール製品)など

点火棒やガスボンベなどは、アウトドアで使用するために、常時車に載せているという人も多いだろう。これらは高温により容器の破裂や発火の恐れがある。ヘアスプレーや制汗スプレーなども同様に注意が必要だ。

  • 電池、パソコン、スマートフォンなど

これらは高温によって、バッテリーの温度が上昇し故障、また発火・爆発することもある。

旅先に必携となっている”モバイルバッテリー”やカメラのバッテリーも危険で、Twitter上でも、実体験を元に注意喚起するツイートが拡散されている。

  • アルコール消毒液

コロナ禍になり使用頻度が増えた「アルコール消毒液」も、高温により主成分のエタノールが揮発し、火気が近づくと引火する恐れがあるため注意が必要である。

高温になればなるほど引火点が下がり危険性が高まるため、車内には置かないことがベストだ。

これらも、被害が自分の車だけで済むとは限らず、爆発などを起こし、通行人や近くの車に被害が及べば、損害賠償という話になりかねない。駐車時などエンジンを切って車を離れる際は、上記のものを車内に放置しないことで事故を未然に防ぐことができる。

日用品の"携帯”で「軽犯罪法違反」となる可能性も

放置したことで車や身の安全が脅かされるものがある一方で、車に”置いてある”だけで”逮捕”されてしまう可能性があるものも存在する。

  • ナイフなどの刃物
  • 鉄の棒、金属バット
  • ドライバー、のみ、ガラス切りなどの器具
  • 懐中電灯、ペンライト

これらを車の中に置いたまま忘れ、タイミング悪く職務質問に合ってしまうと…

「他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」もしくは、「他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具」を隠して携帯していたとみなされ、軽犯罪法違反となる可能性があり得るというのだ。

ドライブが趣味だという徳永慎一弁護士は「ナイフやドライバー、懐中電灯などを『隠して携帯』していたことに『正当な理由』がない場合、軽犯罪法に違反することになります」と話す。

「隠して」というと故意に他人から見えない場所に置いている様子を想像するが、徳永弁護士によれば、法律においては「他人の通常の視野に入ってこないような状態に置くこと」を指すという。

さらに「携帯」という言葉には手やポケットなどに入れて肌身離さずに持っているというイメージがあるが、「『身に帯びるだけではなく、自己の近くに置いて、事実上その支配下に置いていること』も指すため、自動車のトランクに入れて運転している場合も『携帯』に当てはまることになります」(徳永弁護士)という。

車のトランクや座席の下などは、「隠して携帯」という要件に当てはまりやすい。

「処罰」の対象にならないためには?

職務質問の際に、これらの道具が車の中から見つかってしまったらどうすればいいのだろうか。

徳永弁護士は「隠して携帯」しているわけではないことと、道具を持っている「正当な理由」を警察官に伝える必要があると説明する。

「道具を何に使うかの用途、場合によって使う人と職業との関係や、車の行先も含め、説明によって『正当な理由』が警察に認められれば処罰の対象にはなりません。

例えば、キャンプ場の駐車場で職務質問を受けた際、キャンプに使うものとしてナイフや懐中電灯の利用目的を一貫して説明できるような場合には、警察官から嫌疑を持たれても、逮捕されず、厳重注意で済むような場合があります」(徳永弁護士)

アウトドアの後の”入れっぱなし”には注意(JIRI/PIXTA)

しかし、職務質問の際にも挙動不審な態度を取り、警察官から嫌疑を強く持たれる場合には任意同行を求められたり、最悪の場合、逮捕される可能性もあるという。

旅先で想定外の「任意同行」…どうすれば?

任意同行であれば断ることができるが、警察官からの求めを断るのは現実的には難しい。徳永弁護士は、警察署などに連れて行かれて不利な内容の供述調書を作成されるおそれを指摘する。

「供述調書は、後に刑事処分を決める際の資料として用いられ、不利益な処分を受ける可能性も否定しきれません。そのことを防ぐためにも、不利な供述調書を作成される前に、『正当な理由』を警察官に適切に説明する必要があります」(徳永弁護士)として、旅先などでこのような不測の事態に遭遇した場合は、速やかな弁護士への相談を呼びかけた。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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