安倍元首相「国葬」差し止めを。原告231人が国を提訴

弁護士JP編集部

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安倍元首相「国葬」差し止めを。原告231人が国を提訴
全国から届いた激励の手紙を手に会見を行う藤田代表(中央)(8月9日 霞が関/弁護士JP編集部)

銃撃を受けて亡くなった安倍晋三元首相の国葬について、市民団体である「安倍元首相の国葬を許さない会(代表・藤田高景氏)」の231人が、8月9日、差し止めを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。

訴状で原告側は、「『国葬』施行については何の法令上の根拠はなく、違憲である」と主張。「内閣は国葬についての意義・要件・必要性についての考えを明らかにした上で、国会での議論、承認を経て進められるべきものである(憲法41条)にもかかわらず、それら手続きも経ずに早急に内閣の一任で行われた」などとして、国に対して安倍元首相の国葬とその費用についての差し止めを求めている。

会の代表・藤田高景氏は、この日開かれた会見で、「7月27日に会を発足して、正式な訴訟裁判を進めてきた。この短期間にもかかわらず、激励、支援の声が届いた。過去いくつかの裁判を戦ってきたが、(この反応に)正直驚いている。国葬強行はどうみてもおかしいと(多くの市民が)思っているのではないか」と述べた。今回の訴訟にあたり、全国への告知は主にSNSで行い、231人の原告を集めたという。

また、会見に同席した経済評論家の植草一秀氏も内閣の姿勢に対して、「旧統一教会と岸信介氏との関係などは事実的に確認されているもの。(これらが明らかになるにつれ)国葬の強行について国民の反対を唱えている声は日増しに高まっている。極めて恣意(しい)的なものと言わざるを得ない」と批判した。

国葬の実施を巡っては、当初から野党側からも法的根拠などについて批判が相次いでいた。国葬費用の全額国費負担や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係が報道により明らかになったことなどから、事件から日がたつにつれ各種の世論調査でも「国葬」実施への賛否は大きく分かれている。

岸田総理大臣は8月6日に行われた記者会見で、「国の公式行事として各国の代表を招く形式で葬儀を行うことは適切だ」と国葬の妥当性について強調している。

安倍元首相の国葬は、9月27日に東京・千代田区の日本武道館で行われる予定。国葬では、オバマ米国元大統領、フランスのマクロン大統領やドイツのメルケル前首相などをはじめ、各国首脳クラスの参列が調整されているという。

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