新年度「職場の五月病」コロナ禍の深い影響下で集団発生? 40、50代社員も疲弊する“ココロの2024年問題”

弁護士JP編集部

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新年度「職場の五月病」コロナ禍の深い影響下で集団発生?  40、50代社員も疲弊する“ココロの2024年問題”
五月病が40代以上におよび、”ココロの2024年問題”へ発展も(Luce / PIXTA)

世の中はゴールデンウィーク(GW)真っ最中だが、早くも休み明けの仕事を思い、憂うつな気持ちに落ち込む大人も少なくないだろう。さらに今年度、「2024年は会社員の五月病が大変になりかねない…」と危惧する声が上がっているという。いってみれば“ココロの2024年問題”。企業がハラスメント対策に躍起になり、職場のホワイト化は浸透しているはずだが、なにが起こっているのか…。

退職代行のOITOMAには新年度早々、多くの相談が舞い込んでいるという。平均すれば週に100件に迫るペースという。新卒に限っていえば、その主な退職希望理由は「求人と待遇が違う」「上司からの圧が強い」「意味の分からない慣習がある」だそうだ。

また、缶詰大手のいなば食品では、一般職の新入社員の9割が入社を辞退したという報道もあった。家賃補助8割と手厚い福利厚生をうたいながら、社宅がボロボロだったことなどが原因という。

誠実さがなければ会社は社員と歩めないのが令和

事前の話と実態が違えば、新入社員が会社に不信感を抱くのは当然といえる。そうはいっても、わずか1か月足らずで退社するというのは、いかがなものなのか…。

「令和の時代、会社は社員に不信感を持たれたら厳しいといわざるを得ないのが実状です。社員にこびる必要はないにしても誠実さがなければ、いまの時代、一緒にはやっていけません。それがハラスメントという地雷を踏まず、会社が社員と同じ方向を歩んでいく鉄則です」

こう解説するのは人事のプロフェッショナルとして多数の著書があり、企業に研修などのサービスを提供している新井健一氏だ。

2024年5月は例年以上にメンタル不調が多発の可能性

新入社員が入社3年で離職する割合が30%前後を推移して久しい。その意味では新人が早々にリタイアすることは珍しくはない。それでも2024年新年度の職場は、特にメンタル面で「要注意」という。新井氏がその理由を説明する。

「まず今年の新人は、コロナ禍で学生生活のほとんどをオンラインで過ごした代です。いわば、新社会人としていきなり “対面中心”の社会へ飛び込む形になります。それゆえにリアルでのコミュ力が高いといえず、メンタルももろいといわれています。併せて、入社3年前後の先輩社員もコロナで遠隔ワークが多く、対面の距離感を十分につかめていません。さらに50前後の年配社員もコロナ禍での環境変化にすっかり意気消沈し、ハラスメントにもうんざりしています。職場全体がどんよりしがちな状況が、特にこの新年度がはじまったタイミングに重なっているんです」

確かに今年の新入社員は、学生生活で十分な体験をできず、実質的には社会人としての職場がリアルなコミュニケーションデビューといっていい状況。ハラスメントに対する警戒は会社側も十分にしているものの、より慎重な対応が求められる。

ところが、受け入れる先輩社員も例えば3年目などは、入社当初からリモートワークが中心で、社内でのネットワークづくりが十分にできたとは言い難い状況にある。在籍年数の割によそよそしさが残る、なんとも微妙な立ち位置となっている人も珍しくないという。

同じように遠隔ワークとノーハラスメントが標準の職場環境に40、50代のミドルシニア世代は疲れ果て、モチベーションが下がりっぱなしといわれている。

全世代が立ち位置を見失いつつある中で迎えるGWをどう過ごす

「昭和世代の私自身もそうですが、飲み二ケーションなんてもうほとんどなくなりました。誘っていいものか迷っている自分もいやですし、若い人もそういうことは好まないんだろうし。そんなこんなで昔はこうだったなんて考えると、でもあれが本当によかったんだろうか…なんて逡巡します。結局、コロナ禍で環境が一変し、どの世代も自分の立ち位置を見失いつつあり、不安定なのがいまなのかと感じています」と新井氏は明かす。

そんな中で迫るGWを境に、一気にココロの問題が押し寄せる可能性があると新井氏は危惧する。

「5月は環境に適応できないことを実感しつつ、ココロと体の違和感を抱きやすい時期。2024年はそれが集団的に発生するんじゃないかと懸念しています。新人は少しでも違和感があれば『辞めたい』とココロが沈み、中堅も『このままでいいんだろうか』と将来を悲観。50前後の年配社員は会社員としての行く末を心配する…。そういうとなんだか希望がないですが、大きな変化があるときは浮き沈みはつきものです。例えば今年のGWに沈み切ったら、あとはそこからV字回復へ向けて浮上あるのみ。私はそう信じています」

今年のGWは間に3連休を取得すれば10連休になるものの、大型連休というより前後半の分散型だ。前半でじっくりと自分について考え、後半は思いっきり好きなことを満喫する。もちろんその逆でもいいだろう。

いずれにせよ、ココロがへこみがちな五月病のシーズン。じっくりと自分を見つめ直し、あえてうつうつしながら、その後の反動に期待するという過ごし方も意外にはまるかもしれない。


新井健一(あらい・けんいち)
経営コンサルタント、アジア・ひと・しくみ研究所代表取締役 1972年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、大手重機械メーカー人事部、アーサーアンダーセン(現KPMG)、ビジネススクールの責任者・専任講師を経て独立。人事分野において、経営戦略から経営管理、人事制度から社員の能力開発/行動変容に至るまでを一貫してデザインすることのできる専門家。著書に『働かない技術』『いらない課長、すごい課長』(日経BP 日本経済新聞出版)『事業部長になるための「経営の基礎」』(生産性出版)など。

書籍画像

それでも、「普通の会社員」はいちばん強い 40歳からのキャリアをどう生きるか

新井健一
日経BP 日本経済新聞出版

「――まず、本書の結論から述べておく。日本企業の会社員は最強だ。

それは、VUCAの時代、AIが人類から仕事を奪うと言われるこの時代においても変わらない。

むしろ、今後ますます日本人、日本企業の会社員はよき働き手として重宝されるだろう。
本書ではこのことを徹底的に検証していく。」(本書の内容より)

これから、日本企業の会社員が磨くべき、2割の「+α」とは?
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