“暴露系ユーチューバー”「ガーシー参議院議員」誕生で物議。今後“逮捕”の可能性は?

中原 慶一

中原 慶一

“暴露系ユーチューバー”「ガーシー参議院議員」誕生で物議。今後“逮捕”の可能性は?
新人議員「ガーシー」として国会への登院はあるのか(写真:弁護士JP編集部)

7月10日の参院選でNHK党から比例で出馬し、当選したガーシーこと、アパレル会社元代表取締役の東谷義和氏(50)が物議を醸している。

ガーシーといえば、ここ半年、自身のユーチューブチャンネル『東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】』で、芸能人のプライベートや企業経営者の話を暴露してきた。

「ガーシーは過去に『BTSに会わせる』として、若い女性に声をかけ、多額の金品を集め、結局それが実現しなかったことから、詐欺だとして『被害者の会』を結成されるというトラブルを起こしています。いわゆる〝BTS詐欺〟です。これをユーチューバーのヒカルに暴露されたことで、逆ギレし、『死なばもろとも』とばかりに、かつて自身が、芸能人に夜の遊び相手の女性を紹介する『アテンダー』と呼ばれる裏稼業で知り得た情報を次々と暴露するようになりました」(夕刊紙記者)

これまで俳優の綾野剛や新田真剣佑、小栗旬などの「スキャンダル情報」を暴露。選挙中には、楽天の三木谷浩史会長兼CEOにも、その矛先が向かった。

「『法的手段に出る』と警告した芸能事務所もありましたが、真偽不明の情報を前に、テレビ局を初めとする大方のメディアは静観するところが大半でした。しかし、参議院議員となった今、その動向は無視できなくなりつつあり、注目が集まっています」(前同)

「一生帰ってこないんじゃないですか」

ガーシー議員は現在、UAEのドバイに滞在中。

自身はBTSに関する騒動について、「対象者には全額返金した」とユーチューブ内で弁明しているものの、NHK党の立花孝志党首は7月15日に定例会見で「逮捕されないという保証がない限り、帰国する予定はありません」と説明。

22日に公開された堀江貴文氏との対談動画では、立花氏は、「一生帰ってこないんじゃないですか。だって値打ちなくなるじゃないですか。日本に帰ってビビりながらやるより、国会議員という肩書のままドバイにいるのがベスト」と語った。

これらを伝えるニュースのコメント欄には、「逮捕される可能性のある人を擁立した党にも、また投票した人にも責任があると思います」、「国会議員としての仕事をしない人に、われわれの税金から歳費を払い、ドバイでの生活費を補塡(ほてん)していくことは、大変腹立たしい」などと書き込まれている。

国会議員の“不逮捕特権”はあるが…

果たして、ガーシーは逮捕されるのか。犯罪や刑事事件の対応も多い杉山大介弁護士はこう話す。

「『国会議員の不逮捕特権』がありますので、原則逮捕はされません。ただし、現行犯は逮捕されるので、何か迷惑行為や他人とトラブルを他人と起こして逮捕されることはあるでしょう。

あとは、議会の許諾に基づき逮捕を許容することも国会法上可能なので、詐欺と言われる内容や社会性を踏まえて、逮捕を許諾することもないとは言えません。ただ、いくら問題がある人間でも議会少数派だからといって、逮捕されても構わないとするのは、不逮捕特権の趣旨からすると問題はあるように思います。

また、除名という手段も国会には存在しますが、『議会の秩序をみだした議員』という法律的要件と『不出席』というのは、合ってないように思います。病気と称して出席しない議員も多数いた中で、ガーシーだけというのもおかしいでしょう」

著名人の暴露が続いたら?

一方、ガーシー議員は、選挙活動中の政見放送で、「47都道府県暴露」と称し、イニシャルトークで、47ネタの芸能人の疑惑などを暴露。当選した暁には、イニシャルを実名にして公表すると公約していた。これが実現すると、さらなる物議を醸しそうだが…。

「事務所は威力業務妨害というより、名誉毀損とプライバシー侵害で民事で訴えるというのはあるでしょうね。予告されている人物の中には、過去に『週刊文春』相手に訴訟を起こした芸能人もいるようなので、事務所として訴訟対応を選ぶ人がいる可能性はあります。しかしかえってそのことが、ビュー数に貢献してしまうことになることにつながるため、無視する可能性も高いでしょうね」(前出の杉山弁護士)

そんなガーシー議員だが、当選後の13日には、『東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】』と『ガーシーのサブチャンネル』のアカウントがバン(強制停止)された。

ユーチューブチャンネルの強制停止後はインスタグラムなどを中心に情報を発信(YouTubeより)

ガーシー議員は、他の動画配信サイトがあるので問題はないとあくまで強気のようだ。杉山弁護士がため息まじりにこう話す。

「国会に行かない議員を議員として当選させる、つまり国会を軽視していたり、不要と考えている有権者が多数いること自体が問題なのでしょうね。この点について、彼個人を責めてもしょうがないでしょう。民主主義は、愚者が愚者のままに、自由に発言し権限を行使できる制度です。それは平等でありますが、同時に危険なことでもあります」

「お騒がせ」というには、あまりにも規格外で前代未聞の参議院議員、ガーシー議員の今後から目が離せない。

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