霊感商法対策弁護士連絡会「行政も政治家も手を打ってこなかった問題」 安倍元首相襲撃死亡事件を受け会見

弁護士JP編集部

弁護士JP編集部

霊感商法対策弁護士連絡会「行政も政治家も手を打ってこなかった問題」 安倍元首相襲撃死亡事件を受け会見
東京都千代田区で行われた会見(7月12日/弁護士JP編集部)

安倍晋三元首相が遊説中に襲撃・殺害された事件を受け、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)が、7月12日に都内で会見を行った。

「全国霊感商法対策弁護士連絡会」とは、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧:統一教会)による「霊感商法被害の根絶」と「被害者の救済」を目的として1987年に結成された弁護士連絡会。安倍元首相を殺害した容疑者が警察の取り調べに対し、「母親が家庭連合の信者であったことが原因で家族がめちゃくちゃになった」などと発言していたことから、急きょ会見が開かれた。

質問状と抗議文を提出していたが、返答はなかった

会見には全国弁連に所属する、山口宏弁護士、渡辺博弁護士、紀藤正樹弁護士、川合康雄弁護士、木村壮弁護士、阿部克臣弁護士らが出席。

会見の冒頭に安倍元首相に対する黙とうが捧げられた。襲撃について「卑劣極まりない行為であり許されない。このことは強調したい。当会は安倍元首相の冥福をお祈りする」とした上で、「統一教会に家庭を崩壊させられたことへの恨みが容疑者の動機であるという報道が事実だとすれば、元信者やその家族、二世信者の悩みに接してきた当会として、その苦悩や教会に対する憤りは理解できるところではある」と述べた。

さらに、「家庭を崩壊させる統一教会の活動について、行政も政権を担う党の政治家もこの30年何も手を打ってこなかった。こうした問題に対して社会としてどう取り組むべきかが改めて問われている」と語った。

また、政治家と家庭連合とのかかわりについても言及。全国弁連は、家庭連合の反社会的活動を助長するような政党・政治家や芸能人、学者などの言動に対して再三注意を呼びかけてきた。

2018年に、安倍元首相が家庭連合の集会に祝電を送ったことを受けて、全国弁連が質問状と抗議文を提出していたが、安倍元首相から返答はなかったという。昨年(2021年)にも安倍元首相が家庭連合の関連団体などのイベントにも参加し賛同メッセージを発表したことから、再度、公開抗議文を提出していた。

「容疑者の気持ちがわかってしまう苦しさがある」(二世信者)

今回の事件について、改めて政治家に「当会に相談を持ちかける元信者や二世信者たちは、政治家とのつながりがあるから警察がきちんとした対応をしてくれないという不満をもっている。そういう面でも安倍先生をはじめとする他の政治家の方たちにも、統一教会からの支援を受けないよう、応援をしないように繰り返しお願いしてきたが、今回のことが起きてしまい残念でならない。当会の力不足も感じる。政治家の先生たちには、これをきっかけに統一教会の問題性にもっと目を向けてほしい」と呼びかけた。

二世信者の代表として会見に出席したAさんは「容疑者のした事を擁護するつもりはまったくないが、統一教会に人生を破綻させられた身としては教会への恨みという点で容疑者の気持ちがわかってしまう苦しさがある」と述べた。

全国弁連は、家庭連合や関連団体の信者・家族の相談のほか、家庭連合以外の宗教団体からの被害相談も受け付けている。全国霊感商法対策弁連

会見前には安倍元首相に黙とうが捧げられた
紀藤正樹弁護士
渡辺博弁護士。手に持っている「聖本」は1冊3000万円だという
川井康雄弁護士(左)、山口広弁護士(右)
衝立越しに「信仰2世」の当事者が自身の経験を語る場面も

※画像はいずれも弁護士JP編集部撮影(7月12日)

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

編集部からのお願い

情報提供をお待ちしております

この記事をシェア